サイト内の現在位置を表示しています。

~株式会社 大林組 様~

WebOTX - 導入事例

何より重視したのは「止まらない」こと
業務改善を目指し基幹システムを刷新

国内外における建築工事から都市開発など、建設に関する広範な事業を展開する大林組。同社では、老朽化、複雑化したシステムの課題を解決するため、10年にわたって利用していた購買システムの全面リプレースを実施した。構築を担当したのは、サービス実行基盤に「WebOTX」を擁するNEC。稼働開始後、同社は、新システムを基盤に、業務プロセスの標準化などにも積極的に取り組もうとしている。

購買・見積業務から契約業務までプロセス全体の電子化を目指す

企業収益の改善による民間設備投資の増加と公共工事の抑制などで受注競争が激化している建設業界。こうした中,大林組では,競争力の強化を目指し,購買業務の見直しや施工の効率化を推進している。その一環として,同社では,従来のシステムを刷新し,「総合調達システム」の構築に取り組んだ。

システムを刷新するに至った直接のきっかけは,これまで購買業務を担っていたシステムが老朽化していたこと。「約10年間利用しており,ハードウェア,ソフトウェア共に更新が難しくなり,リプレースするしかありませんでした」と大林組の松並 孝明氏は語る。

また,10年の間には様々な機能拡張が行われており,システム内部が複雑化,ブラックボックス化している所があったことも理由の1つ。新たな機能拡張は利用者にとってメリットがないと判断された。

そこで大林組では,2004年に新システムの構築を決断。旧システムは,契約業務で発生した文書の結果を入力して管理するシステムが中核にあったが,それを改め,購買・見積から契約業務そのものを書面も含めて一貫してシステム上で行うようにし,さらには他システムとの連携も強化。請求書入力などの関連業務もサブシステムとして組み込むことでシステム間の連携をより強固にしたのである。

システムの安定稼働を至上命題に慎重にパートナーを選定

こうした構想を実現すべく,2005年10月,大林組は,ベンダー各社に対してRFP(提案依頼書)を発行した。中でも,特に力点を置いたのが,システムの信頼性に関する要件だという。「業務の性格上,障害などによりサービスを停止することは許されません。ですから,安定稼働を至上命題としてRFPに盛り込みました」と松並氏は言う。

その上で,出そろった各社からの提案を比較検討。最終的にサービス実行基盤「WebOTX」を中核にシステム構築を行うというNECの提案を採用した。

「コスト面をはじめ,様々な観点から総合的に判断してNECに決定しました。中でも,業務のミッションクリティカル性に対する認識をはじめ,RFPの内容をよく理解しているという印象は,決定を強く後押ししました」と松並氏は説明する。

また,決定の背景にはWebOTXの実績に対する安心感もあったという。以前,同社も参画し,複数企業が共同で立ち上げた調達システムにおいて,負荷集中に伴うレスポンス低下が発生し,利用者の接続数制限を行ったことがあった。「そのトラブルの解決策として,導入されたのがWebOTXだったのです。導入後は,システムの安定性が向上し,以来,ミッションクリティカルなシステムの安定運用に対するWebOTXの効果に注目するようになりました」と松並氏は話す。

このような経緯を経て,同社は2006年の初頭から実際のシステム構築を開始。構築された新システムは,まず2007年6月に東京本社,次いで,8月に残りの全支店に展開された。

zoom拡大図
総合調達システムの概要

安心な運用を支える国内製品ならではの迅速なサポート

「総合調達システム」の構築に当たって,同社が購買・見積から契約業務をシステム上で行うようにしたことはすでに述べたが,その際,各業務プロセスの整理,標準化も同時に行っている。「ただし,見積から契約に至るまでのプロセスには各支店で違いがあります。また,土木と建築という部門間にもプロセスの違いがありましたから,それらの最大公約数的な部分を抽出してデザインすることにしました」と松並氏は振り返る。まずは緩やかな変革を実施し,その後,徐々に業務のあり方を規定しながら,プロセスの改善,効率化を順次目指そうと考えたのである。「ですから,リリース後もプロセスの移行に伴う混乱は避けることができました。業務プロセス改善に向けた基盤を構築するという目的は達成できたと考えています」と松並氏は満足感を示す。

もちろん,最大のポイントであったシステムの信頼性,安定性も十分に確保されている。稼働後に,アプリケーションの問題によってトランザクションが滞留するといったトラブルがあったが,システムがダウンするには至っていない。「ログなどを確認しなければ正確には分かりませんが,WebOTXが機能していたと思います」と松並氏。

このように問題の解析に必要なログがWebOTXにすべて確保されていること,さらにはNECのトラブルシューティングに向けた迅速なサポート体制も,同社では高く評価している。「特にトラブルシューティングの早さには,国内の技術者が開発に当たっている国産製品ならではのメリットが活かされているといえるでしょう」(松並氏)。

今回,構築した総合調達システムは,日本版SOX法などの法規制対応に向けた内部統制の観点からも成果が期待されている。「内部統制に対応するには,人手で統制を行っている部分の電子化,自動化が大きなポイントとなります。それを実現するための基盤環境が整ったという意味でも,今回のプロジェクトは意義深いものといえます」と松並氏は語る。

また,今後システムを運用していく中では,サーバやアプリケーションを追加するなど,新たな展開も考えられるが,そのような場合にも有効な機能や拡張製品がWebOTXには用意されている。例えば,グリッド技術を活用した負荷分散機能であるWorking Domain Coordinatorやサービスを停止することなくアプリケーションの追加,切り替えを行える製品である,WebOTX業務拡張オプションなどだ。

「将来的には,WebOTXで提供されているESB(Enterprise Service Bus)やコネクタなどを利用して他システムと連携させるといった展開も考えられます。そうした取り組みに関しても,当社のシステムに活かせるものがあればぜひ提案してもらいたいですね」と語る松並氏。その発言からは,同社のWebOTXに対する信頼感の大きさをひしひしと感じることができる。