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新規事業開発で真の顧客ニーズを引き出すインタビュー術

アイデア創出・企画検証 実践ノウハウ・スキル

新規事業の開発におけるよくある失敗として “顧客インタビューでは好評だったのに売れない”というものがあります。事業計画の仮説検証においてインタビューは欠かせないものですし、顧客の一次情報として高い説得力を持つ要素となります。

しかし、「こんなサービスがあったら使いますか?」という問いをすると、顧客は「はい」と無意識のうちに本音とは異なることを回答してしまうことがあります。相手を否定したくないという心理から生じる、いわば“善意の嘘”です。

そこで今回は、表面的な言葉に惑わされず、顧客の“深い課題”を抽出するためのインタビュー術をご紹介します。そしてインタビューによって得た定性データの正しい取り扱い方と、それを新規事業計画の根拠として適切に活用する方法も併せてご紹介します。

目次

1「使いたい」と言っていた顧客が、リリース後に購入しない理由

2顧客心理を攻略するには「過去の行動」にフォーカスする

3顧客インタビューで心がけるべきその他のポイント

4顧客の生の声を「バリュープロポジション」へ翻訳する

5顧客の声とビジネスモデルに論理の飛躍がないか、第三者視点で診断する

6まとめ

「使いたい」と言っていた顧客が、リリース後に購入しない理由

仮説検証の顧客インタビューの際、「こんな商品があったら使いたいと思いますか?」と質問したところ「はい、使いたいです」と10人中9人が答えたとします。

この場合、“9割の顧客が購入する見込みがある”と、事業計画書に記載しても問題ないように思えます。しかし、そのまま社内で承認され、いざリリースしてみると、想定の2~3割しか売れないという事態に陥ってしまうことがあります。

このような結果になる背景には、様々な要因が考えられます。顧客インタビューの結果を振り返った際に、「大半が使いたいと言ったのに、あれは嘘だったのか?」と疑いたくなるかもしれません。なぜこのような乖離が起きるのでしょうか。

もちろん、インタビューに応じてくれた顧客が、悪意を持って嘘をついたわけではありません。しかし、結果的として嘘になってしまっている可能性は高いのです。その主な理由として、次の点が挙げられます。

  • 顧客が自身の本音を正確に把握していない
  • もっともらしい回答をしたくなる心理が働く
  • 実際の商品を体験したわけではない

そもそも顧客は、自身の真のニーズや欲求を言語化できていません。一つの商品や特定のジャンルに関して詳細に分析できていることは少ないです。そのため、顧客は直感的・表層的な回答をしてしまい、それが本音とずれていたとしても本人すら気が付かないのです。

また、人はいつも、もっともらしい回答をしたい心理が働きます。目の前の相手に対して文句を言って“感じが悪い”印象になるのを避けたい気持ちがあるのです。目の前のある程度、好意を持っている相手に対して「ネガティブなことを言うのはやめておこう」という善意が働きます。

さらに、「こんな商品があったら買いますか?」という質問では、未体験のことを想像し、話さなければならないため、憶測や想像で答えることしかできません。このようなことが積み重なり、顧客は悪気もなく真意とは異なることを話します。

このような現象を踏まえて、事業開発者はインタビュー時の質問設計や結果の解釈には細心の注意を払うことが求められます。

顧客心理を攻略するには「過去の行動」にフォーカスする

まずは、顧客の本音を引き出す質問設計についてご紹介します。

避けるべき質問―現在・未来の意向を聞く

避けておきたい質問として、現在や未来の意向をそのまま聞くことがあります。例えば、次のような質問です。

  • 「この商品を買いたいと思いますか?」
  • 「この商品をどう思いますか?」

人はまだ体験していないことに対してどういう行動を取るかは分かりません。これまでの経験や嗜好を踏まえたり、直感で答えたりする人もいるでしょう。その日の気分によっても変わってしまう恐れもあります。しかし、これでは再現性や確度の低い調査結果になってしまいます。

推奨される質問―過去の行動の事実のみを聞く

ポイントは、顧客が過去に取った行動の「事実だけを問いにする」ことです。顧客が類似商品に対して、実際にどのような行動を取ったかという過去の事実と行動実績のみを聞き出しましょう。例えば次のような行動事実に基づく質問を投げかけます。

  • 「最後にこの問題で困ったのはいつですか?」
  • 「その時、何をしましたか?」
  • 「それにいくら払いましたか?」
  • 「何がきっかけでその商品を思い出しましたか?」
  • 「最終的にその商品を決めた理由は何でしたか?」

過去の事実に関して嘘をつくことは容易ではありません。記憶違いが起きない限り、実際の行動に近い情報を聞き出せるでしょう。たとえ顧客自身が明確に言語化していなくても、行動に結びついたという確かな根拠があります。そこの背景には複数の要因が重なっています。

顧客インタビューで心がけるべきその他のポイント

顧客インタビューにおいて、より正確で本音に近い情報を引き出すためには、次のポイントを押さえることも大切です。

具体的なエピソードを引き出す

過去の行動を問うときに、できるだけ具体的なエピソードまで掘り下げるようにしましょう。例えば、冬の寒い日に外を歩いていて、熱々のコーヒーを飲みたくなったとします。このとき、次のような複数の選択肢が考えられます。

  • 近くのコンビニエンスストアに入ってコーヒーを買う
  • カフェチェーン店に入る
  • 高級カフェに入る
  • 自動販売機で缶コーヒーを買う
  • 自宅に帰ってからコーヒーを入れる

このうち、「近くのコンビニエンスストアに入ってコーヒーを買う」を選んだとしたならば、その具体的な理由を聞き出します。「たまたまコンビニの近くを通りかかり、すぐに飲めそうだったから」「つい先日、コンビニのコーヒーがおいしいという口コミ情報をSNSで見たから」などの理由が出てきたとします。いずれにしても、この一連のエピソードには、商品企画やマーケティングに有力な情報が含まれています。

バイアスを排除する

インタビュアーに、「この商品は売れるに違いない」というバイアス(思い込み)があると、顧客の意見を歪めて解釈する恐れがあります。自分の仮説や願望、期待がそうさせてしまうのです。そのような仮説や願望、期待を脇に置いて、冷静かつ客観的な姿勢で臨むことが、インタビュアーには求められます。

顧客の生の声を「バリュープロポジション」へ翻訳する

顧客から引き出した生の声は、そのまま使うのではなく、バリュープロポジションへと翻訳した上で、事業計画書に盛り込むことが重要です。

バリュープロポジションとは?

バリュープロポジションとは、企業が顧客に提供できる価値を指します。顧客が自分自身も気づいていない深いところにある真のニーズを満たすものであり、他社との差別化が明確な価値となります。

バリュープロポジションへの翻訳における「人間のバイアス」

インタビューで得た「定性的な顧客の声」を、そのまま事業計画書に記載してはいけません。なぜなら、起案者自身に「この事業を成功させたい」という強い思い(確証バイアス)があり、無意識のうちに「自分にとって都合の良い顧客の声」だけを切りだしビジネスモデルと結びつけてしまう危険があるからです。

「数人が困っていたから、巨大な市場があるはずだ」といった論理の飛躍は、審査の場では必ず指摘されます。これを回避するには、定性的な顧客データと定量的な市場データが矛盾なく結びついているかを客観的に検証する必要があります。

顧客の声とビジネスモデルに論理の飛躍がないか、第三者視点で診断する

主観的な思い込みを排し、客観的に「論理のつながり」を評価させるのに有効な手段のひとつが、AI(人工知能)の活用です。

過去の膨大な事業開発のデータを学習したAIに事業計画書を読み込ませることで、「設定したターゲットの課題(顧客の声)」と「提供価値(バリュープロポジション)」、そして「収益計画」の間に論理的な乖離や飛躍がないかを短時間で診断させることができます。

AIは「忖度のない第三者の視点」で客観的な分析結果を示してくれます。時には耳が痛い(冷徹な)指摘を受けることもありますが、顧客の声を都合よく解釈してしまうリスクを未然に防ぎ、審査に耐えうる強固な事業計画へと導いてくれる強力な壁打ち相手となるでしょう。

まとめ

新規事業開発に欠かせない顧客インタビューのポイントや得られたデータの取り扱い方をご紹介しました。しかし、どれほど良質な顧客の生の声を集めても、それを事業計画書に落とし込む過程で、担当者の主観や「こうであってほしい」という願望が混じると、論理に飛躍が生じてしまいます。

NECでは、顧客の声を客観的なビジネスモデルへと昇華させるために、「NEC企画書AI診断サービス」を提供しています。

本サービスは、担当者が足で稼いだ定性データと、事業の収益性や優位性の間に「論理の矛盾(死角)」がないかを、感情を持たないAIが冷徹にチェックします。顧客の声を「売れる確信」へと変えるための壁打ち相手として、ぜひお役立てください。

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