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~静岡県農協電算センター 様~

WebOTX - 導入事例

ACOSの高い安全性を活かし、端末やネットワークは標準的なものを利用したい

静岡県下JAおよびJA静岡経済連の経済業務・管理業務の情報管理を受託する静岡県農協電算センター様は、平成元(1989)年の第一次オンラインシステム構築後、平成9(1997)年にシステムを更新。さらに平成19(2007)年に第三次オンラインシステムを構築されました。従来の経済システムは、ホストとJA店舗側の各業務向け専用端末・PCというシステム構成でしたが、新経済情報システムは、SOA(Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ)の考え方にもとづき、高度な安全性と最新のWeb技術を利用した高い柔軟性を両立するシステムとして構築されました。新経済情報システムのあるべき姿の検討過程について、静岡県農協電算センター 参事の大石辰彦氏は次のように語ります。

「構想当時はダウンサイジングが全盛の時代でしたが、果たして当社にフルオープン化するだけのパワーや技能があるのかという疑問が付きまといました。また、メインフレームACOSの機能にはユーザも満足していることもあり、ACOSの高い安全性、データ切り替えの手間やリスクを考えると、ベースはACOSを更新して継続するほうがよいのではないかと考えました。
ただし、JA店舗の業務端末については、これまでのように専用端末・PCではなく汎用PCが使えるようにすることや、ネットワーク通信についても、これまでの専用線でなく標準的なプロトコルを利用したいと考えていました」

外側はオープン、内側はACOSのシステム構成を選定

さまざまなベンダからの提案を聞くと同時に、静岡県農協電算センター様は基本的なシステム構築方針の実現方法についてNECに相談しました。

「新経済情報システムでは、外側はオープン、内側はACOSというシステム構成にしたいと希望を述べると、NECからは“任せてください”という返事をもらいました」

新経済情報システムとして考えられるシステム構成では、ダウンサイジング化、パッケージ活用など、複数の構築方法の比較を十分行いましたが、ACOSのシステムの安定性と、システム優良資産の活用による開発コストの圧縮という大きなメリットがあるため、静岡県農協電算センター様は方針を決定。

「ダウンサイジング化するとの意見もありましたが、こうしたメリットが有るため、経営会議でも賛成が得られ、NECの提案を採用することに決定しました」と大石氏は選定の経緯を述べます。

静岡県農協電算センター様では、各JA様の業務の重要性を考慮し、新経済情報システムへの一挙切り替えを計画しました。

「メインフレームの更新では変更部分のみの検証を行いましたが、JA窓口の端末は操作性等が変わるため、使用する全職員を対象に操作に関する事前研修を行いました。以前であれば、研修施設に大掛かりな準備をして行っていましたが、汎用PCとデファクトスタンダードな通信手順のため、各JA様の会議室に研修環境が容易に準備することができ、短期間に複数の会場で研修を進めることができました。

また、全JA様の全店舗端末より一斉入力を行って負荷テストも行い、動作の確認を行いました」と、システム部 運用企画グループ マネージャーの高田徹也氏は導入準備の状況を語ります。

SOAの考え方にもとづきメインフレームをラッピングし、安全性と柔軟性を両立

新経済情報システムでは、メインフレームにACOS-4、端末に汎用PCを採用し、この両者を結ぶオンラインサーバ基盤にWebサービスに必要とされる機能を提供するWebOTXを採用。(WebOTXは、日経コンピュータの顧客満足度調査において満足度No.1を獲得したWeb アプリケーションサーバー製品(*)です。)オンライン業務に関しては、すべてWebサーバ、アプリケーションサーバを介してACOS-4と接続することで、ユーザインタフェースなどフロント側の完全オープン化を実現しました。

このシステムは、SOAの考え方をベースに、メインフレームをラッピングしたもので、メインフレームに手を加えることなく、オンラインサーバを拡張すれば、他業務システムとの連携や業務システムの見直しも容易にできる柔軟なシステムを実現。メインフレームの高い安全性とオープン系の柔軟性を併せ持つシステムとなっています。

端末システムに関しては、VB.NETで業務画面を構築し、リッチクライアント化。旧端末の機能や操作性を継承しています。

また操作画面では、シングルサインオンを実現し、ユーザにとっての使いやすさを追求。現在では、ICカード連携によって、さらに使いやすく安全度の高いシステムになっています。

新システムによる業務効率化やコスト削減を実感。今後の段階的なシステム拡張にも期待

システムが稼働して3年目を迎えていますが、これまで順調に運用が行われています。新経済情報システムに関して、高田氏は次のように評価します。

「当初はACOSのI/Oが非常に速いこともあり、ジョブコントロールができない面もありましたが、バッチ処理の終了時刻を2:00から23:00にする目標を立ててジョブを組み立て直し、チューニングを行うことでうまくコントロールできました。そうして目標が実現できたのは業務の効率化という面でもたいへん大きな成果といえます。また、オンラインシステムにおいても、ACOSの性能をWebOTXが十分に引き出してくれるので安心して運用が行えます」

「便利だと感じているのは、プログラム自動更新機能です。管理者がモジュール配布などの作業を行うことなく、簡単に端末の機能変更や機能付加を行うことができるので、配布コスト削減やミスの低減につながっています。」と大石氏。

さらにSOAの考え方に基づいたシステムについても、「大掛かりなものではありませんが、少しずつメインフレームからオープン系へと、業務の切り出しを進められるようになりました。今後、オープン化を進めていっても、どうしても残さなければいけない資産も出てくると思いますが、そうした場合でも残さなければいけない部分はそのまま上手く活用し、必要な部分だけをオープン化していけるので将来的なシステム拡張も安心です」と期待を寄せます。

静岡県農協電算センター様では、現在、約150台のサーバが稼働しています。ACOSがコンパクトになったので、省スペースというメリットもあったと語る大石氏は、将来のシステムについて次のように語ります。

「第4次にあたるオンラインシステムをどうすべきか考える時期を迎えています。最新の技術トレンドを見ながら、どうするかを検討しなければなりませんが、NECには、われわれが考えつかないような提案をしてほしいと思っています。また例えば、流通業や物流など、あらゆる業種・業界の豊富なSIノウハウを盛り込み、NECならではの総合力を活かした提案をしてほしいと考えています」と、大石氏は期待を込めて語ります。

NEC担当スタッフの声

NEC
金融ソリューション事業本部
第二金融ソリューション事業部
プロジェクトディレクタ
塩野 勝也

端末側プログラムの開発では、端末開発ツールの選定、ACOSとの接続の方式検討を行い、端末-サーバ間は、SOAP通信による.Net-Java接続、サーバ-ACOS間はWebOTXのACOSアダプタ接続としました。当時は事例が少ないSOAP通信による.NET-Java接続で、業務端末システムとしてのレスポンスが出るかを心配していました。社内開発部門と連携をとりプロトタイプ評価を行うなど万全を期しましたが、実際には、レスポンスの問題もなく、標準プロトコルHTTPによる端末-サーバシステムの構築ができました。

また、WebOTXの採用によるサーバ基盤の構築と、通信プロトコル変換、文字コード変換の機能の搭載によって、ホストシステムへの影響も極小化することができました。

ピーク時には70~80名のSEが携わる大規模なプロジェクトでしたが、業務端末システムの方式の見通しが立ち、業務開発については、お客様のご協力により、納期を守ることができました。

今後の新たな第4次オンラインシステムについても、最新の技術動向を踏まえ、安定稼働を実現する提案を行っていきたいと考えています。