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日本のオフィスの発展を支えてきたイトーキ様は、2005年に製販別々だった会社の垂直統合を行いました。これを機に従来、生産品目ごとの工場で利用していた7つの生産管理システムの統合を計画。NECの製造業向け基幹業務パッケージ『EXPLANNER/J』を採用し、標準機能を活かしながら工場ごとの特性と特注品への対応を盛り込みカスタマイズ。工場への導入を順次進めています。すでに業務の効率化や特注品対応作業のスピードアップなどの効果を上げています。今後、全国内工場への展開、さらには海外拠点への展開を視野に入れ、製販一体のメリットを活かす全体最適を追求しています。
株式会社イトーキ
情報システム統括部
情報システム部
部長
松岡 範男 氏
110年を超える歴史の中で日本経済の発展とともに歩み、日本のオフィスの発展に寄与してきたイトーキ様。2005年6月1日には、製造会社の旧イトーキクレビオ様と販売会社の旧イトーキ様が統合し、新生「株式会社イトーキ」様としてスタートしました。
イトーキ様では統合を契機に生産管理システムの見直しを行い、受注から生産・出荷までをフルサポートするNECの製造業向け基幹業務パッケージ『EXPLANNER/J』を導入。生産工場への展開を順次進めています。新基幹システム導入の背景について、情報システム統括部 情報システム部 部長の松岡範男氏は、次のように語ります。
「2005年の合併は製販を一体化することにより、営業と生産が緊密に連携してリードタイムの短縮や在庫削減を実現し、市場で競争優位に立つことを目的としていました。そのため、生産と販売という大きく文化の異なる企業風土の融合を図るのはもちろんのこと、すべてのシステムを統合する必要がありました。
工場の生産管理に関して言えば、製品により異なる生産の仕組みを持つ各工場がそれぞれ部分最適を追求してきたため、全体最適が実現されていませんでした。そこで、標準パッケージを採用し、これをベースに生産の仕組みを統合して全体最適を実現しようというのが『EXPLANNER/J』導入の最大の目的でした」
この方針の下、イトーキ様は標準パッケージとして利用する基幹業務パッケージの選定に入りました。情報システム部 システム開発課 第2グループ グループ長の辻井良雄氏は、次のように選定の状況を語ります。
「12社、11のパッケージについて検討しました。2日間にわたり1社30分ずつのプレゼンを行い、われわれ9人が審査をしました。その結果、得票数No.1は『EXPLANNER/J』でした」
「選定で重視したのは、日本の製造業の実情をよく知る日本のパッケージであること、アドオン・カスタマイズが容易なこと、Webシステムであることでした」と松岡氏。
「当社には12工場がありますから、Webで使えて1箇所で集中管理できることが必須の条件でした。また開発支援ツールの『EXPLANNER/J Studio』が提供されているので、すぐに対応できる自由度の高さも魅力でした。さらに自信に満ちたプレゼンが安心感を与えてくれました」(辻井氏)
「提案内容がよかったという強い印象が残りました」と情報システム部 システム開発課 第2グループの保住善之氏は評価します。同様に情報システム部 システム開発課 第2グループの宮脇裕二氏は「提案内容が面白く、活用するのによいと思いました」と語ります。
情報システム部
システム開発課
第2グループ
グループ長
辻井 良雄 氏
システム化にあたり、ポイントになったのは各工場が利用している7つの生産管理システムをいかに1つの統合生産管理システムにするかでした。
「プロジェクトには各工場の生産管理担当者がメンバーに加わっていましたが、それぞれの製品ごとに育んできた生産のやり方やシステム、文化が存在しています。その良さを活かしながら統合することが最大の課題でした。パッケージには標準を利用すれば早期に導入できるという大きなメリットがあります。このメリットを活かすには、各工場の独自性と標準をどう整合させるかの事前調整を十分に行う必要がありました」と、キャビネットの生産管理を担当していた辻井氏。
また金庫を担当していた保住氏も、宮脇氏も、それぞれシステムを育ててきた背景があるので、システム化の手前の調整段階で苦労したと語ります。
もう1つ大きなシステム化のポイントになったのが、SO(Special Order)品と呼ぶ特注品への対応でした。
「標準品だけでなく、SO品ができなければ営業になりません。ですから、SO品対応というのはシステム上大きなウェートを占めます」(辻井氏)
「SO品の売上比率は高くありませんが、カタログ記載の標準品だけではビジネスになりません。競争優位に立つには、SO品のリードタイムを短縮して標準品と合わせてお客様に納品する必要があります」
こうしてアドオン/カスタマイズなどの詳細仕様を確定し、製造、テストの段階を経て、いよいよ2007年5月、まず滋賀のキャビネット工場での本番稼働が始まりました。
「協力工場も含めて集合教育を行いましたが、需要期にかかっているときに一挙に新システムに切り替えたこともあり、落ち着くまでに3ヵ月ほどかかりました」と辻井氏は、導入時の苦労を語ります。
また松岡氏は「人間は変化を嫌う習性があり、“総論賛成、各論反対”ということになりがちです。多少強引に進めたことも要因だと思います」と述べます。そして、2番目に稼働したのがチェア工場でした。
「キャビネット工場での経験を踏まえ、チェア工場では必要と思われる事前の導入教育の70%程度まで実施することができました。また新システムに切り替えたのも、繁忙期をはずした9月にしたこともあり、比較的順調に本番を迎えることができました」(辻井氏)
さらに11月には金庫工場で本番稼働が始まりました。
「金庫工場では、旧システムとの並行運用を行い、同じことを何度も繰り返し説明して納得してもらいながら導入したので、最初から安定稼働を実現することができました」と保住氏は、経験を活かした導入方法が安定稼働に結び付いたことを強調します。
情報システム部
システム開発課
第2グループ
保住 善之 氏
システム稼働後の効果について、松岡氏は次のように語ります。
「もともと全体最適の実現がねらいでしたから、現段階での効果測定は難しいのが実情です。ただ確実に言えることは、SO品への対応作業が非常に楽になったことです。
また間接部門のスタッフについては、同じ敷地内にある工場は要員も統合できるのではないかと考えています。こうした要員の効率化はコスト削減にも結び付いてきます」
「キャビネット工場の場合、実績データを取るとき、今まで人手で書いていましたが、システム化されたので、非常に便利になりました。
またSO品では、品番を自動生成してSO構成が登録・管理でき、SO品の部品構成(BOM)も簡単に登録できるようになったので、新規のSO品では2割、新しい部品を追加する程度のSO品ならば300%も業務スピードがアップしました。これは、生産のリードタイム短縮にもつながってきます」(辻井氏)
また定性的な効果について、宮脇氏は次のように述べます。
「今までは、それぞれの工場独自の生産管理システムなので、各工場を担当する情報システム部門の担当者だけがユーザの問い合わせに答えることができました。それが現在では、共通のシステムになったので、4人の担当者の誰もが問い合わせに答えることができるようになりました」
「今では何でも聞かれ、相談されるようになりましたので、良い意味で自分の名前が売れていると感じられます」(保住氏)
「問い合わせや相談が多いということは、次第に新システムを使うメリットがわかってきているからだと思います」(辻井氏)
情報システム部
システム開発課
第2グループ
宮脇 裕二 氏
イトーキ様は、全体最適を追求するため、今後も統合生産管理システムの展開を順次展開する予定です。この点について、松岡氏は次のように予定を述べます。
「2008年の末までにはゾーニング関連製品の新工場が千葉に完成する予定です。ゾーニング関連製品は完全な受注生産であり、工場制御システムなどとの連携などの新たな課題もありますが、こうした単品生産への対応も期待しています。
この新工場への展開の前に、寝屋川工場からは“早く導入してほしい”との要望もきていますし、京都工場への展開も残っています。千葉工場への展開前に導入するかどうか、スケジュールを調整しながら進めていきます」
また海外への展開についても触れます。
「当社は中国に生産拠点を持っていますが、将来的には、国内外の生産拠点を同一のシステムで一括管理することも視野に入れています」
統合生産管理システムのプロジェクトに携わった各氏は、NECについてこう評価します。
「よくわれわれに付き合ってくれたというのが実感です。営業もSEも責任感をもって仕事をしてくれました。千葉新工場も含め、今後の展開にも期待しています」(辻井氏)
「こちらの要望と、コストや納期を勘案して実現できるところ。この2つの落としどころが中間のところで落ち着くことがわかるほど密な関係になりました」(宮脇氏)
「全体的にまじめであるという印象であり、高い評価を与えられます」(保住氏)
「最初のキャビネット工場への導入では、どうなることかと心配しましたが、NECの力もあって無事に稼働しました。今後は、業務改革と統合生産管理システムの改善を進め、相乗効果を追求していくつもりです。
もともと標準パッケージを選んだのは、われわれの要望を吸収して機能を拡張し、製造業の変化に対応するレベルアップ、バージョンアップにつなげてもらえると考えていたからです。その意味で互いに智恵を出し合いながら、良きパートナーとして今後もNECと付き合っていきたいと考えています」と松岡氏は期待を述べます。
(2008年3月28日現在)