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当社は、2013年4月に発表した「2015中期経営計画」に基づき、社会ソリューション事業の確立に向けて取り組んでいます。2014年3月期(当年度)は、その初年度として、注力領域への投資や事業買収、事業ポートフォリオの見直しなどを着実に進め、今後の成長に向けた種まきを行いました。
中期経営計画の2年目となる2015年3月期(次年度)は、これまでの1年間の取り組みをベースに、その成果を示す年であると考えています。ここでは、中計1年目の成果と、2年目の取り組みを紹介します。
当年度は、「2015中期経営計画」の初年度として、「社会ソリューション事業への注力」「アジアへの注力、現地主導型ビジネスの推進」「安定的な財務基盤の構築」という3つの経営方針に基づき、グローバルな競争力を有する社会ソリューション事業の確立を目指した取り組みを進めました。
一方で、成長戦略のさらなる具体化と、その実行スピードの加速を2年目の課題としてとらえています。グローバルな競争力を有する社会ソリューション事業を確立し、当社の持続的な売上成長を実現するためには、注力事業の本格的な立ち上げや海外での売上拡大を実現することが不可欠です。併せて、海外事業や低収益事業の収益改善活動、事業統合効果の着実な刈り取りなどをとおして、コスト競争力の強化を加速していかなければいけないと考えています。
世界の人口増加や都市化の進展などに伴って生じる社会課題の解決を目指し、ICTの活用によって社会インフラの高度化を実現するソリューションの創出に努めました。具体的には、当社が強みを有するSDN、ビッグデータ、クラウドなどの領域で成長に向けた投資を加速するとともに、受注の獲得や実証実験への参画などの成果を積み上げました。
社会インフラ領域では、交通、水、通信、都市開発・工業団地、サイバーセキュリティなどに注力し、結果を着実に積み上げました。例えば、航空管制レーダや防災システムなどは、日本だけでなくアジアでの納入実績も出てきています。
また、新たな取り組みとなる下水道関連では、新事業の創出を目指して国内の自治体と共同で実証実験を行いました。加えて、2016年に予定されているマイナンバー制度の運用開始を控え、当年度に複数の関連システムを受注しており、今後の案件の本格化を見据えてさらに取り組みを強化していきます。
TOMS(Telecom Operations and Management Solutions:通信運用管理ソリューション)では、高い製品競争力とグローバルなサービス提供体制を強みとして、着実に事業を拡大しました。同事業を手がけるネットクラッカー・テクノロジー社は、2012年5月の米国コンバージス社のBSS(事業支援システム)事業の買収以降、新規顧客を着実に拡大しており、2008年に50社程度であった顧客数が、足もとでは世界58ヵ国・250社以上となっています。
当年度には、ネットクラッカー・テクノロジー社のOSS(運用支援システム)とBSSを統合した新ソリューションを製品化し、より短期間・低コストでのシステム構築・機能追加を実現しました。
当社は、次年度のテレコムキャリア事業の売上成長の牽引役として同事業に期待しています。
SDNは、大きく企業・官公庁向け、データセンター事業者向け、通信事業者向けに分類できますが、当社はそれぞれで取り組みを進めました。企業・官公庁やデータセンター事業者向けでは、複雑な既存ネットワークを簡素化し、利便性を高めることを目的にSDNを適用する動きが増えています。当年度は、企業や病院、交通機関などに納入し、これまでの納入実績は累計で100社以上となりました。
また、SDNの今後の普及に向け、同領域におけるオープンなエコシステム構築のための取り組みの一環として、米国HP社との協業も開始しました。通信事業者向けでは、ネットワーク運用管理の高度化/自動化を実現するSDN導入への関心が高まっており、2016年3月期頃と予想されている本格的な市場の立ち上がりに向けて、当社はスペインのテレフォニカ社などのグローバルキャリアとの共同実証を推進しました。
スマートエネルギーの領域では、本格的に立ち上がりつつある電力会社向け蓄電システム市場におけるプレゼンスを向上させ、事業展開を加速させるため、電力会社や企業向けに蓄電システムを提供するA123エナジーソリューションズ(現NECエナジーソリューションズ社)を買収しました。世界トップクラスの納入実績やシステム構築ノウハウなどの強みを活用し、グローバル市場への本格展開をはかるとともに、蓄電システムと当社のICTとの融合による次世代エネルギーサービスの創出にも取り組んでいきます。
さらに、社会ソリューション事業を支える基盤となるシステムプラットフォームの領域では、クラウド時代の市場環境の変化に対応できる最適なサービス提供体制の構築を目指して、NECフィールディング(株)の完全子会社化を決定し、株式の公開買付けを実施しました。
グローバルでの取り組みについては、インフラ領域での実績拡大に加え、現地主導型ビジネスの創出を推進するための体制強化に努めました。セーフティ事業のグローバル戦略拠点として2013年4月にシンガポールに設置したグローバルセーフティ事業部に加え、同年9月には、現地の研究機関や大学、お客さまとのコラボレーションによってセーフティ領域をはじめとした先端ソリューションの開発や実証を行う研究拠点としてNECラボラトリーズシンガポールを開設しました。
GSDとNLSを擁するNECアジア・パシフィック社は、シンガポールの内務省とシンガポール経済開発庁によるパブリックセーフティ分野の実証実験「Singapore Safe City Test Bed」の参加企業にも選定されており、同実証実験への積極参加をとおして現地主導型の事業創出を加速していきます。
当社が国内で培った経験・技術のグローバル展開という点でも成果がありました。国内で自治体向けに多くの納入実績がある、災害に強い通信インフラを利用した防災システムを台湾やフィリピンで受注したほか、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国から航空管制レーダを受注するなど、アジアを中心としたインフラ強化の需要をとらえ、今後のグローバル成長に向けた手ごたえを得ることができました。
このほか、当年度には、施設監視、鉄道の通信セキュリティシステム、サイバーセキュリティ、顔認証などの領域での受注も獲得しました。
安定的な財務基盤の構築に向けて、社会ソリューション事業への機動的・戦略的な先行投資の実施と、不測の事態に対応できる財務余力の確保を目的として2013年5月にハイブリッド・ファイナンス(劣後特約付ローン)による1,300億円の資金調達を行ったことに加え、コスト競争力強化やキャッシュ・フロー創出のための収益構造改善に向けて、さまざまな取り組みを行いました。
コスト競争力の強化については、ハードウェアの開発・生産を行う子会社4社の統合による生産体制の強化・効率化や、スタフサービス子会社4社の再編による人事・総務などの間接業務の効率化に向けた取り組みを開始しました。また、グローバルSCM(サプライチェーン・マネジメント)体制の拡充のため、物流ネットワークのグローバル最適化や、海外の地域統括会社と国内拠点が一体となったSCM活動体制の構築などにも取り組みました。
このほか、インドなどのオフショア活用の拡大や、さらに、受注前のリスク分析、プロジェクト・マネジメント教育の徹底などにも取り組み、コスト競争力の強化を進めていきます。
キャッシュ・フローについては、運転資金の効率化を追求するため、全社を挙げてキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)圧縮活動に取り組みました。入金管理や債権管理の徹底、事業形態に合わせた支払条件の最適化などの改善活動を進めた結果、当年度のフリー・キャッシュ・フローは、玉川ルネッサンスシティ内の土地建物に設定された信託受益権の取得のために約600億円の支出があったものの、合計では552億円の収入と前年度に比べて改善しました。
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