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IFS Connect Japan 2026で講演するNEC清水治彦の様子IFS Connect Japan 2026で講演するNEC清水治彦の様子

AIネイティブで進化する自律調整型サプライチェーン

IFS CloudとNEC のAIが創り出す製造業の未来【2026.07.15】

カテゴリ:サプライチェーンIFS Cloudイベント・セミナー

不確実性がこれまでになく増大する現代のグローバル製造業。急激な需要変動や地政学リスクに対し、ベテランの「経験と勘」や人海戦術による調整業務は限界を迎えています。
こうした現場の課題を突破する鍵として、NECが提示するのが「AIエージェントによる自律調整型サプライチェーン」です。
約30年にわたるIFS社との強固なパートナーシップを背景に、NECが描く「マニュファクチャリングトランスフォーメーション(MX)」の具体像と、すべてのIFSユーザーへ展開される未来の調達業務の姿について、スマートファクトリ戦略グループの清水治彦が解説します。

※本記事は2026年5月27日に開催された「IFS Connect Japan 2026」における、日本電気株式会社 清水治彦の講演内容を基に構成しています。

NEC 製造システム統括部 スマートファクトリ戦略グループ
シニアプロフェッショナル 清水 治彦
製造業を中心に、防衛・通信など多様な業界でSCM/FSM領域の業務改革・ERP導入を提案・支援。
現在はAI活用によるマニュファクチャリングトランスフォーメーションの構想・提案に加え、IVIでのLean PLM構想検討にも参画。

[目次]

1. NECとIFS社の強固な関係:SIerであり、国内最大の「ユーザー」

NECとIFS社のパートナーシップは1997年から始まり、約30年に及びます。これまでに国内外212社・381拠点への導入実績があるPlatinum Regional System Integratorであり、IFSの資格(Certification)保有者数は国内No.1を誇ります。
しかし、私たちの最大の強みは別にあります。NECはSIerとしてお客様にIFSを導入する一方で、自社のITプラットフォーム事業や社会インフラ事業において約9,000ユーザー・14拠点で稼働させている、「国内最大のIFSユーザー」という二面性を持っている点です。

IFS社とNECの29年にわたるパートナシップの説明スライド

これまでNECは、日本の製造業に深く根付く「かんばん」や「製番管理」といった機能をIFS社と共同開発してきました。また、今年の1月には新たな価値創造に向けてIFSとNECは戦略的パートナーシップを強化しました。現在、NECは自社でのDX実践や多くのお客様への導入実績から得た成功ノウハウを「型(パターン)」化し、最先端のシステムを安心・最速で提供するビジネスモデル『BluStellar(ブルーステラ)』を展開しています。
自らが製造業の当事者として実践し、本当に効果のあった成功モデルだからこそ、確信を持ってお客様へご提案できるのです。

BluStellarのビジネスモデルの説明スライド

2. 激変する市場環境と「人の判断」の限界

現在、地政学リスクの顕在化や急激な需要変動など、サプライチェーンを取り巻く不確実性はこれまでにないスピードで増大しています。これに対し、多くの現場では今でもベテラン社員の「勘と経験」に頼り、変動に対してメールや電話などで泥臭い調整に追われているのが現状です。
しかし、これほど激しい変化に対して人海戦術で追随するのはもう不可能です。意思決定のわずかなミスや遅れが、直接的な機会損失やコスト増大を招く、まさに現場は限界的な状況に直面しています。
この「人の限界」を突破するための解となるのが、「IFS Cloud」に蓄積された正確なデータとNECのサプライチェーン領域でのAIエージェントの融合です。

【サプライチェーン領域でのAIエージェントで目指す3つの役割】
1.自動検知:サプライチェーンで発生するインシデントをリアルタイムに把握してアラームを出す
2.自動交渉:サプライヤー、顧客、物流会社等と自動で調整・交渉を行う
3.最適案提示:最適な対応案を即座にシミュレーションして提示する

AIネイティブ型の自立実行するサプライチェーンの説明スライド

NECでは、IFS Cloudを始めとする業務システムに蓄積されたデータをAIで活用できるよう整備し(AI Ready Data)、業務プロセスの自律化(AI Native Process)、そして最終的な経営意思決定(AI Native Decision)までを同期させる世界を「Manufacturing Transformation(MX)」と呼び、その実現へ向けて取り組んでいます。

AIネイティブで進化するManufacturing Transformation(MX)の説明スライド

3. 需要変動へ自律対応するAIエージェント

※本章でご紹介する内容は、現在の研究開発・検証段階にあるコンセプトであり、将来的なAIネイティブなサプライチェーンの姿を示すものです。

サプライチェーン領域でのAIエージェントは実際の業務でどのように動くのでしょうか。
ここでは、生産管理の担当者が顧客から「急な納入部品の数量増要請」を受けたシナリオを例に、NECが目指す、自律対応するAIエージェントと人が協働する未来のサプライチェーンコンセプトをご紹介します。

従来は、担当者が生産拠点や物流事業者、調達担当・サプライヤなどの多くの関係者と電話やメールで確認をとりながら、各種手配や納期の調整に時間を費やしていました。しかし、AIネイティブプロセスが実現された世界では、担当者はチャットでAIエージェントに「安全在庫を維持した上で、対応プランを考えて」と指示を出すだけです。指示を受けたAIエージェントはIFS Cloudや関連システムからデータを収集し、瞬時に複数の「リカバリー案」を提示します。

IFS Connect Japan 2026で講演するNEC清水治彦の様子

利益を最大化する意思決定を支援
リカバリー案は、それぞれの納期・コスト・リスクなどのクライテリアが提示され、状況に応じて利益を最大化するための最適な判断を支援します。
最終的な意思決定は「人」が行いますが、その後はAIエージェントが生産拠点や物流事業者に対する手配を自律的に行います。また、確定情報のIFS Cloudへのシームレスな連携も想定しています。
現時点では、人はサプライチェーンの現場で日々発生する変動に追われて対応するのに精一杯で、利益を最大化する判断ができる状況にはありません。NECは、AIエージェントが人の煩雑なオペレーションを担い、最適な判断を支援し、現場と経営の意思決定が同期する世界を目指して技術開発や実業務への適用検討を進めています。

4. 調整スピードが「数日」から「約80秒」へ、実業務で本番導入

サプライチェーン領域でAIエージェントと人が協働する世界は、決して遠い未来の絵空事ではありません。コアとなる「自動交渉AI」は、2024年からすでにNECグループ内で実証実験を重ね、調達部門のバイヤがサプライヤと行う定型的な納期調整業務において圧倒的な成果を上げています。
人間を介さずにAIとサプライヤだけで交渉がまとまった「自動合意達成率」は95%に達しました。さらに、これまで数時間から数日かかっていた納期調整業務が「約80秒」に短縮されたのです。検証フェーズはすでに終了し、2026年4月からは本番業務での運用をスタートしています。

これにより、調達部門は日々のルーティン業務から解放され、地政学や気候変動等の予期せぬサプライチェーンリスクへの対応や、抜本的な在庫適正化といった「より戦略的で付加価値の高い業務」へシフトすることが可能となり、NECグループのサプライチェーンレジリエンス向上に貢献しています。

NECグループでの実証実績(NECの自動交渉AIによる納期調整自動化)の説明スライド

5. すべてのIFSユーザーへ:共同開発による標準機能化

NECが自社をクライアントゼロとして実践し、効果を証明した自動交渉AIの価値を、広く世界中のお客様にもお届けしたいと考えています。現在、NECとIFS社は戦略的パートナーシップをさらに強化し、この「自動交渉AI」をIFSソリューションに組み込むための共同開発に取り組んでいます。自動交渉AIはIFSのAIソリューションをさらに高度化し、IFSユーザーの自律調整型サプライチェーン実現を加速していきます。

6. まとめ:データとAIが創る、サプライチェーンの未来

これまでのサプライチェーンは、経験と勘による判断、多大な工数がかかる調整交渉、そして現場と財務(経営)の非同期という課題を抱えていました。
AIネイティブの世界では、これが「ファクト(事実)とデータに基づく判断」「AIエージェントによる自律実行」「ROIC直結のリアルタイム経営」へとドラスティックに変革されます。

NECの目指すAIネイティブで進化する自動調整型サプライチェーンの説明スライド

NECは、AIネイティブで進化する自律調整型サプライチェーンの実現に向けて、既にバイヤ向けの「NEC 調達交渉AIエージェントサービス」の提供を開始しています。さらにユースケース拡大に取り組んでおり、サプライヤサイドの需要変動対応エージェントを企画中です。
「自社のこの業務で試してみたい」「プロトタイプを一緒に評価・検証してみたい」という企業さまがいらっしゃいましたら、ぜひ私たちNECにお声がけください。
皆さまと共に、日本のものづくりの未来を塗り替える具体的な一歩を踏み出せることを、心から楽しみにしています。

関連リンク

IFS Cloud

「IFS Cloud」は、世界的なERPベンダー・IFS社(本社:スウェーデン)のコンポーネント型グローバルERPパッケージです。「IFS Cloud」のユーザでもあるNECは、IFS社のパートナーとして、自身の製造業としての課題や取り組みをベースに、DX時代のお客様のグローバルなものづくりを支援しています。

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