新規事業開発のフレームワークをフェーズ別にご紹介!埋めるだけの満足で終わらせないポイントも解説
新規事業開発を進める際には、自社と市場、競合他社などの現状を抜け漏れなく洗い出し、検証する必要があります。そのため、思考の整理が欠かせません。そこで役立つのがフレームワークです。今回は、フェーズごとに「使うべきフレームワーク」を厳選してご紹介します。
また、フレームワークには枠を埋めることが目的化してしまう「落とし穴」があります。それを回避する方法も併せてご紹介します。
目次
フレームワークは「埋めるもの」ではなく「考えるための道具」
新規事業の開発においては、アイデア出しや市場調査、戦略設計、事業化判断など様々なフェーズがあり、それぞれのフェーズで、思考を整理・加速させるための最適なフレームワークが存在します。
フレームワークの活用は、新規事業開発には必要不可欠な取り組みであり、実際非常に有効ではありますが、「フレームワークに当てはめた後、意思決定や次のアクションへどのようにつなげれば良いか」が十分に理解されていないケースが少なくありません。
フレームワークを埋めただけで満足してしまい、そのまま思考停止してしまうこともよく見受けられます。
しかし、それではせっかくの情報整理が意味を為さないものになってしまいます。フレームワークは考えるための道具であるという認識を持って活用することが重要です。
そして複数のフレームワークで分析した結果が、一つの事業計画として矛盾なくつながっているか、「ストーリーの一貫性」を客観的に検証するステップを設けましょう。その方法の詳細は後ほどご紹介します。
新規事業開発のフェーズ別フレームワーク12選
新規事業開発に役立つフレームワークは複数ありますが、その中でも、まず押さえておくべきものを、新規事業開発のフェーズ別にご紹介します。
1.アイデア出し
マンダラート:思考を膨らませる
3×3のマスを用意し、中央にテーマを記載して関連するアイデアを書き込んでいくことで、アイデアを連鎖的に膨らませていくことができます。
例えば、アパレル市場ニーズの洗い出しを徹底して行いたい場合は、中央のマスに「アパレル市場ニーズ」と書きます。
そして中央のマスの周囲の8つのマスに関連するアイデア、例えば「安くて長く着られる」「トレンド感がある」「ネットショップで手軽に購入できる」などを書き込んでいきます。
8つのマスを埋めたら後、新たに3×3のマスを8個用意し、それぞれの中央のマスに先ほど埋めた8つのアイデアを記載します。そして8個それぞれに関連するアイデアを周囲のマス目に書き出します。結果的に8×8=64個ものアイデア創出が可能です。
SCAMPER(スキャンパー)法:アイデアを深掘りする
一つのアイデアに対して、下記の7つの切り口から再検討することで、あらゆる視点で見直し、深掘りできるフレームワークです。特に短時間で多角的にアイデアを創出したいシーンで役立ちます。
- Substitute(代用する)
- Combine(組み合わせる)
- Adapt(応用する)
- Modify(修正・変更する)
- Put to other uses(別の用途を検討する)
- Eliminate(削減する)
- Reverse/Rearrange(逆転させる・入れ替える)
ペルソナ分析:架空の顧客像から課題を導き出す
ターゲット顧客への理解を深めるために、実際に存在するような架空の人物像を作り、「その人物なら何を望むか?」を考え、課題を導き出します。
ペルソナ作成の要素:名前、年齢、性別、居住地、家族構成、職業、性格、趣味、休日の過ごし方、人間関係、年収、貯蓄、商品への興味関心度、購買意欲、新情報への感度など
ペルソナはセグメントやターゲットと混同されがちですが、大きく異なるものです。ここで、違いを押さえておきましょう。
セグメント:実在する顧客を年齢・性別・地域などの属性や特定の条件によってグループに分類する手法のこと。
ターゲット:セグメントした中から、特に注力する顧客グループのこと。
ペルソナ:ターゲット層の中に存在すると思われる架空の人物像
2.市場調査
ポジショニングマップ:自社商品の立ち位置を明確にする
自社と競合商品をマップとして可視化することで、市場における競争関係を相対的に把握できます。主に顧客視点による分類を縦軸と横軸でマッピングします。
例)
横軸:実用重視とデザイン重視
縦軸:高価格と低価格
3C分析:自社をとりまく環境を分析
顧客・市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの視点で自社をとりまく環境をミクロ視点で分析します。自社の戦略と価値の発見につながります。
SWOT(スウォット)分析:自社と競合の外部・内部環境を整理
Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の4つの視点から、自社と競合をとりまく外部環境と内部環境を整理します。それぞれの要素をかけあわせて発展させたクロスSWOT分析で、より多面的に分析できます。
3.事業内容・戦略策定
4C分析:顧客視点の事業分析・戦略立案
Customer Value(顧客価値)、Cost(コスト)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)といった顧客視点の分析により、顧客行動や心理にフォーカスし、「顧客ニーズとずれている」「顧客満足度を高めたい」といったマーケティング上の課題を把握できます。
4P分析:企業視点の事業分析・戦略立案
Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(宣伝)といった企業視点の分析により、事業の特徴をより詳しく捉えられます。その結果、各要素の関連性を考慮しながら一貫性のあるマーケティング戦略を立てることができます。
ビジネスモデルキャンバス:ビジネスモデルの全体像の把握
ビジネスモデルについて、以下の9つの要素を可視化し、価値の創出から顧客へと届くまでの全体像を把握できます。改善点や可能性を見つけやすくなります。
9つの要素:顧客セグメント、価値提案、チャネル、顧客との関係、収益の流れ、リソース・経営資源、主要活動、パートナー、コスト構造
4. 仮説検証・事業化判断・スケール(PoC以降)
アイデアが形になり、実際に市場で検証(PoC)し、事業化を判断・拡大していく後半のフェーズにおいて、事業計画の精度を高め、業務改善に利用できるフレームワークです。
ピラミッドストラクチャー:論理構造を明確にする
事業計画の思考整理やプレゼン時に役立ちます。ピラミッドの頂点に最終結論(一番伝えたいこと)を据え、その下に理由や根拠を並べていきます。「MECE(漏れなく・ダブりなく)」を意識することで、説得力のある論理展開が可能です。
PLC(プロダクトライフサイクル):製品のライフサイクルを可視化して戦略を練る
プロダクト(製品)の「開発→導入→成長→成熟→衰退」と段階的に進むライフサイクルの全体像を描き可視化します。一目でわかりやすくすることで、それぞれに最適なマーケティング戦略を立案できます。
ECRS(イクルス):業務改善・生産性向上を目指す
Eliminate(削除)、Combine(結合)、Rearrange(交換)、Simplify(簡素化)の4つの視点で事業や製造現場を見直し、例えば業務に無駄が多く効率的に進まないといった状況の改善を目指します。
フレームワークを埋めて満足してしまう「思考停止」の罠とその回避策
フレームワークを用いて得た複数の分析結果は、次のポイントを押さえて活用しましょう。
最適なフレームワークを複数使う
今回ご紹介したのは一部のフレームワークですが、自社の状況や事業に応じて最適なフレームワークをフェーズごとに複数使用しましょう。
複数の結果を結合してストーリーにする
複数のフレームワークから導き出した結果を、一貫した「ストーリー(事業計画)」として矛盾なく統合することが最も重要です 。
例えば、「ペルソナ分析で設定したターゲット顧客」に対して、「4P分析で設定した価格や販路」が本当に適切か。「SWOT分析で定義した自社の強み」が活きるビジネスモデルになっているか。 これらの要素に論理の飛躍や矛盾がないかを検証し、一貫性のあるストーリーとして組み立てていきます。
フレームワークの「死角」を、AIの網羅的な視点で補完する
複数のフレームワークを横断して「論理の矛盾」や「抜け漏れ」を見つけ出すことは、人間の思考だけでは限界があります。分析や判断の過程で担当者の主観や希望的観測(バイアス)が入り込みやすいためです。
その見過ごされた「死角」を防ぐ有効な手段が、AI(人工知能)による客観的な診断です。あらかじめ数多くの成功・失敗事例を学習したAIに事業計画を読み込ませることで、人間では気づけない論理の破綻や検討不足の項目を短時間で網羅的に洗い出し、検討の質を高めます。
まとめ
今回は、新規事業開発のフェーズごとに役立つフレームワークをご紹介しました。フレームワークは複数活用して新規事業を多角的に分析することが重要です。一方で、人間の思考には限界があります。だからこそAIを活用しながら、網羅的な分析により、抜け漏れのないリスクを見据えた新規事業計画が求められます。
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