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「Anaplan CONNECT Tokyo 2025」のイベント会場である六本木のグランドハイアット東京の1階ロビーに立つNEC スマートインダストリー統括部 ディレクター 大石和人「Anaplan CONNECT Tokyo 2025」のイベント会場である六本木のグランドハイアット東京の1階ロビーに立つNEC スマートインダストリー統括部 ディレクター 大石和人

「Anaplan Connect Tokyo 2025」
出展レポート

資本収益性向上の実現に向けたマネジメント変革×AI活用の展望【2025.11.19】

カテゴリ:DX・業務改革推進調達・生産管理SCM/MES/FSM

2025年9月25日(木)、東京・六本木のグランドハイアット東京にて“Be the next…(次の変革の主役に)”をコンセプトに「Anaplan Connect Tokyo 2025」が開催されました。
AnaplanのSolution Advisory PartnerであるNECは、ブース展示とともにブレイクアウトセッションに登壇し、製造業のお客様へ、Anaplanの活用による資本収益性向上の実現に向けたマネジメント変革とAI活用の展望についてプレゼンテーションを行いました。ここでは、その様子をお届けします。

[目次]

●「Anaplan Connect Tokyo 2025」の概要

Anaplan社は、フロリダを本拠地とし、日本をはじめグローバルに拠点展開しているシナリオプランニング及び分析プラットフォームを提供するエンタープライズクラウドソフトウェアの大手プロバイダー。組織全体を連携させて経営計画の立案や運営を効率的に行う製品が強みで、NECも製造業のお客様を中心にSCMのソリューションとしてご提案しています。「Anaplan Connect Tokyo 2025」は、日本における同社主催の年次カンファレンスとして開催され、数多くの来場者を集め盛況に終わりました。

アジェンダとしては、モーニングセッションに始まり、6つの基調講演、ランチセッション、および19のブレイクアウトセッションで構成。会場のロビーでは17社が展示ブースを構えました。
NECのブースでは、資本収益性向上の実現に向けたマネジメント変革といったテーマから、解決策のひとつとして経営とSCM業務を同期させる説明を行いました。製造業の経営企画、財務やDX推進といったセクションのお客様が多く立ち寄り、高い関心を示していただけました。

多くの来場者で賑わう「Anaplan CONNECT Tokyo 2025」の会場とNECブースの様子
多くの来場者で賑わう「Anaplan Connect Tokyo 2025」の会場とNECブースの様子

次に、NECスマートインダストリー統括部 大石和人が講演したブレイクアウトセッションの内容についてご紹介します。

●NEC講演「資本収益性向上の実現に向けたマネジメント変革(統合事業計画(IBP))×AI活用の展望」

講師のNEC スマートインダストリー統括部 ディレクター 大石和人

【講師のご紹介】
NEC スマートインダストリー統括部 ディレクター 大石和人
2001年にNECに入社後、SEとして基幹業務システムを中心に、製造業のお客様のシステムインテグレーションに従事。現在は、製造業向けの新規事業開発をリード。

1.製造業を取り巻く事業環境

製造業を取り巻く事業環境はマクロ、ミクロの両面で激しい変化が高頻度で発生しています。このような状況下において、製造業は、これまで以上に企業価値の向上が求められています。様々な切り口がありますが、ここでは「資本収益性」に着目してお話をいたします。

多くのお客様から、次のような声をよく耳にします。

・年度末で締めてみたら、掲げた収益目標に届かなかった。もう手遅れ…
・関税政策の転換で調達部材が高騰。収益性に対する影響はいくら?と問われて答えられない
・原材料価格高騰に伴う売価転嫁をしたら収益性は?
・半導体不足だから、戦略的に先行調達したい。収益性の最悪シナリオはいくら?

どのお客様も、これまで以上に、先々の収益性を見通すことにご苦労されていることを実感しています。

多くのイベント参加者の前で講演する大石和人の様子
講演の様子
2.NECでの変革の取り組み

ここで、ご参考までにNECの変革の取り組みについてご紹介します。NECは今年で創業126年目を迎え、社会インフラ事業やITサービス事業を中心に、さまざまな製品・サービスを年間約3.5兆円の規模で、グループ総勢約11万人でご提供しております。
NECは、大幅に事業ポートフォリオを入れ替えながら、この10年ほどは堅調な成長を継続できつつあります。
企業価値向上に向け、30年にわたるものづくりDXの推進と合わせて、経営のマテリアリティ解決に向けた「データドリブン経営」にも取り組んでいます。
ロジックツリーを整備するとともに、非財務基盤の強化や人的資本経営を進めています。

3.NECの考える「資本収益性の向上」への取り組みのポイント

このような取り組みを行ってきたNECが考える、資本収益性向上の実現に向けたポイントについてお話しします。

資本収益性の向上に取り組まれているお客様からよくいただく声をご紹介します。

・仕組み(ITツール)は入れたが定着化しない・・・
・現場の理解が得られず、思うように進まない。浸透しない・・・
・机上論ではわかる。でも現実解として、どこからどう進めればいいの?
・BIや見える化の仕組みはある。新たにシステムは必要ないんじゃないの?

より具体的な進め方、その現実解を見出すのにご苦労をされている様子が伺えます。
この変化が常態化した時代における資本収益性を向上させるポイントとして、「①業務」「②組織/人」「③IT/DX」の大きく3つの変革が必要であると考えています。

3つの「改革」と実行上のポイントについての説明スライド

①業務の変革
これまで、例えばROICのスコアを評価するにあたっては、過去の実績、事実を正確に捉え、スコアとしてステークホルダーに開示する視点が中心だったと思います。これは今後も変わらず不可欠なマネジメントです。さらに、これだけ変化が常態化した現代においては、プロアクティブなマネジメントが、ますますその重要性を増していると考えます。具体的には視線を未来へ向け、先を適切に粗く大局的に見通して、意思決定、アクションにつなげる。掲げた経営目標に対して、期中に未来をコントロール、マネージしていく世界観です。

3つの「改革」①業務(マネジメント・ビジネスプロセス)の説明スライド

実行上のポイントは「経営とSCM業務の同期」です。経営目標と業務計画を資本収益性という共通指標のもと、同期させることが大事です。これにより、経営方針がしっかりと業務計画に反映され、また業務の成果が経営に直接的に貢献することができます。

経営状態を評価する上では、複数の指標を複合的に活用していくことが必要です。その前提の下、ここでは、資本収益性を評価するにあたり、ROICを代表例にとって見て行きます。

経営として、分子の「利益」を最大化し、分母の「投下資本」を適正に抑えることで、資本収益性の最大化を目指します。右側の業務サイドの業務計画へと、適切な管理粒度に細分化しつつ、金額ベースでカスケードして同期させます。

ここで、分子の営業利益に着目します。事業別、製品別に利益を捉える上で、”実効利益”で捉えることが重要です。粗利ではなく、調達から最終的にお客様に届けられるまでのサプライチェーン上のあらゆるコスト、具体的には、一連のプロセスで発生する保管費用や輸送費用などの物流コスト、販売コストや廃棄コストなども含め、適切に粗く網羅的に捉えることがポイントです。

3つの「改革」①業務(マネジメント・ビジネスプロセス)の説明スライド

一方、分母については、投下資本全体での評価と共に、事業特性に応じて、さらに分解して、その影響が大きい重点的な管理構成要素別にも、複合的に評価をしていきます。例えば、ウェイトの大きな棚卸資産に対する実効利益を捉え、その資本効率、つまり“稼ぐ力”を評価するということです。

3つの「改革」①業務(マネジメント・ビジネスプロセス)の説明スライド

このように、目標と計画レベルをしっかりと同期させることで、業務サイドの成果が経営サイドの成果に確実に貢献するフィードバック・ループをつくります。さらに、この構造を作ることで、業務側の将来の計画情報から、経営側の将来の資本収益性を推計し、先々の経営の傾向を見通すことが可能になります。

②組織/人の変革
先に見た業務変革を実効性あるものにするには、組織/人の変革が不可欠です。
そのために裁量と責任を持った推進体制、改革を定着させるための評価制度、組織風土・人材育成の文化醸成/浸透の3つの取り組みが求められます。

3つの「改革」②業務(組織・制度・文化/人材)の説明スライド

③ITの変革/DX 
過去の実績だけでなく、将来の計画を一元的に統合し、シナリオシミュレーションを加えながら、統一プラットフォーム上で将来を見通すことができる。これこそが、Anaplanによるデータドリブン経営の真骨頂であり、従来の見える化の仕組みとは異なる、「未来を創る」仕組みだと考えています。経営目標の達成に向け、どういった施策が真に効果的なのか、意思決定を強力に支援してくれるはずです。

3つの「改革」③IT/DXの説明スライド

※ここで、事業の健全性をROICツリーで捉えるデモンストレーション動画をご紹介しました。事業全体を俯瞰的に捉えたうえで、製品レベルまでブレイクダウンして課題をつかみ、打ち手をシミュレーションし意思決定・施策へつなげるといった内容です。

先ほど、お客様の声をご紹介しましたが、企業が独力でこうした課題解決を進めるのは難しいという声もよく聞きます。NECでは、このような声に対し、課題の発見から具体的な改善案のご提案、さらにデータ活用やDXの仕組みの構築から中期的なステージアップまで一気通貫で伴走し、ご支援をしています。ぜひお声掛けください。

4.今後の展望 ~さらなるAIの業務実装の進化

ここからは少し視点を変え、今後の展望としてAIの業務実装の進化について触れていきます。
NECでは、変革のすべての過程にAIが関わると考えています。
まず、AIのトレンドをおさらいします。

現実世界を認識できるようになったCognitive AIの段階から、データを基に自らの意見をまとめることができるようになったGenerative AIの段階を経て、そして自律的に行動を起こせるAgentic AIが現在のトレンドになっています。さらにこの先は、実世界と相互連携し、実行結果を踏まえて修正を加えていくといったEmbodied AIの世界観に進化していくと考えられています。

AI・生成AI市場の潮流の説明スライド

ここでは、NECのAgentic AIについて実装例をご紹介します。

①NEC Advanced S&OPソリューション
新製品の需要予測や継続的な予測精度の分析など、SCMの高度化を支援するサービスで、SCMやS&OP、データ分析のプロのアナリストの知見が盛り込まれたカスタムAIが実装されています。加えて、生成AIを活用し、社内外の情報を自律的に探索しながらより専門性のある分析結果をレポーティングする仕組みも搭載しています。すでにご提供中のサービスで、さらなる発展も期待されます。

②自動交渉AI
人間に代わって相手と交渉・調整をするAIです。例えば、部材調達において、納期や数量などをデータに基づいて交渉案を立案し、交渉成立までインタラクティブに交渉を行います。多数のサプライヤ様のご協力を得て、NECグループでの実証において、95%自動合意を達成した成果が上がっています。さまざまなユースケースへの活用拡大が期待されています。

③意図学習
熟練者の暗黙知に基づき、その“意図”を数値化して意思決定を再現するNEC独自のAI技術です。
本講演のテーマへの適用イメージをユースケース例としてご紹介します。理想とする自社の高収益事業や業界のベストプラクティスなど、ありたい姿から、トレードオフの関係にある複数のKPIのバランスをこの意図学習AIが解読します。例えば、この評価結果を基に、Anaplan上での収益性のシミュレーションに繋げることで、経営の意思決定の質とスピードを劇的に高めることが期待できます。

一方で、こうした高度なAI技術の活用が期待される中、いかに安心・安全に活用ができるかは、ビジネスへの実装にあたり大前提になると考えます。悪意ある脅威から守る「Security」、悪意のない善意の上に起こり得る脅威から守る「Safety」。この両面が不可欠になります。

また、自社のデータやナレッジとAIを結び付けて、それを自社の財産にしていく。このカスタムAIこそが、ビジネス上の大きな競争力になると考えます 。

NECでは、グローバルな様々なパートナー様との協業体制により、そうした技術、社会基盤もご提供していきます。また、自社を最初のユーザー(クライアント・ゼロ)として位置づけ、ご提供するプロダクト・サービスに自社内の適用で磨き込んだノウハウも練りこんで、人とAIが共存する社会の実現に貢献してまいります。

また、AIの活用においては、活動をリードできる人材が不可欠です。NECとしても、AI人材やDX人材の育成に2013年頃から着手し、現在では10,000名以上のデジタル人材がお客様をご支援しています。

さらに、お客様へのAI、DX人材育成メニューを用意し、お客様ご自身でのAI活用によるDXの加速化をご支援しております。

最後になりますが、激動の変化の時代に、この変化をリスクとしてだけでなく、大きなビジネスチャンスと捉え、日本の製造業の未来を皆様と共に切り拓いて行ければと思います。皆様の継続的なパートナーとして共に歩み、皆様の事業成長に貢献してまいります。

「さいごに:激動の変化の時代をビジネスチャンスに変え、製造業の未来をともに切り拓く」の説明スライド

●まとめ

「Anaplan Connect Tokyo 2025」では、資本収益性向上に向けたマネジメント変革とAI活用の最前線を共有し、製造業が直面する課題への具体的なアプローチを紹介しました。
NECは今後も、データドリブン経営やAIの業務実装を通じて、お客様の企業価値向上を支援し、変革を共に推進してまいります。

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