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“真のモダナイゼーション”

レガシー×経済安全保障の壁を越える
NEC×IFSによるAIネイティブ時代の基幹産業DX戦略

  • 著作・制作日本経済新聞社 (2026年日経電子版広告特集)。コンテンツの一部を変更して記載しています。記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。

日本の基幹産業が長年抱えてきた、レガシーシステム。経済安全保障への対応も迫られる中、DX(デジタルトランスフォーメーション)の“次の一手”を打てずにいる企業は少なくない。製造業や社会インフラ産業では、DXの必要性を理解しながらも「止められない」「守らなければならない」現実が変革の足かせになっている。

NECはこの状況を打開するため、グローバルで産業特化型アプリケーションやAI(人工知能)を提供し、30年来のパートナーでもあるスウェーデンのIFS AB(以下、IFS)との協業をさらに深化。経済安全保障に対応したセキュリティと運用体制を備える国内クラウド環境のもと、基幹業務アプリケーションのモダナイゼーションと産業用AI活用を同時に推進する「真のモダナイゼーション」を提供する。単なるクラウド移行にとどまらず、基幹業務そのものを変革し、競争力と収益力の向上を狙う。

協業の全貌と日本企業にもたらす価値を、NEC 執行役 Corporate SEVP 兼 CDOの吉崎敏文に話を聞いた。

日本市場に向けて3つの協業を推進

——IFSとの協業を強化する背景を教えてください。

製造、エネルギー、航空、交通、公共インフラといった、日本の基幹産業は今、2つの大きな課題に直面しています。1つは、長年スクラッチ開発でつくり込んできた基幹システムの老朽化と、それを支える技術者の不足です。もう1つは、経済安全保障やサイバーセキュリティへの対応です。特に重要インフラを担う企業にとって、データ主権やガバナンスの確保は、事業継続の生命線といえます。

多くの企業がDXを掲げクラウド化を進めていますが、その実態は既存システムをインフラ(IaaS)に乗せ換える「リフト」にとどまるケースが少なくありません。アプリケーションそのものが変わらないため、業務プロセスは旧態依然のままです。さらに、セキュリティへの懸念から「重要データをクラウドにあずけること」に躊躇(ちゅうちょ)し、結果として、AI活用の前提となるデータの集約・利活用が遅々として進まない。これが、日本の基幹産業におけるDX停滞の構造的な要因だと考えています。

こうした構造的課題に加え、経営の現場には喫緊の課題が山積しています。需要変動や調達制約に耐えるサプライチェーン管理(SCM)、老朽化設備の安定稼働と安全を支える設備資産管理(EAM)、更新投資の優先順位を科学的に判断する設備投資計画(AIP)、そして現場要員不足の中でも対応品質を維持するフィールドサービス管理(FSM)です。これらは、製造業・社会インフラの「止められない現場」を支える中核であり、個別最適ではなく、基幹業務とITシステムを一体で捉えた一気通貫の刷新が強く求められています。

この状況を打開するには、クラウド化とアプリケーションのモダナイゼーションを同時に進めるとともに、経済安全保障の要請に応える高い信頼性を備えた環境が不可欠です。そこで私たちは、30年来のパートナーであり、これらの領域でグローバルに豊富な実績を持つIFSとの協業を強化し、お客様が直面する課題を根本から解決する「真のモダナイゼーション」を提供することにしました。

——協業の具体的な内容について教えてください。

私たちの取り組みは、3つの柱で構成されています。

第1に、「セキュアな国内クラウド環境」の共同構築と提供です。経済安全保障を見据え、国内のデータセンターでマネージドサービス「IFS Cloud Kaname」を展開します。これにより、お客様はデータ主権やガバナンスへの懸念から解放され、SCMやEAMといった基幹業務のデータを、安心してクラウド上で活用できるようになります。

第2に、NEC自身が「クライアントゼロ」、つまり最初のユーザーとして変革を実践することです。自社の業務にIFSのアプリケーションを先行導入し、そこで得た知見やノウハウをテンプレート化してお客様に提供します。特にSCMやEAMのように業務影響が大きい領域でも、私たちの実践が、お客様の導入リスク低減と立ち上げ期間の短縮を力強く支援します。

そして第3に、「産業用AIサービス」の共同開発です。IFSのアプリケーションとNECの先端AI技術を組み合わせ、例えば、NECの自動交渉AIを用いて需要変動に応じた価格や納期の交渉によるサプライチェーン計画(SCP)の最適化や、設備の故障予兆に基づく保全計画の自動立案など、より高度な意思決定を支援します。これは単なる効率化ではなく、お客様の競争力そのものを高める取り組みです。

これら3つを一体で提供することで、私たちはアプリケーションの刷新と、AI活用を支えるデータ基盤の構築を同時に実現し、日本の基幹産業の変革を加速させていきます。

産業用AIを活用して高付加価値を実現

——今回IFSのパートナーとしてNECが選ばれた理由はどこにあるのでしょうか。

NEC 執行役 Corporate SEVP 兼 CDO 吉崎 敏文
NEC 執行役 Corporate SEVP 兼 CDO 吉崎 敏文

1つは長年にわたる協業の実績です。両社の協業は30年もの歴史を持ち、日本国内で200社を超える導入実績があり、国内の顧客基盤を構築しながら業種に特化したナレッジを蓄積してきました。

もう1つがセキュリティです。当社は社会インフラ分野のシステムにおいて、長年にわたり高度なセキュリティ運用を担ってきました。国内に設置したデータセンターを、国内法令・ガバナンス要件に準拠した運用体制を取ることでデータ主権の確保に貢献し、今後の法改正も見据えた経済安全保障推進法の高い要求にも対応することが可能です。

さらに、クライアントゼロとしての取り組みです。NEC自身がIFSを自社の業務に先行導入し、サプライチェーン管理や設備資産管理などで活用してきました。そこで得られた知見を顧客向けサービスに反映するとともに、自社開発のエージェントAIを組み込んでいきます。

——産業用AIにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

IFSの産業用AIは特定の産業分野に特化して設計されており、現実の業務に適しています。製造、航空宇宙、防衛、エネルギー、公共インフラ、建設、電気通信など200を超える具体的なユースケースが提供されています。ERPや資産管理、設備保守管理といった既存のアプリケーションに組み込まれています。

また、特定のAIモデルやフレームワークに依存しないオープンなプラットフォームである点も特長です。お客様の業務データや業務システムと連携することで、より実用的な洞察と自動化を実現し、業務プロセスの最適化、生産性の向上、コスト削減といった具体的な高い付加価値を提供することができます。

新たな収益源を生み出す企業変革を支援

——NECとして今後どんなアプローチで日本企業に新たな価値を提供していくのでしょうか。

「真のモダナイゼーション」とは、単に既存のアプリケーションをクラウドという新たなプラットフォームに移行することではありません。日本の資本集約型産業における基幹業務プロセスのモダナイゼーションとDXを推進し、これまでとは違うレベルの生産性を実現する業務改革であり、新たな価値を生み出すサービタイゼーションでもあります。

今回のIFSとの協業による日本の基幹産業向けのサービスの強化は、当社の強みであるコンサルティング、技術アセット、運用を活用して、お客様のビジネスを変革する価値創造モデルである「BluStellar」の一環です。

NEC 執行役 Corporate SEVP 兼 CDO 吉崎 敏文

BluStellarでは業種共通、業種別それぞれに対してシナリオ化してソリューションを提供していきますが、今回の協業は製造業向けの「サプライチェーン強靭化による変動対応力強化」という業種別シナリオの第1弾として位置付けています。

今後もお客様や市場の動向を見極めながら、優先度の高い経営アジェンダに応じてBluStellarのシナリオを強化していきます。そこから生まれた日本発のソリューションについては、グローバル展開を進めるとともに、BluStellarを通じて多様な価値提供を継続していく考えです。

IFSとNECの経営陣による記者説明会を開催

2026年1月16日にNEC本社において、IFSとNECによる記者説明会が開催され、IFSのCEOのマーク・モファット氏とNECの代表取締役社長 兼 CEOの森田隆之をはじめとして両社の事業責任者たちが一堂に会した。

冒頭、IFSジャパン代表取締役社長の大熊裕幸氏とNEC 執行役 Corporate SEVP 兼 CDOの吉崎敏文から、今回のパートナーシップの強化の狙いと概要、経済安全保障に対応した日本市場向けクラウドサービス「IFS Cloud Kaname」と産業用AIのメリットが説明され、日本の競争力の強化に貢献できることが強調された。

1月16日の記者会見(左から河合哲也、吉崎敏文、マイケル・オイッシ氏、大熊裕幸氏)
1月16日の記者会見(左から河合哲也、吉崎敏文、マイケル・オイッシ氏、大熊裕幸氏)

トップ同士がパートナーシップ宣言書に調印

続いて森田は「日本の基幹産業のモダナイゼーションは世界に比べて遅れていると言われています。重要インフラについて今まで安心感を得られなかったことがその要因です。そこをNECがサポートすることで、安心してセキュリティを確保しながらクラウド環境にシフトできるようにしていきます」と決意を語った。

また、モファット氏は「NECがこれまで培ってきた日本での顧客基盤を生かして、産業用AIの能力をクリティカルなお客様の環境に導入することで、新しい成長戦略につなげることができます」と可能性の広がりを強調した。その後、メディアからの質疑応答を経て、両氏によるパートナーシップ宣言書への調印式が行われた。

記者会見での調印式(左から森田隆之、マーク・モファット氏)
記者会見での調印式(左から森田隆之、マーク・モファット氏)
BluStellarのロゴ