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NECと弘前大学、AIと健康ビッグデータを活用し、約10年先の健康リスクを個人ごとに予測する検証を実施

~生活習慣の改善や予防施策につなげ、早期の健康づくりに貢献~

2026年3月23日
日本電気株式会社
国立大学法人弘前大学

日本電気株式会社(注1、以下NEC)と国立大学法人弘前大学(注2、以下弘前大学)は、共同研究(注3)において、2024年11月から2026年2月にかけて、NECの独自技術である長期予測AI(注4)と弘前大学COI-NEXT拠点(注5)が有する健康ビッグデータを活用し、生活習慣病や身体機能、認知機能など複数の健康指標において、約10年先の健康状態の変化を個人ごとで予測する検証を行いました。その結果、予測値と実測値の相関係数は0.67と、相関性が高く、高い予測精度を確認しました。これにより、個人ごとの将来の変化を効率的かつ精度高く捉えられるようになるため、一人ひとりに合った健康づくりや予防的な健康行動に役立てることが期待されます。

背景

人生100年時代を迎え、健康寿命の延伸は社会全体の重要課題です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病だけでなく、高齢期に増える身体の衰えや認知機能の低下も含め、幅広い予防が求められています。特に高齢期は、健康リスクが年齢とともに変化し、人によって何を優先して対策すべきかを見極めることが重要です(注6)。
また、早期から予防的な健康行動を開始し継続することは、将来の健康リスク低下と関連することが報告されています(注7)。このため、将来の健康状態の変化を早い段階から予測できれば、リスクが積み重なる前に生活習慣を見直したり、管理を強化したりしやすくなると考えられます。
しかし、個人ごとに長期的な健康状態の変化を予測するために必要な「同一人物を長期間追跡したデータ」は限られており、高精度な予測モデルの構築は難しいという課題がありました。

活用したNECの長期予測AIと弘前大学の健康ビッグデータについて

今回、同一人物を長期間追跡したデータが無くても、年代の異なる多くの個人の単年度の健康データを使って学習し、将来の健康状態の変化を予測できるNECの長期予測AIを活用しました。具体的には、年齢変化の一例として「現在60歳の人々の集団は10年後には現在の70歳の人々と似た傾向を持つ集団に変化する」という考え方に基づき、最適輸送アルゴリズム(注8)を用いて、年代ごとの健康データの分布を数学的に対応付けます。同一人物の将来データが無くても、この対応付けを活用することで、個人ごとの将来の健康状態の変化を推定できるようになります。
また、弘前大学が青森県弘前市などと共同で20年以上にわたり実施してきた「岩木健康増進プロジェクト」の健康ビッグデータを活用しました。このデータは、身体機能・認知機能・生活習慣・食事・心理など約3,000項目の多面的かつ網羅的な情報を個人ごとに収集した、延べ3万人のデータから成り立っています。健常者の経年変化を含む健康データが豊富にあることも、予防研究にとって大きな強みです。

個人ごとの将来の健康状態の変化を予測するNECの長期予測AI

本検証について

今回、60~65歳時点の健康データを起点とし、3年後・6年後・9年後の健康状態を、それぞれ予測しました。血圧、血糖、脂質、BMI、握力、歩行速度、認知機能など、生活習慣病や身体機能、認知機能に関わる複数の指標について、予測値と実測値を比較し、精度を評価しました。
その結果、予測値と実測値の相関係数は0.67と、相関性が高く、高い精度で予測できていることを確認しました。また、従来の「予測期間分だけ年上の年齢層の平均値を将来値とする手法」(相関係数0.13)と比べ、大幅な改善を確認しました。これにより、平均的な予測では捉えにくい、個人ごとの将来の変化を把握できる可能性が示されました。

期待される効果と今後の展開

本技術により、将来の健康リスクの高まりを早期に予測し、生活習慣の改善や予防施策につなげるなど、先手を打った健康づくりが可能になります。また、自治体では、地域住民全体の将来の健康状態を見据えた施策設計や、費用対効果の高い介入先の選定への活用が期待できます。
NECと弘前大学は、今後も関連技術の研究開発と社会実装をさらに推進し、個人と地域の健康づくりの高度化に貢献していきます。

以上

  • (注1)
    本社:東京都港区、取締役 代表執行役社長 兼 CEO:森田隆之
  • (注2)
    所在地:青森県弘前市、学長:福田眞作
  • (注3)
    弘前大学とNEC、共同研究講座「ヘルスケアAIシステム学講座」を開設(2024/6/7)
    https://jpn.nec.com/press/202406/20240607_01.html
  • (注4)
    特許出願中(2026/3/23時点)
  • (注5)
    弘前大学では、2022年10月に文部科学省・国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」に採択された。弘前大学COI-NEXT拠点では、健康を基軸に、若者が地域で働きたいと思える成長産業として魅力的なヘルスケア産業を創出することによって、地域の人々を健康にしながら経済発展し、全世代の人々が生きがいをもって働き続けることができ、心身共にQOLの高い状態での健康寿命を延伸する、well-beingな地域社会モデルの実現をめざしている。
  • (注6)
    高齢者における栄養管理 ― ギアチェンジの考え方:日本医事新報. 2016;4797:41-7.
    new windowhttps://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_5597
  • (注7)
    Longitudinal Trends in Physical Activity Levels and Lifetime Cardiovascular Disease Risk: insights from the ATTICA cohort study (2002-2022)
    new windowhttps://www.jpmh.org/index.php/jpmh/article/view/3243
  • (注8)
    最適輸送アルゴリズムは、あるデータの分布を別の分布へ「移し替える」際に、分布間の差が最小となるよう各データ点を対応付ける(マッチングする)対応関係を求める数学的手法。画像処理や機械学習など、幅広い分野で活用されている。

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