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NEC、生成AIを活用した119番通報の緊急度判定入力支援システムのプロトタイプを開発

~増加する救急要請への迅速な対応維持に向けて、横浜市消防局とシステムを検証~

2026年3月12日
日本電気株式会社

NECは、生成AIを活用し119番通報の会話から傷病者の緊急度判定を支援するシステムのプロトタイプを開発しました。また、横浜市消防局(以下、横浜消防)の協力のもと、本システムを検証し有効性を確認しました。今後本システムの開発を進め、通報受付時の指令管制員(以下、指令員)の業務を効率化して、救急要請への迅速な対応に貢献します。

緊急度判定を支援するシステムのプロトタイプの概略図(グレー背景部分)

背景

近年、高齢化や酷暑などを背景に119番通報が増加しており、2024年の119番通報件数は全国で約1,014万件となり、過去最多であった2023年の約1,025万件に迫る高水準(注1)になりました。これに起因し、近い将来には通報が集中した際に指令員に繋がらない滞留呼が発生する可能性があります。このため、受付業務を効率化し、より多くの119番通報を迅速に処理できるようにすることが求められています。

横浜消防では2008年から119番通報の受付業務において、傷病者の緊急度を通話内容から判定し、救急車の出動指令や応急手当の指導、救急隊員や搬送病院の必要性の判断などに役立てる「横浜型救急システム(緊急度・重症度識別プロトコル)」を運用しています。このプロトコルでは、「呼吸困難」「動悸」「意識障害」など20以上の症状のそれぞれに対して緊急度の基準などを定めています。

本プロトコルは、適切な救急車の出動指令、応急手当の口頭指導、救急隊員や搬送先病院が必要な情報を聴取することを目的としており、プロトコルに基づいた緊急度判定を行うことにより、119番通報の受付時点で傷病者の正確な症状を把握できるメリットがあります。指令員が通報を受けた際は、本プロトコルに従って傷病者の状態や既往歴などを聞き取り、画面に表示された90以上の項目から選択して緊急度を判定します。同時に災害住所の確定、緊急車両の出動を判断する災害種別の確定、現場隊員への申し送り事項の入力なども行っているため、通報が集中した際は指令員の負荷が高まり、滞留呼の要因になり得る深刻な課題となっています。

横浜消防の緊急度・重症度識別プロトコルの入力画面のイメージ

実証内容

NECは、119番通報の会話音声(非構造化データ)から、緊急度判定に必要な傷病者の状態・症状の情報(構造化データ)を抽出する生成AIと、これをもとに緊急度を算出する項目の選択を自動化する緊急度判定支援システムのプロトタイプを、横浜消防の協力を得て開発しました。本システムによる判定支援の具体的な手順は以下の通りです。

  1. 119番通報を受電
  2. 指令員が通報者から傷病者の状況を聞き取り
  3. 同時に通話音声を消防指令システムに送り、音声認識処理を実行
  4. 音声をテキストに変換し、生成AIなどを活用した独自の構造化処理により傷病者の状態・症状のデータを抽出
  5. 本データをもとに、緊急度・重症度識別画面上で対応する項目を自動で選択し、プロトコルに基づく判定結果を表示

今回開発したプロトタイプシステムを用いて、横浜消防の協力のもと検証を行ったところ、実際に人間が入力した結果と比較して約85%の正答率(注2)を実現しました。本システムの実用化により、緊急度・重症度識別プロトコルへの入力時間を削減し、より多くの通報に対処できることが期待されます。

今後の取り組み

NECは今後、横浜消防とともに本システムの開発とフィールド実証を進めて正答率を向上し、2026年度中の実用化と横浜消防への導入を目指します。
また総務省では、全国の消防でも緊急度判定を活用できるよう119番通報受付用のプロトコルを公開しており(注3)、NECでは同プロトコルを導入する全国の消防に対してもAIによる入力支援を可能とするシステムの開発を進め、2026年度中の提供を目指します。

なお、本件については2026年3月14日開催の 「第8回 通信指令シンポジウム」(注4)にて横浜消防から発表予定です。

以上

本件に関するお客様からのお問い合わせ先

NEC ファイアレスキュー統括部
E-Mail:shobo_nesa@fire.jp.nec.com

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