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NEXT GIGA/次世代校務DXの実務ガイド
- 学校ネットワークあんしんだより -

学校DXを止めない! 今こそ見直したい学校ネットワークの総点検ポイント

 

目次

  1. GIGAスクールは「つながる」から「安定して使い続けられる」ネットワークへ
    • 教育現場におけるDXの例
    • 教育現場におけるDXの現状
    • 概算要求から読み解く、文部科学省の生成AI活用支援
  2. 改めて見直したい教育ICTインフラ
    • 総点検ポイント① 可視化:トラブルの原因をすばやく切り分けられるか
    • 総点検ポイント② 運用:現場に負担をかけない体制になっているか
    • 総点検ポイント③ 継続改善:導入後も見直せる仕組みがあるか
    • 総点検ポイント④ セキュリティ:校務DX・クラウド活用を前提に見直せているか

1. GIGAスクールは「つながる」から「安定して使い続けられる」ネットワークへ

教育現場におけるDXの例

第1期GIGAスクール構想の推進により、1人1台端末の活用は、日常の学習風景として定着しつつあります。
第2期では、クラウドや生成AIなどの活用が加速し、児童・生徒の個別最適な学習や、先生の業務効率化の実現に向け、教育現場のDX化を促進しています。

教育現場におけるDXの現状

DX化に向けた取り組みの広がりを、2つのデータから読み解きます。

紙とデジタルを組み合わせた教科書への期待が高まる!

文部科学省は、令和7年10~12月に、教科書の採択権者である教育委員会・学校を対象として、望ましい教科書の形態に関する意向調査を実施しました。 調査では、全学校種・全教科を通じて、紙とデジタルを組み合わせた「ハイブリッドな形態の教科書」を望む回答が最多となりました。その割合は、小学校88.3%、中学校86.3%、高等学校78.4%でした。 紙の良さを生かしながら、デジタルの特性も取り入れた教科書への期待がうかがえます。

出典:文部科学省|教科書の形態に関する意向調査結果」(PDF・外部サイトへ移動)P3 「意向調査結果のポイント( 1.望ましいと考える教科書の形態)」を基にNEC作成。

子どもたちも先生も、生成AIを活用する時代に!

学校現場では、作文や探究学習、プログラミング学習、外国語学習など、さまざまな場面で生成AIを活用する実践が広がっています。また、教員による授業づくりや教材作成、校務の負担軽減に向けた活用も進んでいます。
東京都教育委員会が実施した令和7年度「児童・生徒のインターネット利用状況調査」では、都内公立学校の児童・生徒のうち、家庭でインターネットを使って学習する際に生成AIを「使ったことがある」と回答した割合は38.0%となり、前年度の16.9%から2倍以上に増加しました。​
また、アルサーガパートナーズが全国の教育業界で働く教職員328名を対象に実施した調査では、業務で生成AIを「活用している」との回答は57.9%で、前年調査の37.2%から約1.5倍に増加しました。​
これらデータから、児童・生徒の家庭学習と教職員の業務のそれぞれで、生成AIの活用が広がっていることが分かります。

出典:東京都教育委員会|生成AI、子供たちの学習に急速に浸透 ~都内公立学校児童・生徒の利用が1年で倍増~(外部サイトへ移動)
「1 生成AIの利用状況(児童・生徒)」を基にNEC作成
出典:アルサーガパートナーズ|【生成AI活用実態調査2026】教員の生成AI活用率が前年比1.5倍に増加!全体の60.8%が「負担軽減」を実感」(外部サイトへ移動)
 「2:【前年比較】教員の活用率アップとともに「負担軽減」の実感も)⚫︎教員の活用率が前年から約1.5倍に増加)」を基にNEC作成

概算要求から読み解く、文部科学省の生成AI活用支援

文部科学省は、学校現場で生成AIを安全かつ主体的に活用できる環境の整備に向け、令和9年度予算として884億円を要求しています。
背景には、生成AIが「深い学び」や多様な児童生徒への対応に役立つ一方、個人情報・セキュリティ、過度な依存、学習過程の短絡化といったリスクがあること、さらに日本の教職員による生成AI利用が国際的に低い水準にあることがあります。

文部科学省が掲げる施策は4つです。
  • 教職員向け研修とリスク調査
  • 教育分野に特化した生成AIアプリケーションの実証研究
  • 生成AI活用の前提となる教育データの構造化・機械可読化
  • 安全に生成AIを利用するためのクラウド環境整備

さらに、初等中等教育向け生成AIガイドラインを継続的に見直し、学校での実践事例を蓄積・展開する方針を示しています。
*参照:文部科学省 令和9年度 概算要求のポイント 13ページ ※外部サイトへ移動

単なる生成AIツールの導入にとどめず、安心して利用できるクラウド・データ基盤を整備するとともに、教職員の理解と実践力を高め、授業と校務の双方で生成AIを効果的に活用できる学校環境をつくることが大切です。

2. 改めて見直したい教育ICTインフラ

このようにデジタル活用が加速する今、スムーズな授業や校務を実現するためには、単に「つながる環境を整備する」だけでなく、「安定した環境を維持し、安心して使い続けられること」が求められます。本連載の第4回では、教育委員会の皆さまに今あらためてご確認いただきたいポイントを総点検します。

ネットワーク総点検ポイント①
可視化:トラブルの原因をすばやく切り分けられるか

こんな課題はありませんか?
「遅い」という連絡を受けても、現地に行かないと状況が分からない。

学校ネットワークのトラブルには、端末、無線アクセスポイント、校内LAN、インターネット回線、認証基盤、クラウドサービスなど、多くの要素が関係します。
担当者の経験と勘だけに頼るのではなく、いつ・どこで・何が起きているかを、客観的な情報から確認できる状態にしておくことが第一歩です。

チェックリスト
□ 「遅い」と言われる教室や時間帯を特定できている
□ 現地に行かずに、機器や回線の状況を確認できる
□ 複数校の状態を、一つの画面で把握できる
□ 過去のトラブルと対応履歴が記録として残っている

複数校の状況をまとめて確認できれば、障害の発生箇所と影響範囲を速やかに把握できます。現地対応の前に原因を切り分けられれば、復旧時間の短縮にもつながります。

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ネットワーク総点検ポイント②
運用:現場に負担をかけない体制になっているか

こんな課題はありませんか?
トラブル対応が、特定のICT担当教員に対応が集中している。

教育委員会や学校だけで、すべての機器とクラウドサービスを常時確認し続けることは現実的ではありません。
誰が状況を確認し、誰が判断し、異常時にどこへ連絡するのかを、あらかじめ決めておく必要があります。

チェックリスト
□ 問い合わせ窓口が明確になっている
□ 学校・教育委員会・事業者の役割分担が明確になっている
□ 対応が必要な事象だけが、担当者に通知される仕組みがある
□ 遠隔からの一次対応(設定変更・再起動など)ができる

次世代校務DXでは、都道府県教育委員会が主導する共同調達・共同利用も推進されています。
学校や市町村ごとに運用を抱え込まず、地域全体で共通化できる部分がないかを検討することも有効です。⁠⁠

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ネットワーク総点検ポイント③
継続改善:導入後も見直せる仕組みがあるか

こんな課題はありませんか?
整備した当時のままで、その後の利用状況は把握できていない。

学校ネットワークは、一度整備すれば完成するものではありません。
端末の更新、新たなクラウドサービスの導入、動画教材やWeb会議の利用拡大、校舎改修、校務支援システムの更新。
こうした変化のたびに、必要な通信環境も運用方法も変わっていきます。

チェックリスト
□ 通信量や同時接続端末数の変化を把握している
□ 端末・ネットワーク機器の更新時期を整理できている
□ 次に導入予定のサービスの要件を確認している
□ 改善前後の通信品質や、トラブル対応に要する時間を測定・比較できている

教育DXに係る当面のKPIでは、必要なネットワーク速度を確保している学校100%(令和7年度)、次世代の校務システムを導入済みの自治体100%(令和11年度)という目標が掲げられています。
⁠⁠​端末やネットワーク機器、校務支援システムの更新は、クラウド活用を前提とした構成や運用を見直す重要な機会です。
機器や回線だけでなく、保守体制や更新後の運用まで含めて計画しておきましょう。


ネットワーク総点検ポイント④
セキュリティ:校務DX・クラウド活用を前提に見直せているか

こんな課題はありませんか?
校務でクラウドの利用が増えているが、誰がどの情報にアクセスできるか、十分に管理できていない。

次世代校務DXでは、校務支援システムのクラウド化と、学習系・校務系ネットワークの統合が進みます。
快適な中でも、安全性を保つためには、校内・校外を問わず、「誰が・どの端末から・どの情報にアクセスするか」が分かるような基盤を整えることが大切です。

文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和7年3月)」では、学校が扱う情報資産を重要性に応じて分類し、その分類に合わせて管理方法やアクセス制限を定める考え方が示されています。
重要性の高い情報をパブリッククラウドで扱う場合には、多要素認証を含む強固なアクセス制御が求められます。
*参照:文部科学省|教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和7年3月) ※外部サイトへ移動

チェックリスト
□ 多要素認証など、本人確認の仕組みを導入している
□ 利用者・端末に応じたアクセス制御ができている
□ IDの発行・変更・削除を管理できている
□ アクセスログを取得し、確認できる状態にある
□ 事故発生時の対応手順とバックアップを確認している

一方で、対策の導入方法によっては、認証や確認作業が増え、現場の負担につながる場合があります。授業や校務を円滑に進められるよう、安全性と利便性の両立を意識した設計が欠かせません。

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3. 学校DXを止めないために、継続したネットワーク総点検を

学校ネットワークを安定して運用するには、機器や回線を一度整備して終わりにするのではなく、利用状況や環境の変化を継続的に把握し、改善していくことが重要です。
そのためには、トラブルの発生箇所を素早く切り分けられる「可視化」、特定の担当者に依存しない「運用体制」、変化に応じて見直す「継続改善」、そしてクラウド活用を前提とした「セキュリティ」の4つの観点が欠かせません。
すべてを一度に変える必要はありません。まずは現在のネットワークと運用の状況を確認し、できていること、見直しが必要なことを整理しましょう。
小さな点検と改善を積み重ねることが、授業を止めず、教職員や児童生徒が安心して利用できる環境づくりにつながります。

まずはここから!
□ネットワークの状態を日常的に可視化する
 アクセスポイントや無線ルーターなどの稼働状況・通信量を確認し、混雑する教室や時間帯を把握しましょう。
 【関連資料】文部科学省|学校のネットワーク改善ガイドブック(令和7年6月改定)  9ページ ※外部サイトへ移動

□⁠⁠​トラブル対応の役割と窓口を明確にする
 学校・教育委員会・保守事業者の役割、問い合わせ窓口、事業者へ引き継ぐ条件を整理しましょう。

□定期的に確認し、改善を続ける
 ネットワーク状況を定期的に確認し、現場の声とデータを照らし合わせながら改善しましょう。
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□端末・アカウント・権限を棚卸しする
 不要なIDや権限を整理し、多要素認証、端末管理、ログ取得など、必要な対策を確認しましょう。
 【関連資料】 ※外部サイトへ移動
  文部科学省「教育情報セキュリティポリシーハンドブック(令和7年3月)」 4ページ
  詳細確認には「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を参照します。

4. まとめ

もしこの連載が、次世代校務DXやGIGAスクール構想の実現に向けた、小さなヒントとなっていれば、うれしく思います。
理想の環境は一度で完成するものではなく、見直しや改善を重ねることで、少しずつ形になっていきます。
便利で快適な学習環境への道のりは、日々の地道な取り組みの積み重ねによってつくられます。
わたしたちはこれからも、学校現場に寄り添いながら、皆さまの取り組みを支援してまいります。
快適な学習環境の基盤づくりを通じて、すべての子どもたちが公平に学べる社会の実現に、少しでも貢献できれば幸いです。
なにより、本コラムを最後までお読みいただいた皆さまに、心より御礼申し上げます。

※図表は公開データを基にNECが再作図したものです。各調査の詳細は出典元をご参照ください。

 

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