東北大・国際航業・エイツー・NEC
リアルタイムに津波浸水被害を推定する技術を核とした共同出資会社「RTi-cast」を設立
2018年5月10日
国立大学法人東北大学
国際航業株式会社
株式会社エイツー
日本電気株式会社
国立大学法人 東北大学(注1、以下 東北大学)、国際航業株式会社(注2、以下 国際航業)、株式会社エイツー(注3、以下 エイツー) 、日本電気株式会社(注4、以下 NEC )は、共同で開発した「リアルタイム津波浸水・被害推定システム」の技術(注5)を中核とした大学発ベンチャー「株式会社RTi-cast」(アール ティ アイ キャスト)を共同で設立しました。
RTi-castは、世界初の民間事業者によるリアルタイム津波浸水被害予測サービスを開始します。「リアルタイム津波浸水・被害推定システム」を国内外の市場に向けて普及することで、日本と世界の津波災害対策に貢献します。
「リアルタイム津波浸水・被害推定システム」は、津波の浸水による被害推定を、スーパーコンピュータを用いてリアルタイムに行う世界最先端のシステムです。本システムは、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(CREST)の「大規模・高分解能数値シミュレーションの連携とデータ同化による革新的地震・津波減災ビッグデータ解析基盤の創出」における基礎研究および産学連携研究を経て開発されたもので、2014年の総務省G空間シティ構築事業(注6)で実証され、2017年11月より内閣府での運用が始まっており、東北大学(仙台)と大阪大学(大阪)の2拠点でNECのスーパーコンピュータ「SX-ACE」(注7)が使用されています。
RTi-castでは、この技術の汎用性を拡げ、社会の様々なニーズに対応したシステムの高度化、小型のスーパーコンピュータによる分散型システムの開発やこれらを用いた解析、津波発生時の浸水・被害推定結果の配信サービスに関する事業を進めていきます。
RTi-cast社の概要
名 称 | 株式会社RTi-cast |
所在地 | 宮城県仙台市若林区新寺1-3-45 |
代表取締役社長 | 村嶋陽一 |
出資者 | 国際航業 エイツー NEC その他(個人) 東北大学ベンチャーパートナーズ(注8)(検討中) |
事業内容 |
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- 経緯
津波災害発生時の対応には、人・建物の被害把握や交通網を含むライフライン等の被害状況の早期把握(広域被害把握)が必要です。「リアルタイム津波浸水・被害推定システム」は、東北大学 災害科学国際研究所(注9、以下 災害科学国際研究所) 越村俊一教授を中心とした、複数の大学・民間事業者による産学連携研究の成果です。スーパーコンピュータの災害時利用を実現し、地震情報の自動取得と津波発生・伝播・浸水・被害の予測、結果の図化・配信をリアルタイムで行う技術が高く評価され、平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞しました(注10)。 - RTi-castのミッションとビジョン
産学連携研究の成果である世界最先端の「リアルタイム津波浸水被害推定技術」を日本国内・世界に広く普及し、来る巨大地震津波災害への社会のレジリエンス(=被害を最小化して素早く回復する)の向上に貢献することをミッションとします。このミッションに基づき、様々な取組と連携し、日本発の「リアルタイム津波浸水被害推定技術」を発展させるとともに、その製品化、情報提供サービス、コンサルティング等を展開し、顧客や社会との結びつきを通じて、将来の災害から「生き延びる」、「素早く立ち直る」社会の実現に向けた活動を展開します。 - 共同出資会社の役割について
- 国際航業
- 担当技術:津波伝播・浸水・被害推定モデル、データ構築、コンサルティング
高精度な津波の伝播・浸水シミュレーションを可能とする解析モデル開発および地形モデルの構築を行います。また、断層推定から被害推計までのトータルな「リアルタイム津波浸水・被害推定システム」を用いたコンサルティングサービス、情報配信事業をRTi-castと共同で行います。 - その他の役割:筆頭株主となり、会社運営の中心を担うとともに、防災的観点からの技術開発、事業展開を推進します。
- 担当技術:津波伝播・浸水・被害推定モデル、データ構築、コンサルティング
- エイツー
- 担当技術:津波発生予測、稼働監視、情報表示、保守運用
地震によって沖合で励起された津波の高さ分布(津波波源モデル)を、津波浸水・被害推計の初期条件として提供するシステム、地震の発生状況やネットワークの正常性を監視するシステム、各種情報を表示するシステムの開発、保守運用をRTi-castと共同で行います。
- 担当技術:津波発生予測、稼働監視、情報表示、保守運用
- NEC
- 担当技術:モデル高速化・並列化、システム開発・実装、保守運用
NEC製「SX-ACE」「SX-Aurora TSUBASA」(注11)を利用した「津波浸水・被害推計シミュレーションプログラム」の高速化と大規模並列化、および、スーパーコンピュータを用いたリアルタイム津波浸水・被害推定システムの構築・保守運用をRTi-castと共同で行います。
- 担当技術:モデル高速化・並列化、システム開発・実装、保守運用
- 国際航業
以上
脚注
- 国立大学法人東北大学(所在地:宮城県仙台市、総長:大野 英男)
- 国際航業株式会社(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:土方 聡)
- 株式会社エイツー(所在地:東京都品川区、代表取締役社長:加地 宏行)
- 日本電気株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長 兼CEO:新野 隆)
- 津波浸水・被害推計システム プレスリリース「東北大・NEC・国際航業、大規模地震発生時の津波浸水被害をリアルタイムに予測する実証事業を推進」
http://jpn.nec.com/press/201408/20140801_01.html - 総務省G空間シティ構築事業
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu06_02000062.html - ベクトルスーパーコンピュータ「SX-ACE」
https://jpn.nec.com/hpc/sxace/index.html
マルチコア型ベクトルCPUを搭載し、世界一のコア性能と世界一のコアメモリ帯域を実現したベクトル型スーパーコンピュータ。 - 東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社(所在地:宮城県仙台市、代表取締役社長:吉村 洋)
産業競争力強化法に基づき、文部科学省及び経済産業省の認定を得て国立大学法人東北大学100%出資子会社として設立された、認定特定研究成果活用支援事業者。
http://www.thvp.co.jp - 東北大学 災害科学国際研究所(所長:今村 文彦)
http://irides.tohoku.ac.jp/ - 平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞
「リアルタイム津波浸水被害予測システムの開発」で受賞。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/04/1403097.htm - 次世代イノベーションプラットフォーム「SX-Aurora TSUBASA」
http://jpn.nec.com/hpc/sxauroratsubasa/index.html
HPC領域の科学技術計算に加え、AI・ビッグデータ解析、資源探査、画像解析、セキュリティなどの領域にも活用可能な新プラットフォーム。NECが新開発したカード型のベクトルエンジンを搭載。
お問い合わせ先
東北大学災害科学国際研究所 教授 越村俊一
TEL:022-752-2084 E-Mail:koshimura@irides.tohoku.ac.jp
国際航業
日本アジアグループ株式会社コーポレート・コミュニケーション部
国際航業 広報担当
E-Mail:info-kkc@kk-grp.jp
エイツー 営業グループ
E-Mail:homeseismo@a-2.co.jp
NEC
第一官公ソリューション事業部
E-Mail:tsunami@hec.jp.nec.com
NECは、社会ソリューション事業を推進する
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