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先進事例に学ぶ デジタル変革のための 生産財向けPLM戦略

ものづくりの未来

素材産業の設計・開発担当者向けWebセミナーレポート【2021.08.18】

カテゴリ:DX・業務改革推進設計・開発・技術PLM/CAD

NECは、2021年6月14日(月)~18日(金)に、「NEC DX Factory Week 2021~その挑戦が、ものづくりの未来を切り拓く~」と題したオンライン展示会を開催いたしました。 同時に特別セミナーやテーマ別のセミナーも開催。ここでは、その中の1つ素材産業向けの「先進事例に学ぶ デジタル変革のための生産財向けPLM戦略」についてご紹介いたします。

講師:NEC 製造・装置業システム本部 主任 田辺伸也(NECソリューションイノベータ)

「ダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力)」重要性の高まりと 設計力強化の戦略

いま、製造業を取り巻く環境は、COVID-19の感染拡大によるグローバル規模でのサプライチェーンの断絶、異業種への企業参入の活発化による新たなビジネスチャンスの創出、ベテラン技術者の退職による人材不足など、数々の要因によって激しく変化しています。

このように、予測困難なほど激しく変化する中で製造業が生き残るには、変化を察知して迅速・柔軟に対応する「ダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力)」を高めることが重要となっています。

製造業の企業変革力を高めるには、デジタル化による設計力強化こそが重要であり、設計力を高める戦略として、次の3つのポイントが挙げられます。

(1)フロントローディング
製品品質やコストの8割は設計段階で決まります。想定外の状況変化に対し、自由度の高い設計段階において部門間の連携を高め、製造容易性や製造品質を考慮した製品設計が必要となります。

(2)エンジニアリングチェーンの強化
設計部品表(E-BOM)や製造部品表(M-BOM)、工程表(BOP)を関連付けて、設計・製造・生産技術などの各部門と共有すること。それにより、部門間のデータ連携が円滑になり、設計変更への効率的な対応、品質不良の削減、設計段階での高精度な原価シミュレーション、不測の事態における代替生産の迅速開始などにつながります。

(3)バーチャル・エンジニアリング
主に組立業向けですが、3D設計の推進で製品設計のリードタイム短縮、工程設計力の向上につながります。

情報を集約し企業変革力を強化するPLM

これら設計力強化のために打つべき施策が、PLM(Product Lifecycle Management)です。 PLMとは、設計情報を包括的に管理し、製品企画/引き合いから設計、生産準備、生産、保守に至る情報の連鎖・エンジニアリングチェーンを強化し、フロントローディングや多品種少量生産、品質向上、コスト削減などを支援する仕組みです。加えて、調達から物流、販売に至るサプライチェーンも含めたものづくり全体で発生する情報を集約し、企業戦略に活用して企業変革力の強化を実現します。

生産財(素材産業)に拡がりをみせるPLM

PLMは組立系の製造業を中心に導入が進んでいましたが、近年ではBOM、バリエーション管理、ライフサイクル管理の観点から化学品や食品などのプロセス系製造業のお客様でも取り組みが活発化しています。

生産財(素材産業)においても、ビジネス環境などの外部環境としては、不確実性の高まりや人材不足、マスカスタマイゼーションの浸透などデジタル化の必要性が高まっています。
一方で、お客様内部環境は、技術情報がサーバや個人PCなどバラバラに管理され、分散した情報を人手によって情報伝達しているといった非効率な業務を行っているケースがよく見受けられます。
さらに、このような課題に対しマンパワーでなんとか業務を回しているといった問題があります。
その上、技術情報をレガシーシステムで管理していることでシステム拡張性が低く、現在の業務に合わない仕組みを無理やり利用している、というケースも散見され、従来の仕組みでの業務運用に限界がきているお客様が多いのが実情です。
こうした状況がDX推進のニーズを生み、生産財(素材産業)におけるPLM導入の動機となっているのです。

PLMを導入することで、複雑かつ膨大な技術情報の電子化・統合管理し、データ利活用による業務効率化とQCD向上、ノウハウ情報のデータ化による技術伝承支援、ビジネス環境に柔軟に対応するためのシステムのオープン化が可能となります。つまり、PLMにより “DX推進のためのデジタル基盤” が整い、製品のライフサイクル全体に渡る技術情報連鎖を実現し、企業変革力を強化することができるのです。

NECのPLM 「Obbligato」とは
エンジニアリングチェーンを繋ぐPLM

次に、NECのPLM製品である「Obbligato」をご紹介しました。
「Obbligato」は1991年に販売を開始し、長年にわたって国内PLM市場でトップシェアを堅持し、1,000社以上のお客様に導入いただいています。組立製造業のお客様だけでなく、近年では生産財や消費財、食品・飲料メーカーでの導入も活発になっています。また、NECグループは、全社統合PLMシステムとして「Obbligato」を利用しています。事業体毎に10以上あったPDMシステムと、BOMやコード、業務プロセスをグループ全社で統一。市場の変化に対し、組織の壁を越えて、素早く柔軟な製品開発ができる環境を整えています。自社で実装した機能やノウハウは、「Obbligato」に反映しています。
「Obbligato」の製品コンセプトは、「エンジニアリングチェーンを繋ぐPLM」。製品開発における業務プロセスと、製品データの中心であるBOM/BOPの統合管理・共有で、業務/人/データを繋ぎ、エンジニアリングチェーンを実現させます。

PLMは、製造業のDXとしても重要な役割を担います。「Obbligato」でBOM/BOPを中心にものづくりの基準情報を管理、それらをSCMやMESにシームレスに連携することで、製造現場に対して迅速かつ正確な情報伝達が可能となり、工場設備の稼働品質向上、品質不良やロスの削減が推進できます。
また、工場の製造実績情報を収集・解析し、PLMの設計基準情報にフィードバックすることで改善サイクルを回すことが可能となり、さらなる生産パフォーマンスの最大化や品質が担保され、変化に強いものづくりが実現できます。

Obbligato/生産財(素材産業)向けソリューション

続いてセミナーでは、生産財(素材産業)メーカーに求められる業務要件を備える「Obbligato/生産財(素材産業)向けソリューション」について、デモンストレーションを交えてご紹介しました。
試作配合や開発配合、生産配合のようにものづくりのフェーズに応じた複数の配合(BOM)や工程情報(BOP)の統合、加えて商品や原料の情報、ドキュメントやコスト情報など関連情報を一元管理して、設計から生産までのシームレスなデータ連携を実現させます。同時に、業務プロセスを見える化し、部門横断での情報共有が実現できます。

生産財(素材産業)におけるPLM事例

次に、「Obbligato」の導入事例と活用ソリューションをご紹介しました。

事例1:石油化学メーカー
製品仕様情報の一元管理とグローバル情報共有

1社目は、石油化学メーカー。PLMにより、製品仕様情報の一元管理とグローバル情報共有を実現しました。
導入前の課題は、潤滑油事業の生命線であるレシピ(仕様情報)が20カ国以上に散在し非効率であったことや、グローバル対応が必須であったが技術情報の流出リスクがあったこと、既存システム廃止に伴う将来を見据えたシステム構築の必要性がありました。
PLM導入のポイントは、Obbligato/統合BOMソリューションを利用し、試作/開発/生産配合など用途別の配合情報を統合的に管理することで、技術情報の整合性を保持し、開発・設計から生産までをシームレスに連携すること。そして、配合/仕様/品質などの技術情報をグローバルで一元管理し、技術データの流出を防ぐセキュリティ確保にあります。
PLM導入効果として、検索性が格段に向上し過去情報の有効活用が促進されたことや、変更情報の正確・確実な後工程への伝達により品質事故の削減につながったことがあげられます。

事例2:高機能素材メーカー
工場ごとに異なっていた業務・システムを統合

2社目は、アルミ関連素材の設計・製造を行う高機能素材メーカー。PLM導入によって工場ごとに異なる業務・システムの統合を実現しました。
課題としては、工場ごとに業務やシステムがバラバラでデータの二重管理や重複作業が多かったこと、技術情報を管理していたホストコンピュータの操作が煩雑であったことや、メンテナンス性・機能拡張性が悪かったことがあります。
PLM導入のポイントは、ObbligatoのBOM/BOP統合管理ソリューションです。材料の配合や工程手順、設備の稼働条件などのBOP情報を中心とする技術情報やマスター情報を一元管理。さらに営業・生産システムと連携して営業仕様情報から設計・生産まで一気通貫で繋ぎ、PLMを基盤として業務とシステムを統合し全体最適化を実現しました。
PLM導入により、業務ルールやシステム、マスターの統一による業務効率の向上や、将来の成長を見据えた柔軟なシステム基盤による、市場や顧客の要求変化への対応力向上につながっています。

事例3:化学・消費財メーカー
商品情報の一元管理と業務改革の両輪で価値創造型ものづくりの仕組みを実現

3社目は、化学・消費財メーカー。PLM導入と合わせて業務改革を実施し、システムと業務の両面から価値創造を可能とするものづくりの仕組みを実現させました。
導入背景としては、主力であるコンシューマー向け商品のブランド力強化の必要性があったことや、戦略的情報マネジメントシステムとして情報の見える化や信頼性向上の必要性、部門ごとに構築した個別最適システムの乱立による業務の歪みがありました。
PLM導入のポイントは、業務改革とシステム改革を同時に推進し全商品情報を1カ所に集約したこと、統合BOMの活用による設計~生産の情報連携の強化、プロジェクト管理で業務とデータを繋ぎ、部門横断で業務の流れを整えたことにあります。
PLM導入効果として、誰もが必要情報に容易にアクセスできるようになり、本来の価値創造業務に集中できるようになったこと、部門横断で全商品の案件情報を見える化し、重複作業を削減し業務効率化が実現できたことが挙げられます。
統合BOMソリューションとともに導入したプロジェクト管理ソリューションは、製品開発におけるタスクと成果物を統合管理し、プロジェクトを見える化。業務の流れを清流化、技術情報の蓄積と共有、利活用を実現できます。

以上のように、生産財(素材産業)においても様々な課題・背景からPLM導入が進んでいます。NECのPLM、“Obbligato”は多くのソリューションを備え、設計領域におけるお客様の様々な課題に対し解決へのアプローチが可能です。
お客様のDX推進の第一歩として、まずはNECへご相談いただければと思います。

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