Japan
サイト内の現在位置

成果を加速する産業用AI
「IFS Connect Japan 2026」イベントレポート【2026.7.15】
カテゴリ:IFS Cloudイベント・セミナートレンド
【目次】
2026年5月27日(水)、フォーシーズンズホテル東京大手町にて4回目となるフラッグシップイベント「IFS Connect Japan」が開催され過去最多の300名近いお客様・パートナーが参加しました。今年のイベントテーマは、”Industrial AI Accelerated:成果を加速する産業用AI”。産業用AIが初期のPoC・検証(Unlocked)から、全社展開(Applied)、そして競争優位の確立(Scaled)へと段階的にスピート感を持って進化していくプロセスが紹介されました。
本記事ではIFS Connectにて発信された数々の最新情報を振り返ります。
【イントロダクション】成果を加速させる時代へ
イントロダクションでは、IFSジャパン株式会社 代表取締役社長 大熊 裕幸氏が登壇しました。環境変化が激しく不確実性が高まる中で、企業が競争力を維持・強化するためには「Speed」と「成果の創出」を同時に実現することが重要であると語りました。AI活用も、実験的な取り組み(試行)から、業務に組み込み成果を継続的に積み上げていく段階へ移っているという認識が示され、成果につなげるためにはデータと業務プロセスを統合した基盤が不可欠である点が強調されました。

また、日本では、インバウンド問い合わせやパートナー経由の新規問い合わせが増加している点や、日本語コンテンツにより引き合いが急増したことが言及されました。IFSが、製造業、航空宇宙防衛、エネルギーといった産業領域に強みを持ち、ERPをはじめとする基幹業務から、サプライチェーン、保守・サービスなどの領域までつなげ、価値を「早く」「確実に」出していくことを目指して、インダストリーにフォーカスしたソリューションと産業特化AIで対応していることが語られました。
IFS.aiこそ産業用AIであり、驚くようなスピードで変化が起きるなか、IFSはお客様のAI活用のステップに合わせパートナーと共にお客様に寄り添った提案を進めていくと語りました。
【基調講演】From Unlocked to Accelerated:始動から進化へ
続いてIFS 最高経営責任者(CEO)マーク モファット氏が登壇しました。40年の歴史を持つIFSは、顧客と共に価値を創出する姿勢を重視しており、期待や課題、AI導入の段階を顧客と共有することで共に成長するエコシステム構築を目指していると語りました。「産業用AIでNo.1になる」という明確なビジョンを掲げるIFSは、日本経済のみならず世界経済にも大きな影響力を持つ「製造業」「航空宇宙・防衛」「エネルギー・公益・資源事業」「サプライチェーン」といった日本の産業を特に重要視しており、市場の成長性を高く評価し、積極的な投資を継続して行っていると語りました。また日本市場へのコミットの具体的な取り組みの一つとして長年にわたるNECとのパートナーシップのリニューアルに言及いただきました。

AI時代について「Speed is life」と表現し、スピード重視の経営を強調しました。長きにわたって構築・利用されてきた産業基盤でAIを活用することは容易ではないが、明確な意思を持って継続的に投資をして必要なものを統合プラットフォームであるIFSに組み込んでおり、AIネイティブ化とデジタルワーカーの活用によりこれまで実現できなかったような生産性向上が可能となると語りました。
続いてAIネイティブのケイパビリティであるNexus Black、人とデジタルワーカーの連携を強化するIFS Loops、ESG・サステナビリティ対応を支えるIFS Zeroに言及しこれらの活用によりコスト削減・ROI改善・ROIC向上の実現にもつながるとし、「IFSは単独ではなくパートナーとの共創による高度なイノベーションの実現を目指している。必要な投資を継続して信頼を獲得する」と日本市場成長への強いコミットメントの言葉で締めくくりました。
【製品講演】IFS.ai:産業用AIで成果を最大化

続いて、IFS グローバル最高製品責任者 (CPO) ダニエル ダットン氏、IFS グローバル・産業&ソリューション シニアバイスプレジテント(SVP) ジェームス グリーブス氏、IFS 最高サステナビリティ責任者(CSO)ソフィー グラハム氏が登壇し、IFS.ai、IFS Loops、AIを前提としたアプリケーションがIFS Cloud上でどのように連携するかに加え、製造・サービス・企業資産領域における最新機能と、迅速な価値創出を実現するIFSのアプローチを解説しました。
ダニエル ダットン氏からは、IFS.aiを「産業用AI」として捉え、AIを業務アプリケーションの中に組み込むことで、現場の意思決定・実行・改善を一気通貫で進める設計思想が示されました。単にAI機能を追加するのではなく、IFS Loopsによってアプリケーション内のアクションとフィードバックを循環させ、改善のスピードそのものを高めていく点が特徴として強調されました。
次に、人がすべてを抱える従来型の業務から脱却し、人・AI・ロボティクスが役割分担する新しいワークフォース像が提示されました。IFS Cloudの画面内で判断を支援するAIコパイロットに加え、定義された成果に向かって自律的に業務を遂行し、学習しながら改善していくデジタルワーカー、そして物理空間でも自律的に動作して現場オペレーションまで含めた業務オーケストレーションを拡張するロボティックワーカーへと、支援の範囲が広がっていく方向性が語られました。

ジェームス グリーブス氏からは、架空の製造会社を題材に、センサーデータから異常兆候を検知して故障リスクを予測し、AIが品質検査要件やサービスメモを自動生成して初動を高速化していく流れが示されました。さらにデジタルワーカーが履歴・マニュアル・アセットデータを横断的に分析し、推奨アクションを提示することで対応品質を高め、ロボティックインスペクションによって従来は数日かかる診断が数分で完了する世界観まで含め、現場実行のスピードを劇的に引き上げるシナリオが紹介されました。

ソフィー・グラハム氏からは、サステナビリティ向上に向けた新しいエージェンティックAIソリューション 「IFS Zero」 が紹介されました。狙いは、アセット集約的な環境における 排出量管理 と エネルギー効率の最適化を、業務データと現場データをつないで現実的に前進させることにあります。同パートでは、分散化されたデータ/サイロの統合、そして上昇するエネルギーコストといった課題が改めて整理されました。そのうえで、オペレーションインテリジェンスによるセンサーデータからの信頼できる排出データ抽出、AIエージェントによる問題の事前予測とコスト管理、リアルタイムでの排出削減と継続的最適化へつなげるアーキテクチャの方向性が示されました。
最後に、IFSはIFS.aiを中核に据えたプロダクト拡張の方向性として、通知受信から承認までを合理化するActionRecや、人・アセット・ツール・機械の時間管理を通じてコスト可視化を実現するTempoなど、AIファーストのアプリケーションファミリーを提示しました。IFS Cloud内に閉じず周辺システムも横断してタスクを遂行できるデジタルワーカーの拡張とあわせ、意思決定から実行までのリードタイムを短縮し、現場の成果創出を継続的に加速させていく姿勢が打ち出されました。
【製品講演】Speed to Scale:成果を加速する産業用AIの実践

成果を加速する産業用AIの実践では、IFS Loops 最高経営責任者(CEO) ソーミャ カプール氏より産業ビジネス向けのデジタルワーカープラットフォームである「IFS Loops」を紹介しました。「IFS LoopsではAIエージェントは単なるテクノロジーではなく、実際の業務を遂行するデジタルワーカーとして位置付けられており、様々なデータソースを活用し、業務を通じて継続的に学習する存在である」と語りました。
具体的な導入事例としては、300万円のコスト削減や9万時間の業務時間短縮、財務処理のスピードが40%向上したこと、そして顧客注文処理の業務で20名以上の作業時間を削減できた成果が紹介されました。
「IFS Loopsには80種類以上の豊富なAIエージェントが用意されており、デジタルワーカーは継続的な検証や監視、モニタリングを繰り返しながらスキルを磨き、信頼性を高めていく。AIエージェントが企業の変革をサポートするだけでなく、最終的には組織自身が変革の主導となる。その答えを導く手助けをしたい」とソーミャ カプール氏は伝えました。

続いて、IFSジャパン執行役員 竹中 康高氏がフォワードディプロイエンジニアリング(FDE)型コンサルティングサービス「Nexus Black」を紹介しました。
Nexus Blackは、Anthropic社のClaude技術(憲法AI)を基盤として開発したアプリケーションです。
見積もりの作成や高度な計画、信頼性の確保などに使われ、ERPシステムの末端の業務まで対応できる機能を備えています。そのため、AIが適切に判断できる環境を提供し、業務の現状を見直して新たな仮説を立てることで、人間のアイデアを補完する役割を果たすと語りました。
最後に、竹中氏は「AIをフルに活用する環境を整えていく。そして、Nexus Blackで現場の作業をどれだけResolveできるかを価値としている」と語りました。
【パートナー企業講演】AI Nativeで進化する自律調整型サプライチェーン
パートナー企業講演では、NEC 製造システム統括部 スマートファクトリ戦略グループ シニアプロフェッショナル 清水 治彦が登壇し、AI Nativeで進化する自律調整型サプライチェーンとして、IFS Cloud とNEC AI が連携して創る製造業の未来について語りました。

NECは、IFS社と29年にわたる強固なパートナーシップの歴史があり、「SIパートナー」と「国内最大のIFSユーザ」としての二面性の役割を持っています。NECでは、自社での改革実績やお客様への多数の導入実績から得た成功モデルを型化しBluStellar(ブルーステラ)としてお客様に最先端DXを最速でご提供をしています。
激変する地政学リスクや需要変動による不確実性の増大により、ベテラン社員の経験や勘、人海戦術による対応だけでは限界があり、スピードに追従できず、機会損失やコスト増大を招く恐れがあります。その解決策としてのNEC AIの活用について、AIエージェントによる需要変動への自律対応の具体的なユースケースを用いてご紹介しました。
また、「自動交渉AI」については、2024年からNECグループで実証実験をすすめ、大きな成果を上げており、2026年4月からは実業務として本格運用を開始しております。
主な成果 ・自動化率95%:サプライヤとの定型的交渉業務で社員が介在せず調整完了
・スピード向上:数時間〜2日かかっていた業務が80秒で完了
現在、IFS社との戦略的パートナーシップ強化の一環として、NECの「自動交渉AI」をIFS Cloudのネイティブ(標準)機能に統合できるよう開発を進めており、すべてのIFSユーザが利用可能になる予定です。
本講演の詳細については、下記記事にてご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
<関連記事>
AIネイティブで進化する自律調整型サプライチェーン
【ユーザ企業様講演】SUBARU 航空宇宙カンパニーにおけるIFS Cloud導入のリアル

続いて、NECが導入に携わっている株式会社SUBARU 航空宇宙カンパニー デジタル業務改革推進部 主査 北 光一氏が登壇し、IFS Cloud導入についてご講演になりました。IFS Cloud導入の目的と選定の理由、適用範囲の他、プロジェクトの目的や方針、スケジュールと成果、さらには振り返りと教訓についてリアルに語られました。
<導入事例>
ビジネスモデルの変化を受けて基幹システムを刷新
生産性を向上し、付加価値創出のための業務にリソースを集中
メインホールセッション終了後は、3つのテーマに分かれ、ブレイクアウトセッションが行われました。
【ブレイクアウト-製造業-】

製造ブレイクアウトセッションでは、製造業向けの最新動向として、スマートファクトリーの進化・サプライチェーンのレジリエンス強化・サステナビリティ対応について、IFS Cloud活用によるOEE(設備総合効率)向上や作業効率50%向上などの成功事例が示されました。
また、最新機能の具体例として、製造スケジュール最適化(MSO)やIFS コネクテッドワーカ―(Poka)、IFS.ai Logistics、また近日発表予定の生産計画・スケジューリング・見積を支援する産業用AI NexusBlack Flowなどが紹介されました。
加えて、設計〜製造〜アフターサービスまでの製品ライフサイクルを一元管理できること、また、今回発表された産業用サステナビリティに着目したソリューション「IFS.Zero」が製造業へ与える価値について今後の計画と共に発信されました。
【ブレイクアウト-航空宇宙・防衛-】
航空宇宙・防衛ブレイクアウトセッションでは、航空宇宙・防衛業界が直面するサプライチェーンの不安定化や人材不足、コスト・運営課題、スピード要求、厳格な規制対応のような課題解決に向け、設計から整備に至るまでライフサイクル全体の連携強化について説明しました。
産業用AI「Flow」による需要予測や、「Comply」を使った技術文書の自動化など、最新のソリューション導入により、生産性や稼働率の向上、コスト削減といった具体的な成果が報告されています。 また、製造・整備・資産管理まで一貫して業務プロセスをデジタルで最適化する取り組みも進行中であり、今後はAIやデジタル技術を活用した新機能や、防衛分野での認証・コンプライアンス対応もさらに強化される予定です。
【ブレイクアウト-電力/エネルギー】

電力/エネルギーのブレイクアウトセッションでは、エネルギー・公益業界が直面する再生可能エネルギーへの転換や電力需要増加、グリッド老朽化・地政学リスク、人材不足といった複合的な課題に対し、従来の作業中心のEAMから、企画・建設・運用・更新を横断し資産価値を最大化する戦略的アセットライフサイクルマネジメント(ALM)へのシフトの重要性が発信されました。ISO 55001に基づく包括的な投資判断と運用最適化が求められるなか、IFSは投資計画・資産管理・人材最適化を統合したプラットフォームに加え、AIによる異常検知・故障予測、作業手順書生成、作業オーダ自動化など、意思決定と現場業務の高度化を支援。さらにデジタルワーカーやロボティクスを組み合わせることで労働力不足を補完し、企業は段階的導入を通じて全体最適を実現できるとし、高価値領域から着手し統合・拡張していくアプローチが有効であり、今後はAIを活用したアセット運用とグリッド安定化が競争力の鍵となると事例と共に語られました。
最後に
ここまで紹介してきた講演は、こちらのIFSジャパンのサイトにてオンデマンド配信されておりますので是非ご覧ください。
IFS Connect Japan

関連リンク
株式会社SUBARU 航空宇宙カンパニー様事例
自動車事業と航空宇宙事業を展開するSUBARU様。社内カンパニー制を採用している同社においては、航空宇宙カンパニーが航空宇宙事業を担っています。単一プラットフォームでERPとMROを管理できる「IFS Cloud」導入により、一人ひとりが付加価値業務を主体とすることで日々進化するカンパニーを目指しています。

AIネイティブで進化する自律調整型サプライチェーン
約30年にわたるIFS社との強固なパートナーシップを背景に、NECが描く「マニュファクチャリングトランスフォーメーション(MX)」の具体像と、すべてのIFSユーザーへ展開される未来の調達業務の姿について、スマートファクトリ戦略グループの清水治彦が解説します。

IFS Cloud
「IFS Cloud」は、世界的なERPベンダー・IFS社(本社:スウェーデン)のコンポーネント型グローバルERPパッケージです。「IFS Cloud」のユーザでもあるNECは、IFS社のパートナーとして、自身の製造業としての課題や取り組みをベースに、DX時代のお客様のグローバルなものづくりを支援しています。

製造業 Connect Online
最新のAX(AIトランスフォーメーション)事例や資料・動画など、製造業における検討・意思決定に必要な情報をご提供します。
あわせて、6月に開催したセミナーをアーカイブ配信し、当日の講演内容や知見をオンデマンドでご覧いただけます。
・製造業変革/IFS特集
・6月開催セミナーアーカイブ
攻めの保守サービスへ転換!IFS Cloud FSMが実現する競争優位性

お問い合わせ
