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「AI活用による設計の高度化 最前線」レポート

カテゴリ:DX・業務改革推進設計・開発・技術PLM/CAD

NECでは、10月24日に「AI活用による設計の高度化 最前線」セミナーを開催しました。
製造業では、市場ニーズの多様化や需要の変化、人手不足への対応に加えて、高度な製品/サービスの企画・開発が求められています。 そこで注目されるのが、AIをはじめとする先端テクノロジーの活用です。
どうすれば、製品開発において人とAIの協調を進め、技術伝承や品質向上を実現できるのか。本セミナーでは、事例やソリューションも交えながら、AIネイティブな時代を勝ち抜くためのヒントをご紹介しました。その概要をお届けします。

[目次]

【講演1】デジタルネイティブ時代における技術競争力の継承と強化

【講演者のご紹介】
NEC マネジメントコンサルティング統括部 PLMグループ ディレクター 石田 雄也

2008年より製造業向けコンサルティングに従事。PLM/グローバル統合BOM等を対象とした、業務・システム変革構想/業務設計、PMO支援が専門領域。

NEC マネジメントコンサルティング統括部 PLMグループ ディレクター 石田雄也

日本の製造業において、技術継承は大きな課題です。一方で近年、LLM(Large Language Models、大規模言語モデル)などの新しいテクノロジーの急速な進歩を背景として、熟練の設計者や生産技術者の経験・知識を、テクノロジーを駆使して形式知化し、技術継承に活用することへの期待が高まっています。NECが考える打ち手を、事例も交えながら解説します。

1.製造業が直面している課題

製造業の就業者数は、過去20年間で226万人減少しており、今後もその傾向は継続する見込みです。そのような中で喫緊の課題が技術・技能継承です。先人と同じ経験・苦労を若手が繰り返す「車輪の再発明」が、現場には残っています。人海戦術でカバーすれば一時的にはしのげるかもしれません。しかし労働力不足がさらに深刻化する以上、組織的に経験・知識を再利用する体制を整えなければ、企業としての持続的な成長は困難です。また、製品の高度化・複雑化が進み、技術者が繁忙になっている点も、技術継承を分断させている要因です。
こうした技術継承の課題を解決するにはテクノロジーの活用が不可欠です。

「技術・技術継承は製造業における喫緊の課題」についての説明スライド

2.技術継承に活用できる先端テクノロジー

技術継承に活用できるテクノロジーには、次のようなものがあります。

例えば、「PLM」です。PLMを単なる設計完了後の成果物格納場所としてではなく、製品ライフサイクルを通じて、品質・コスト・環境情報などを統合管理する企業は増えています。これに加え、製品軸でベテランの検討手順や設計意図などを蓄積することで、コアナレッジの継承にも活用できます。

また、昨今話題になっているLLMがあります。
LLMは、インターネット上に存在する大量のテキストデータを学習し、あたかも「人と会話をするように」文章生成、翻訳、要約、質問応答など、自然言語に関するさまざまなタスクを実行できます。
RAG(Retrieval Augmented Generation、検索拡張生成)という技術も登場しました。自社独自のドキュメントデータベースを用意するなど「ある程度絞った情報を参照してLLMで回答を生成する」ことで、より精度の高い回答を返せるようになります。

3.NECが考える技術継承のコンセプト

NECは、技術継承の問題に対して、次のようなコンセプトを考えています。

「NECが考える技術継承のコンセプト」についての説明スライド

現状では、企業における経験・知識の多くが属人化しており、技術資産としての再利用が不十分です。また、仮にそれをデータ化(形式知化)しても、そこから有用な価値を引き出す仕組みが整っていません。NECが目指す「ありたい姿」は、「経験・知識を形式知化し、そのデータから価値を引き出せる状態」です。
このコンセプトの実現には、3つの解決策があります。

「技術継承のコンセプトを実現するための3つの解決策」についての説明スライド

解決策の1つ目は、「経験・知識の体系化・形式知化」です。技術文書や技術ノウハウのように、設計者や技術者が文章に落とし込みやすいものがまずは取り組みやすいと考えています。さらに、将来のマルチモーダル化も見据えると、五感、コツ、職人技といった「継承すべき暗黙知」についても、データ化・蓄積する方法を検討することが肝要です。

解決策の2つ目は、「用途に応じた最適な情報提供・活用」です。必ずしもLLMのような先端テクノロジーを使う必要はありません。「経験・知識を体系化・形式知化」して蓄積し、探したい情報を検索しやすくするだけでも大きな効果を得られます。一方で、探したい情報が曖昧な場合や、検討の「とっかかり」となるアイデアがほしい場合は、LLMのように、業務の文脈に沿って質問・検索できるような仕組みが有用であると期待できます。

解決策の3つ目は、「全員参加型による業務・意識改革の実践(AI協働型人材の育成・普及)」です。まずは各部門から、テクノロジーを実業務に活用し、バリューチェーンの変革アイデアを自ら創出できる「リードユーザー」を発掘します。その後、リードユーザーから自部門のユーザーへと業務変革を促していくような体制・仕組みを構築することが重要です。

4.事例:NECにおける技術継承

NECの取り組みをご紹介します。
ある製品の開発部署では、製品ライフサイクルが非常に長いために、紙の仕様書や図面を読み解く場面が今でも残っています。近年、ベテラン技術者の退職が重なり、特定の専門分野において技術継承が寸断、専門家不在の状況が発生しました。ある装置については、自社開発が難しくなりました。

現在、こうした状況に対して、「体系化されたドキュメント管理」「設計手順・Tips・設計意図など、今まで文書化されていないものを文書化・データ化する」「LLMを用いた効率的な情報探索」「レビュー記録の半自動蓄積」「AIレビュアーによるセルフレビューの強化」の5つのポイントで解決に取り組んでいます。

これにより、情報検索をはじめとする付帯的業務を大幅に削減できるという試算が出ています。間接的には、製品開発リードタイムの短縮、製品品質・業務品質の向上、事業の継続性確保などにつながることを期待しています。

5.技術伝承プロジェクトの進め方

技術競争力の継承と強化を実現するには、「どういったコアナレッジの継承が必要で、それによりどれほどの効果が得られるか」を現状分析し、プロジェクト全体を構想・企画する作業が起点となります。システム導入やAIといった手段先行ではなく、「技術競争力の継承と強化」という本来の目的を外さず、構想策定から運用定着までを一気通貫の活動とすることが重要です。

「技術協力継承・強化を実現するプロジェクトフロー」についての説明スライド

NECも、事業環境の変化やテクノロジーの急速な進化に追従するために、さまざまな取組を実践しています。しかし、さらに飛躍的なブレークスルーを遂げるには、企業の壁を超えた協業や共同検証が欠かせません。
本内容にご興味がありましたら、NECをパートナー候補としてご検討いただけますと幸いです。

【講演2】Beyondものづくり~すり合わせの高度化を実現するPLM活用とは

【講演者のご紹介】
NEC 製造システム統括部 スマートファクトリー戦略グループ プロフェッショナル 原 祐治
PLM・CADを中心としたプリセールス、デリバリー、パートナービジネスに従事。PLMソリューション「Obbligato」を中心としたエンジニアリング領域に対するソリューション提案・導入支援を多数経験し、現在は、NECにおけるPLMビジネス戦略立案を担当。

NEC 製造システム統括部 スマートファクトリー戦略グループ プロフェッショナル 原祐治

ものづくり企業の生き残りのカギは、日本の製造業の強みである「すり合わせ技術」の高度化にあります。すり合わせの高度化を支援する「PLM」とはどのようなものか。PLMが実現するものづくりの「最適化」と、NECが提供しているPLMソリューション「Obbligato」について解説します。

1.ものづくりの全体プロセスを最適化する

製造業が置かれている外部環境を分析すると、地政学リスクや多品種少量生産の加速、労働人口の減少、欧州のDPP(デジタル製品パスポート)を始めとする環境面の新たな法規制など、課題は山積みです。

こうした変化に対処するため、経産省は「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」を策定しました。同ガイドラインは、製造機能のみならず製造を取り巻く「4つのチェーン」の視点からものづくりの全体プロセス=マニュファクチャリングチェーンをとらえること、そして、マニュファクチャリングチェーンをデジタル技術により最適化することを提唱しました。なお「4つのチェーン」とは次の通りです。

(1)エンジニアリングチェーン
製品・工程設計を中心とした技術と情報をものづくり各機能に訴求する連鎖

(2)サプライチェーン
最終需要者に商品供給するための、材料調達から商品納入までの「もの」を中心とした業務連鎖

(3)プロダクションチェーン
自社の製造リソース(人、設備、工法、ノウハウ)により、原材料を加工し商品として仕上げる一連の工程連鎖

(4)サービスチェーン
提供サービスの顧客への認知と品質の魅力の向上、および納入後の商品価値を維持向上させるための『サービス』を中心とした業務連鎖

NECは、ここに環境情報や環境配慮に関する要素を含めた「サステナブルチェーン」を加えた上で、スマートマニュファクチャリングの全体最適を実現する必要があると考えています。

「NECが考えるスマートマニュファクチャリングの姿」についての説明スライド

2.NECが考える「スマートマニュファクチャリングチェーン」

NECが提言するスマートマニュファクチャリングの中核は、ものづくりの基準情報であるBOM/BOPです。5つのチェーンから発生するさまざまなデータを吸い上げ、PLMに蓄積することがポイントです。従来は企画、設計・開発、生産等でそれぞれ分断されていたデータがつながり、ものづくり全体を俯瞰的な視点から管理しやすくなると共に、データをさまざまなかたちで活用できるようになります。

「obbligato:製品ライフサイクルに関する基準情報を繋ぎ、蓄積・活用・循環させる」についての説明スライド

3.BOM/BOPが促す「ものづくりの変革」

BOM/BOPを中核としたスマートマニュファクチャリングにより、どのような効果が期待できるのか。ここでは3点に絞ってご紹介します。

1つは、BOM/BOPを軸としたものづくりの変革です。BOM/BOP管理とは、図面やBOMなどの設計成果物に加え、製造に関するBOP情報まで統合管理することです。また、品質管理に重要な「ものづくり5M情報」も統合することで、不具合が起きた場合にも、どのBOMに影響があるか、BOMの変更によりどの設備や工程に影響があるか等を、迅速にトレースできます。

「BOM/BOPを軸としたものづくりの変革の実現」についての説明スライド

また、BOM/BOPを核とした「すり合わせ」により、設計-生産業務のQCD向上も期待できます。従来は、設計者がCADで図面を作成したデータをPDMに保管した後、そこから部品表を作成し、承認ワークフローを回して、正式な図面として確定してから生産技術部門に情報を渡す、という流れが一般的でした。しかし、BOM/BOPを核にして、図面データを登録するのと同時にBOMも作成し、設計段階から生産技術部門と情報を共有すれば、組み立て検証や工程設計を前倒しできます。こうした「コンカレントエンジニアリング」の実現により、設計から生産に入るまでのリードタイムを大幅に短縮できる等のメリットが生まれます。

そのほか、製造手順書の自動作成や、製造ナレッジの共有による新拠点の迅速立ち上げ、精度の高い原価企画など、BOM/BOPを核に企画~製造現場までがデジタルにつながるメリットは多様にあります。

4.環境配慮設計によるものづくりの実現

BOM/BOPを核としたスマートマニュファクチャリングによる効果の2つめは、環境配慮設計によるものづくりの実現です。新たな環境規制へ対応するには、CO2排出量や化学物質、資源循環、紛争鉱物などを設計段階から考慮する必要があります。そうしなければ、実際に製品が完成した後に「実は輸出できない」という事態も想定され、大きな機会損失が生じる恐れがあります。そこで重要になるのが環境BOMです。

「環境配慮設計によるものづくりの実現」についての説明スライド

CO2排出量などの環境情報を他のBOMと連携することで、企画・設計の早い段階で「この部品は規制をクリアしているのか」「CO2排出量はどの程度か」等を把握できます。

5.設計標準をはじめとした技術伝承のためのAI活用

効果の3つめは、技術伝承です。PLMには、多くの技術や匠の知見が蓄積されていますが、その活用に課題があり、「誰に聞けばいいのかわからない」「必要な情報がどこにあるのか探せない」という問題が生じがちです。これを解決するのが、PLMとAIのコラボレーションです。

「設計標準をはじめとした技術伝承のためのAI活用」についての説明スライド

例えば、過去の製品やプロジェクトで発生した事象やポイントなどをPLM上に蓄積しておき、AIが高精度に検索・要約することで、欲しい情報を短時間で把握できます。また問題発生時には、過去のトラブルや不具合の事例をAIに検索させ、設計仕様や製品仕様の妥当性をチェックすることも可能です。新製品開発やアイデア創出にも活用できます。新たな設計を行う際に、どのようなアイデアが市場で受け入れられるか等をAIにサジェストしてもらう機能が、今後のPLMには必要とされるでしょう。

6.NECのPLMソリューション「Obbligato」

NECのPLMソリューション「Obbligato」は、ものづくりの基準情報BOM/BOPを核に情報をあつめ、社内外のあらゆる情報をシームレスにつなぐことで、スマートマニュファクチャリングを実現します。2025年5月頃には、技術ドキュメントを対象に、LLMとの連携による高精度な検索を製品開発にご活用いただける機能をリリースする予定です。

PLM「Obbligato(オブリガード)」は、音楽用語で「伴走する」という意味に由来し、お客様のものづくりの主旋律を支える存在でありたいという思いが込められています。今後も、AIをはじめ、最新のテクノロジーも含めた開発を進め、お客様の事業に伴走していきます。

「経験・ノウハウの最適利用による設計の高度化を促進」についての説明スライド

NECは、AI技術と、ものづくりに関するコンサルティングサービス・ソリューションを通じて、製造業の業務生産性の向上や技術・技能の伝承をご支援いたします。技術・技能の伝承が進まず、お困りのお客様や、PLMとAIを組み合わせて、高度な製品開発を実現したいお客様は、ぜひ、NECまでご相談ください。

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技術競争力継承・強化サービス

企業価値向上に役立つ経験や知識を特定し、それらの経験・知識を表出化・データ化、それらを活用・結合して価値を引き出せる状態にすることで、業務の生産性向上や技術/技能継承を実現します。

技術競争力のデジタルのイメージ画像

PLM「Obbligato」

PLM「Obbligato」は、企画~設計~生産~保守に至る製品ライフサイクル全般に渡り、ものづくりの基準情報であるBOMとBOPを核に情報を連鎖・集約・共有し、エンジニアリングチェーンとサプライチェーンをつないで、変動対応力・競争力を強化します。

PLM「Obbligato」のイメージ画像

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