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~GE Money 様~

WebOTX - 導入事例

大規模勘定系システムにおいてメインフレーム並みの性能と信頼性をWindowsベースで実現

パーソナルローンやクレジットカード、住宅ローンなどの分野で多彩な商品・サービスを展開するGE Money。同社では、金融ビジネスを取り巻く激しい変化に対応するため、メインフレーム上で運用してきた勘定系システムをオープン化。新システムの中核には、NECのサービス実行基盤「WebOTX」を据えた。稼働後の新システムは、メインフレームを超える処理性能を発揮するなど、高い成果を上げている。

独自のユニット構成を採用しシステムの柔軟性と可用性を追求

米国GE(ゼネラル・エレクトリック・カンパニー)の個人向け金融サービス部門の日本法人であるGE Money。同社は,「GE Money」ブランドで住宅ローンやクレジットカードの商品,「レイク」ブランドで個人向け無担保ローンを提供するなど,幅広い金融サービス事業を展開している。

2005年10月,同社は,無担保ローンビジネスの基幹を支える勘定系システムを,それまでのメインフレームによるシステムからWindowsベースのオープン系システムへと移行し,「MCS(Multi Clustered System)」と呼ぶ新システムを稼働させた。

「当時業界全体に変革の波が押し寄せていましたし,会社の戦略上も業種の垣根を越えたパートナー提携や商品・サービスの多様化などへのタイムリーかつ柔軟な対応が不可欠となっていました。旧来のメインフレームベースのシステムでは,対応は難しいと判断したのです」とGE Moneyの白川 学氏は振り返る。

それを実現するため,同社が新システム構築の要件として掲げたのが,システムの拡張性,拡張時の投資の適正化である。商品やサービス,提携先の多様化に加え,店舗や無人契約機,ATM,さらにはインターネットや携帯電話など,扱うチャネルが拡大する中,将来のピークを予測してIT投資を行うといった従来型のやり方では,もはや対応しきれない。必要な時に必要な分だけ,しかも適正なコストで投資が行えるような仕組みが必要だと考えたのである。

そこでGE Moneyでは,廉価なPCサーバ構成一式を1つの“ユニット”として捉え,各業務システムをサービス機能ごとに複数のユニットで構成。拡張の際には,ユニットを1つの投資単位とし,スケールアウト方式で追加していくという方法を独自に考案した。これにより,業務量の変化,新機能追加などにも柔軟かつ迅速に対応できる。さらには,金融業務に厳しく求められるシステムの可用性についても,ユニットを多重構成にすることで,障害箇所を局所化でき,業務の継続を図れると考えたわけだ。

一方,業務アプリケーションについては,一貫して自社開発することにこだわった。「ノウハウを自社に残すのが目的です。構築後の変更要求の度に,改修をベンダーに委ねなければならない状況では,迅速な対応ができないと考えたのです」と白川氏は話す。

客観的かつ徹底した検証を実施しサービス実行基盤を選択

このような要件のもと,同社は,NECにシステム構築とアプリケーション開発についての技術支援を依頼することにした。「GEはグローバルでビジネスを展開しているので,システム開発においてグローバルなパートナーもいますし,事業を展開する国でのパートナーもおり,常にビジネスを推進する上で最善のサービスを提供してくれる先を選定しています。MCSに関しては,NECがWindowsベースのシステムを構築という前例のないチャレンジを行おうとする我々の意思を尊重してくれたことから選ばせていただきました」と白川氏は述べる。

実際,同社の勘定系システムは膨大な数のトランザクションを処理している。そのシステムが備えなければならない性能と高信頼性を考慮すると,すべてをPCサーバベースで構築しようという同社の方針は,まさにチャレンジだったといえる。

NECをMCSの構築パートナーに迎えた同社は,システムを構成する製品などの選定に着手。その際,最も慎重になったのがMCSの要となるサービス実行基盤だったが,性能,安定性などを評価し,NECの「WebOTX」を採用することにした。

「メインフレーム同様の性能や可用性を実現しなければならない状況で,様々な製品を客観的かつ徹底的に検証し,最終的に選定を決定しました」と白川氏は,選択の経過を説明する。

zoom拡大図
GE Money MCS概要

シンプルなシステム構成により新規システムの短期構築も実現

約3年にわたる開発・検証期間を経て,MCSは稼働を開始した。以来,2年の間にサーバ台数は94台から約200台にまで拡張。ピークトラフィックは,従来のメインフレームシステムに比べ,3倍近い数値となる472~473トランザクション/秒を記録するなど,WebOTXは,MCSの性能に期待通りの効果をもたらしている。

「オープンシステムの採用で懸念された可用性の面でも,WebOTXのマルチプロセスによるアプリケーション実行環境なら,万一プロセス障害が起こっても,全体に影響を与えることはありません。また,Javaのガーベジコレクション(GC)処理も最適化されており,Javaベースのシステムで不安材料となるGCによるレスポンス遅延といった問題も発生していません」と白川氏は述べる。

このMCSは,稼働後,同社のビジネスに多大な影響を及ぼしている。例えば,同社では新型無人契約システム(eACM)やコールセンター関連システム,あるいは子会社のビジネスを担う勘定系システムを,それぞれMCSをベースに従来の3分の1程度の期間で構築している。

「弊社で扱う商品は,サービスの面ではシステムを共通利用できる部分が多く,新規にシステム開発を行う際は,独自部分だけを開発し,新たなユニットを追加することで対応しています。要するにシステム自体が非常にシンプルな構成になっているのです」と白川氏は説明する。

今後,両社は,MCSをベースにしたシステム機能を,有償サービスの形で外部企業に提供することも検討しているという。そして,その基盤を担うのもWebOTXである。「ですから,セキュリティ機能やドメイン管理機能など,今後のサービス基盤に欠かせない機能を提供できる,次バージョンのWebOTXにも期待しています」と白川氏は,最後に語った。