サイト内の現在位置を表示しています。

~株式会社 スズケン 様~

WebOTX - 導入事例

生産性を支える性能と高い運用管理性で
医薬品物流の効率化と高度な品質管理を支援

医薬品および医療関連商品の販売から医薬品情報の提供、さらには医療機器の研究開発に至るまで、医療・健康に関わる幅広いビジネスを展開するスズケン。同社では、コア事業である医薬品物流にかかわる戦略的な業務プロセス改革に着手し、その基盤として「庫内物流システム」を新たに構築した。システムの中核には、NECのサービス実行基盤「WebOTX」が採用され、信頼性や性能、運用管理性の面で同社のビジネスを支えている。

在庫の適正化と管理の徹底を目指し物流プロセスの改革に着手

新しい価値の創造により,地球の健康とすべての人々の健康で豊かな生活に貢献することを経営理念の1つに掲げ,「健康創造企業」として事業を展開するスズケン。中でも,医薬品流通事業の分野では,国内最大クラスの規模とシェアを誇る。

医薬品流通事業において,最大のテーマとなるのが,メーカーから仕入れた医薬品をいかに安定的に医療機関や調剤薬局に供給するかという点だ。そのため,同社では,全国に約200カ所の支店を配し,各地の顧客からの発注に素早く対応できる体制を整えてきた。

「医薬品という商品の性格上,『在庫がありません』という対応は決して許されないからです。一方で,そのために各支店は常に大量の在庫を抱えねばならず,販売の機を逸した有効期限切れの医薬品は廃棄しなければならないというムダも生じていました」とスズケンの武川 浩久氏は語る。

医薬品の管理面での課題もあった。

同社では,医薬品の「入庫」「在庫」「出庫」管理は,すべて基幹業務全般を担うメインフレーム上の受発注システムと現場の社員が蓄積してきたノウハウでカバーしてきた。「しかし,より高い品質管理のためには,その医薬品がいつ入荷し,どこに保存され,いつ,どのお客様に出荷されたのかを正確かつ効率的に管理する必要があったのです」と武川氏は述べる。

こうした課題を解消すべく,同社は,2003年秋に物流プロセスの改革に着手した。具体的には,まず医薬品の集中管理と管轄する複数支店への供給を担う地域物流センター,地域商品センターを全国展開し,各支店の在庫は必要最小限に留めた上で,メーカーから仕入れた医薬品は一旦各地の物流・商品センターに集約。そこから必要に応じて各支店に供給するという手法を採用したのである。これにより,各支店内の在庫の適正化を目指したわけだ。一方の品質管理については,医薬品のロット番号による,より厳格な管理を実施することにした。

流通・物流分野における豊富な経験と実績を高く評価

こうした物流プロセス改革の一環として,同社では新たなシステム基盤の整備にも取り組んだ。その際,欠かせないシステム要件となったのが,24時間365日の安定稼働を保証する信頼性,現場業務の生産性を維持するための性能の確保,そして,メインフレーム時代には実現できなかったリッチなインタフェースなどによる操作性の向上である。

ベンダー4社にRFPを提示後,同社は,それらの提案を総合的に検討し,最終的にNECの提案を採用した。「信頼性と性能,コストはもちろん,流通・物流分野における豊富な経験と実績を持っていることも評価の対象でした」と武川氏は選定のポイントを語る。

NECの提案内容とは,医薬品物流を司る部分をメインフレームから同社の統合エンタープライズサーバ「NX7700i」をプラットフォームとするオープン環境に移行。そこに,物流センターと各支店の医薬品を管理する「庫内物流システム」を構築するというものだった。操作性の向上を実現するには,オープン化が欠かせないという判断などが背景にはあった。その上で,システムの中核には,サービス実行基盤として「WebOTX」を据え,メインフレーム並みの信頼性,性能の確保を目指したのである。

zoom拡大図
庫内物流システムの概要

メインフレーム時代からの要件である2秒以内のレスポンスを実現

庫内物流システムは,現在までに約200の支店,全国5カ所の物流・商品センターへの展開が完了している。これにより,同社では,物流センターと各支店を連携させた効率的な医薬品物流を実現。過剰在庫の問題を解消し,物流のリードタイムを短縮することができた。

品質管理の面でも,個々のロットの所在を常に把握できるようになり,より高度な管理体制を構築している。さらには,「注文を受けた際に,どのロットの商品をどの棚の何段目,何列から取り出して出荷すべきかを,ハンディ端末を使って容易に参照できるようになっています」(武川氏)と,庫内物流システムは業務の標準化にも貢献している。

一方,システム構築時の大きな要件であった信頼性,性能の面では,WebOTXが大きな成果を上げている。そもそも,ロット管理を採用した庫内物流システムでは,従来に比べ管理データが飛躍的に増大するため,性能を維持することは,そう簡単ではない。「さらに言えば,使いやすさを犠牲にせずに,その性能を実現できるかどうかが重要なポイントでした。しかし,庫内物流システムでは,データ入力画面のGUI化など,オープンシステムならではの利点を享受しつつ,メインフレーム時代からの当社の不文律である“2秒以内のレスポンス”をきちんと確保しています」と武川氏。

ほかにWebOTXは運用管理面での効果ももたらしている。庫内物流システムでは,データ入力業務などの操作性向上を目的にリッチクライアントを採用しているが,本来,このようなケースでは,管理者が必要なモジュールを各クライアントに配信するという運用を行う必要がある。それに対し,WebOTXには,クライアントがアプリケーションを起動すると同時にサーバ側のモジュールを自動的にチェックし,更新があればその差分をダウンロードしてくるというダウンローダ機能が装備されている。この機能を活用することで,同社では,管理者がモジュール配布などの作業を行わずとも,クライアントを常に自動更新できる環境を実現したのである。

今後も同社では,新たな物流センターの設置,それに伴う庫内物流システムの拡張を行っていく考えだ。「その支援はもちろん,他の領域でも,NECには,他の業種の最新動向なども踏まえた広範な視点からの提案をお願いしたいと考えています」と語る武川氏。同社は,次の飛躍を見据え,NECとのさらなるパートナーシップの強化に期待を寄せている。