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愛知県岡崎市様

水道管漏水調査の“不可能”を“可能”に
中大口径管路の漏水箇所をピンポイントで特定

業種:
  • 地方公共団体・官庁
業務:
  • その他業務
製品:
  • その他
ソリューション・サービス:
  • サービス/その他

事例の概要

課題背景

  • 中大口径管路のバイパス管路整備後の水圧試験において漏水が疑われる区間を発見
  • ベテラン職員や専門業者を動員し、多様な調査を駆使しても漏水の発生箇所がわからない
  • 管路は幹線道路下にあり、度重なる調査は交通や周辺住民、企業への影響が大きい

成果

漏水箇所をピンポイントで特定

計測データを解析した結果、漏水による振動が疑われる音源を検出。その地点を掘削したところ、ほぼ誤差なく漏水箇所を特定できた

漏水調査業務を大幅に効率化

現場の作業は管路のバルブに計測器を設置するだけ。調査のために多くの人員や予算を組む必要がなく、交通や周辺住民への影響も最小限で済む

大規模事故の未然防止に貢献

漏水箇所を発見・修繕できたため、大規模断水や道路陥没などを未然に回避することができた

導入ソリューション

管路上の2箇所以上のバルブなどに高感度センサを設置し、振動データを30分以上収集したのち回収。そのデータをクラウドサービスにアップロードすると、NECがデータ解析を行う。解析結果は約2週間後にWebブラウザで閲覧可能。

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事例の詳細

導入前の背景や課題

基幹管路に漏水の疑いがあるものの、発生箇所を特定できない

愛知県のほぼ中央に位置し、徳川家康が生誕した地として知られる岡崎市。その上下水道事業を管轄するのが岡崎市上下水道局です。
事業開始からまもなく約100年を迎えることを受け、同市では水道インフラを「拡張」から「再構築」へ転換。次の100年を見据えて上下水道事業を計画的に経営する「岡崎市上下水道ビジョン」を策定・推進しています。
「大規模断水や道路陥没などの事故を未然に防ぐためには、管路の維持管理や老朽化した管路の更新が欠かせません。発生リスクが高まっている南海トラフ地震に備えた耐震化も喫緊の課題です。そこで、計画的更新を行うための事業費確保、職員や民間業者も含めた技術者の育成など最適なバランスを考えながら、水道サービスの維持・向上に努めています」と岡崎市上下水道局の林 秀昭氏は説明します。
こうした方針に沿って注力しているのが、水道供給の核となる基幹管路の更新工事です。工事完了後は管路に水を満たした状態で24時間の通水試験を行い、水圧が下がらなければ漏水はないと判断され本稼働します。「しかし水圧試験の結果、漏水が疑われる管路もあり、その漏水箇所の特定には手を焼いています」と岡崎市上下水道局の井戸田 明久氏は話します。
近年、既設管路をバイパスして2つの配水池をつなぐことを目的に新規に布設した口径400mmのダクタイル鋳鉄管(GX形)においても、供用開始前の水圧試験の結果から漏水の可能性が高い区間がありました。埋設深度は約1.2m、漏水が疑われる区間の全長は約2kmです。地表にあふれ出るような漏水なら特定しやすいですが、地下に浸透するような微量な漏水は、その発生箇所の特定が困難です。
「微量とはいえ、漏水の可能性があるとわかっていて放置することはできません」と林氏は言明します。今回の区間は、将来的な配水系統の再構築を見据える中で重要な役割を担う管路であるとともに、管の口径が大きく、漏水量が増大した場合、道路陥没などの二次被害が懸念されるからです。

岡崎市上下水道局
水道課 副課長
林 秀昭 氏

選択のポイント

高度なセンサや雑音除去技術による微細な振動検知に期待

対象の管路が埋設された区間の上は幹線道路であること。また、水圧試験結果の減圧トレンドから漏水量が微量であることが推察されるため、関係各所と調整の上、実務経験豊富な職員による調査に加え、漏水調査会社にも協力してもらい、さまざまな方法で調査を実施しました。
まず管路を埋設した路面上で音聴調査を行いましたが、漏水音を検知できませんでした。
路面のアスファルトを部分的に掘削し、既存の相関式調査機器を使った調査も行いましたが、漏水箇所の特定には至りませんでした。「新しく埋設した水道管なので管体にピンホールなどの穴が開いた漏水は考えづらく、管の継手が怪しいとは考えていましたが、対象区間が長く、場所を特定する手掛かりが得られない状況が長期間続き、残る手段は一度埋設した管路をすべて掘り返すことも視野に入れて検討を行っていました」と林氏は振り返ります。
そんなとき偶然的にNECから提案を受けたのが、中大口径管路にも適用可能な「漏水検知技術」です。高度な雑音除去技術を活用することで、高感度センサで取得した計測データから無関係な雑音を取り除き、漏水の振動を高精度に抽出します。「八方塞がりの状態だったので、藁にもすがる思いでNECの漏水検知技術に望みを託しました」と林氏は打ち明けます。
この技術を活用した漏水調査は2025年12月に実施されました。調査にあたってはアスファルト掘削の必要はなく、約400m間隔で管路のバルブに計測器を設置し、対象区間を調査しました。夜間にセンサで振動データを収集し、翌日午前中に回収。データはNECが持ち帰って解析を行い、約2週間後に解析結果を提示しました。

岡崎市上下水道局
水道課 工事2係
井戸田 明久 氏

導入後の成果

漏水調査業務を効率化し、“災害に強い”水道インフラづくりに貢献

データ解析の結果、計測器を設置した区間のなかで1箇所、漏水と疑われる音源を検出しました。その音源は基準となる計測器から216m付近にありました。関係部署と調整の上、その箇所を掘削したところ、計測器から215m地点の継手部分で実際に漏水が発見されました。その時の驚きを林氏は次のように言葉にします。
「10m程度まで絞り込めるだけでもすごいのに、『ここだ』とピンポイントで特定してくれた。これは本当に驚きでした。ベテラン職員も『自分たちが従来手法で発見できなかったものが、こんなに明確にわかるのか!』と舌を巻いていましたね」。
漏水の原因は、当初の見立てのとおり継手部分であり、現場で接合状況を再確認するとゴム輪の位置が設計の基準値を超えていたことが確認されました。すぐさま修繕作業を行った後、再度、NECの漏水検知技術で同一区間を調査し、音源が消失したことを確認するとともに、水圧試験においても水圧低下が見られないことを確認しました。
「仮に全面掘り返しを行っていたら、費用は管路布設に掛かった予算の2倍以上に膨れ上がっていたはず。道路を長距離にわたって掘削工事することになれば、交通や沿道への影響も避けられません。NECの技術を活用できたことで、予算、工期、社会的な影響も最小限にとどめることができました」と林氏は続けます。
NECの漏水検知技術は雑音が多い環境や、振動が伝わりづらい大口径の管路でも微小な漏水音を検知できます。今回のような新設管路や更新管路の施工確認だけでなく、既設管路での漏水確認にも使える非常に有用性の高い技術です。「早期に漏水箇所を発見できれば、大規模断水や道路陥没などの事故を未然に防ぐことができます」と井戸田氏は期待を寄せます。
基幹管路の更新事業は、岡崎市上下水道ビジョンに基づく水道インフラ耐震化の一環です。「NECの漏水検知技術は南海トラフ地震を見据えた“災害に強い”水道インフラづくりと、その維持管理に大きく貢献する技術だと思います。今回の成果は全国の水道事業者に報告したい。それぐらい大きなインパクトがあります」と林氏は満足感を示します。
老朽化した管路の更新と維持管理は全国自治体の共通課題です。「経験豊富な職員と漏水調査会社が行った調査で発見できなかった微量な漏水箇所をピンポイントで特定したNECの漏水検知技術を求める事業体は多いと考えます。この技術を全国に広めることで、漏水調査の負担軽減になれば、水道の安定供給につながります」(井戸田氏)。
管路の特性や埋設場所、周辺住民や交通への影響などから有効な漏水調査が実施できていないケースは少なくありません。今回の取り組みはそうした課題への“新たな解決法”を示した好例と言えるでしょう。

「漏水被疑箇所を検出した解析結果」
「漏水被疑箇所が検出されない解析結果」

担当スタッフの声

独自技術を「漏水検知サービス」で提供します

老朽化が進む水道インフラの維持管理は日本が抱える重要な社会課題の1つです。この課題解決のために開発したのが、水道用基幹管路向けの「漏水検知技術」です。
NECの研究所が長年にわたり培ってきた信号処理技術、電子機器に関する知見を組み合わせることで実現しました。多数の自治体様にも協力していただいて実証実験を重ね、実用化に至りました。岡崎市上下水道局様にもその一環という位置付けで、今回本技術を提供させていただき、実際のフィールドで、従来手法では困難であった口径の大きい管路で漏水箇所をピンポイントで特定するという成果を上げることができました。
多くの実証を経て、本技術はクラウド型の「漏水検知サービス」として2026年7月より提供を開始しています。計測器はレンタルで提供し、設置など現地作業はお客様にて対応いただきますが、計測データはクラウド上でNECが解析します。解析完了後、その結果はWeb画面で確認いただけます。解析期間はデータをお預かりしてから2週間程度。3つ以上の計測器を同時に設置することで、1回の実施で長距離区間を効率的に調査することも可能です。
本サービスの活用により、中大口径管路にも有効な漏水調査手法を提供することが可能となり、大規模断水や道路陥没などの防止、更新投資の最適化などが期待できます。現地作業も簡便であり、今後直面する人員不足のなかでも、効率的に維持管理を行うことにもつながります。
今後はこのサービスを全国の水道事業者様に発信し、水道の安定供給や、安全・安心な地域社会の実現に貢献していきます。

NEC
社会公共インテグレーション統括部
水道グループ 主任
小室 公太
左から、NEC 小室、岡崎市上下水道局 林氏、井戸田氏、NEC 井上

お客様プロフィール

愛知県岡崎市

市役所所在地 愛知県岡崎市十王町2丁目9番地
人口 37万8,461人(推計人口 2026年6月1日現在)
概要 良質な花崗岩(御影石)の産地であり、日本三大石品生産地の1つ。矢作川の水と温暖な気候に恵まれ、古くから八丁味噌の産地としても知られる。製造業や商業に加え、市内には多数の大学や研究所があり、学術研究も盛ん。中心市街地を流れる乙川、日本さくら名所100選に選ばれた岡崎公園、徳川家康公ゆかりの岡崎城など観光資源も豊富。2003年(平成15年)に中核市へ移行後、独自性を生かしたまちづくりを進め、発展を続ける。
URL new windowhttps://www.city.okazaki.lg.jp/

愛知県岡崎市様

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(2026年10月13日)

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