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複数台の多種多様な移動ロボットを集中的に管理・制御する
「NEC マルチロボットコントローラ」とは

AGV活用で工場や倉庫の省人化を支援

2020.07.15

ロボット 5G

NECでは、無人搬送車(Automated Guided Vehicle:AGV)をはじめとする自律移動ロボットの運用において、複数台かつ多種多様なタイプのロボットを集中的に管理・制御するソフトウェア製品「NEC マルチロボットコントローラ」を開発・販売しています。本製品の開発には、ファーストパートナーとなったトピー工業様にご支援いただきました。そこで、両社の開発者2名に、製品の特長や開発の経緯などについて聞きました。


トピー工業株式会社 クローラーロボット部 星勝之氏
日本電気株式会社 スマートインダストリー本部ESSグループ 矢野雄一

AGVに関するさまざまな課題をクリア

矢野 : 「NEC マルチロボットコントローラ」は、多種多様な移動ロボットが複数台で自律走行する際、お互いがぶつからないよう集中的に制御してそれぞれの移動経路を自動生成する製品です。

矢野

従来のAGVには、「あらかじめ入力されたルートしか移動できない」、「物流や現場の変動に柔軟に対応できない」、「ロボットごとに乱立するシステムの管理が煩雑」、「倉庫管理システム(WMS)や製造実行システム(MES)による業務要求のロボット制御への変換が困難」、といったさまざまな課題がありました。「NEC マルチロボットコントローラ」は、リアルタイムに最適経路を生成する機能や多種多様なタイプの移動ロボットに対応可能な集中制御機能、WMSやMESなどの業務システムと連携する一元管理機能により、これらの課題を解決します。こうした製品は世界的にも最先端のものであると自負しています。

労働者不足問題を解消するAGV活用の促進

矢野 : NECでは、新規事業や新製品を開発するにあたっては、各産業の現場でどういった課題があるのかをリサーチすることから始めます。2017年頃に着目したのが物流現場でした。当時から大きな問題となっていた労働力不足を改善するため、物流倉庫にはAGVが導入され始めていました。NEC自身ではAGVを開発・販売はしていませんでしたが、AGVの普及やさらなる活用促進に向けて、NECが保有するITやAI、ネットワークなどの先端技術を用いることで、何か貢献できることがあるのではないかと感じました。

さっそく2017年11~12月に開催された「2017国際ロボット展」に赴いたところ、トピー工業様がデモンストレーションを行っていた「セキシュウ(積収)・クローラー」に惹きつけられました。足回りに特長があり、それによる走破性に大きな期待を感じました。そこで、弊社からパートナーシップの申し入れをした次第です。

前後左右に走行、抜群の走破性を誇る
「セキシュウ・クローラー」

: トピー工業は、鉄鋼やホイール・自動車部品、建設機械用部品、合成マイカ(雲母)・パールマイカ、そしてロボット開発を事業内容とするメーカーです。「セキシュウ・クローラー」は、その「2017国際ロボット展」で初めてお披露目をした最新のAGVです。

星

最大の特長は、矢野さんにも言っていただいた足回りにあります。キャタピラのような形状をしていますが、前後進だけでなく左右90度への走行が可能です。これによって、狭い場所でも姿勢を変えずに方向転換ができます。大きな旋回動作も不要なので、位置の誤差が発生しにくいというメリットもあります。接地面積の大きいキャタピラ状なので、悪路や段差、登坂といった不整地でも高い走破性を発揮します。現状のタイプは、物流倉庫を想定しカゴ車の下に潜り込んで運べるようにした低床設計で、500㎏まで持ち上げることができます。こうした機能性を持つAGVは世界初だと思います。


「2017国際ロボット展」の後、NECさんからの「NEC マルチロボットコントローラ」のパートナーシップのオファーに応じさせていただいたのは、複数台を制御するという機能性や、WMSやMESに連携させるというメリットに大きな魅力を感じたからです。当社としては、1台の「セキシュウ・クローラー」を制御するところに止まっていましたので。

アクシデントの原因究明に苦労
頻繁なコミュニケーションでクリア

矢野 : 2018年の年頭から開発をスタートさせました。トピー工業様から「セキシュウ・クローラー」をお借りし、ソフトウェアの試作を行いました。複数台のロボットの走行ルートを計算するアルゴリズムは、NECの研究所が開発したものを活用しました。1年ほどかけてプロトタイプを開発し、展示会への参考出展やお客様でのデモンストレーションなどを重ねて市場性を検証し、2019年の夏に正式な製品化が認められました。

開発プロセスで苦労したことは、途中で「セキシュウ・クローラー」が止まってしまったり、思いどおりに動かないといったアクシデントの際の原因究明です。不具合の原因がどこにあるのかを特定することが一番大変でしたが、お互いに何度も足を運び、頻繁に連絡を取り合うことで乗り越えることができました。 安全性確保を最優先に考え、実際の物流現場におけるあらゆる状況を想定したテストを行っているので、自信を持ってお勧めできます。

反響の大きさは予想以上
さらに改良を重ねていく

: 同年12月初旬の「2019国際ロボット展」にNECさんと共同出展し、2台の「セキシュウ・クローラー」を制御するデモンストレーションを行いました。かなりの量を用意していたパンフレットは全部はけ、お客様の関心の高さを感じました。当社としては、NECさんの集客力を感じ、パートナーシップのメリットを再認識しました。

当社には、「セキシュウ・クローラー」の積載量を数tレベルに上げてほしいというお客様の声がたくさん届いています。適用範囲を大きく広げるためにも、早急に開発に努めたいと思っています。

矢野 : 弊社としても、反響の大きさは予想以上でした。「セキシュウ・クローラー」の走破性は、他にはないと高い評価を受けました。

今後もソフトウェアの改良を重ねるとともに、現場での実績や経験を踏まえ、さらに完成度を高めていきたいと考えています。

セキシュウ・クローラー

NEC マルチロボットコントローラ

【関連リンク】

NEC マルチロボットコントローラ

「NEC マルチロボットコントローラ」は、無人搬送車(Automated Guided Vehicle、以下AGV)をはじめとする自律移動ロボットの運用において、複数台・様々なタイプのロボットを、集中的に管理・制御できる自律移動ロボット管制ソフトウェアです。

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