Japan
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沖電気工業株式会社様
プロセスを標準化し、需要変動対応力を強化
国内主力工場の「One Factory」化を推進
- 業種:
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- 製造・プロセス
- 業務:
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- 設計・開発・製造
- 製品:
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- ソフトウェア/情報管理
- ソリューション・サービス:
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- 共通業務/ERP
- 共通業務/SCM
- 共通業務/その他
事例の概要
課題背景
- 人、設備、資材などの生産リソースの現状把握が困難だった
- 生産を支えるシステムや業務プロセスが工場によってバラバラだったため工場間の相互補完が困難だった
- DX戦略の一環として、ものづくり基盤の強化を継続的に推進したい
成果
各工場のMESを統合
「IFS Applications for MES」を導入し、各工場のMESを共通化。各工場の最新の生産リソースを可視化できるようになった
業務プロセスの約7割を標準化
工場ごとに異なっていた業務プロセスの標準化が進んだ上、共通化されたMESによる生産リソースの可視化及び生産業務適用によって工場間の相互補完が可能になり、需要変動への対応力が高まった
MESの内製保守を実現
自社リソースでMESの運用・保守、周辺アプリの開発・保守ができる体制を実現。環境変化に伴うシステム改修も機敏な対応が可能になった
導入ソリューション
工場ごとに運用していたMESをIFS Applications for MESに刷新し、工程管理を国内主力工場で統一。業務プロセスの標準化が進み、各工場の生産リソースも可視化できるため、工場間で人や資材の相互補完が可能になる
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事例の詳細
導入前の背景や課題
工場ごとに文化やプロセスが異なり、生産リソースが個別最適化
1881年の創業以来、ミッションクリティカルな社会インフラを支える製品・サービスを提供し続ける沖電気工業様(以下、OKI)。日本初の電話機製造に挑んだ「進取の精神」は「社会の大丈夫をつくっていく。」というキーメッセージに受け継がれ、「安心・便利な社会インフラ」「働きがいと生産性向上」「地球環境の保全」の3つの貢献分野で社会課題の解決につながる価値の提供に取り組んでいます。
これらの実現に向けて、持続的な成長を図るには、環境変化への対応力強化が重要です。そこで、2023年5月に発表した「中期経営計画2025」では、グローバル視点で技術や製品のR&D活動を活性化させることを明示。このビジョンに沿って、将来事業の創出に向けた価値創造戦略「DX戦略2025」も8月に策定しました。
DX戦略の柱の1つが「ものづくり基盤強化」です。これは、ものづくりDXを推進して社内革新を起こし、創造性と生産性を高める取り組みです。この実現には、ものづくりの拠点となる工場の変革が欠かせません。OKIグループはさまざまな形態の工場を国内外に有し、各工場には長年培った文化、システムやプロセスがあります。
「工場単体で見れば、生産や業務プロセスは最適化されているのですが、互いの連携・協力が難しい。グループ全体で見ると、人、設備、資材などの生産リソースを十分に活用できていませんでした」とOKIの小林 敬之氏は打ち明けます。
課題解決のため立ち上げたのが、複数工場の生産リソースや生産状況を1つの工場として可視化し、需要変動への対応力を強化する「バーチャル One Factory」です。「複数工場の生産リソースやその状況を可視化し、1つの工場として扱えるようにする。これによってEMS(製造受託)/DMS(設計受託)体制を強化するとともに、技術・プロセス・ノウハウを外部化し、お客様の製造部門におけるDXを支援する『製造プラットフォーマー』を目指します」と小林氏は語ります。
選択のポイント
提案力と内製保守の定着まで支援するサポート力を評価
バーチャル One Factoryの実現には、各工場で異なる生産業務プロセスの標準化、生産リソースの可視化が必要です。「これが実現すれば、稼働状況に応じて、工場間で生産リソースを補完し合えます。標準化された業務プロセスにより、応援要員として他工場に派遣されても、戸惑うことなく業務に従事できるでしょう」とOKIの荒井 康伸氏は期待を寄せます。
特に重視したのが、業務の標準化です。「工場の業務プロセスを合わせ込む活動を実施し、その結果をシステムに反映させることにしました。同じような業務でも、より良いやり方があれば、どんどん取り入れていく。“いいとこ取り”で全体のレベルアップを図るのが狙いです」とOKIの成瀬 崇氏は説明します。
業務プロセスとシステムの統合に加え、プロジェクトにはもう1つ大きな狙いがあります。それが「内製保守」の実現です。「システムを自分たちが保守することで、安定性が向上し、環境変化にも柔軟に対応できます」と小林氏は狙いを語ります。
プロジェクトを共に歩むパートナーとして、OKIはNECを選定しました。
NECの提案は、MES(製造実行システム)機能を持つ製造業向けERP「IFS Applications」に独自のテンプレートなどのNECノウハウを盛り込んだソリューション「IFS Applications for MES」を活用したもの。「業務遂行上の機能要件に対するRFI(情報提供依頼書)ベースの網羅率は79%。網羅性が非常に高く、機能面では問題なく使えます。ANSI/ISA95などの標準規格を取り入れている上、業務環境の変化に対し内製アドオンなども可能です」と小林氏は評価します。
同じものづくり企業が提供する製品という安心感に加え、NECの自社導入を含めた豊富な実績も決め手になりました。「この強みを活かし、パッケージ利用技術に関する広範なスキルトランスファー、アプリ開発・保守ノウハウ、内製保守体制の立ち上げまで一貫したサポートが期待できます」と小林氏は続けます。
こうしてプロジェクトはETCや通信機器の製造、EMS/DMSを担う本庄工場、航空管制システムなどを製造する沼津工場、ATMなどを製造する富岡工場の国内主力3工場でスタートしました。
導入後の成果
MESを統合し生産リソースを可視化 業務プロセスも約7割を標準化
NECはOKIの社内IT体制を補い、プロジェクトに伴走しました。「例えば、マスタデータ移行の際、許容時間に納まらない情報種に対して粘り強くチューニングを施し、性能を大きく改善してくれました。要望や問い合わせに対するレスポンスが早く、技術力も高い」と成瀬氏は語ります。
IFS Applications for MESは、まず本庄工場で2022年1月に全面運用を開始。2023年1月には沼津工場でも全面運用を開始しました。これにより、工場個別に運用していたMESを統合し、各工場の生産リソースの可視化を実現。人、設備、資材などの最新状況を同じ“鮮度”と“粒度”で把握できるようになりました。
同様のオペレーションを集約することで、業務プロセスの標準化・均質化も進みました。「生産管理プロセスの64%、工程管理プロセスの76%を共通化しました」(小林氏)。内部統制リスクの最小化や業務効率化の期待が高まっています。
「工場間で生産リソースを融通し、相互補完生産する下地が整いつつあります。短納期や大規模案件の受注といった需要変動に対応できるほか、災害によって工場が被災した場合の代替生産も可能になります」と荒井氏は期待します。
工場での業務整理に向けた対話を通じ、横のつながりが増えたことも大きな成果です。これにより、業務運用を担うコアメンバーのスキル定着が進みました。NECによる内製保守サポートは既に手離れした状態となっており、内製保守の自走化が動き出しています。
バーチャル One Factoryを目指すプロジェクトは現在も進行中です。最後の工場となる富岡工場の2024年5月の全面運用に向け、展開を進めています。
今後は内製保守の強みを活かし、生産活動データと、生産設備やモバイル端末、IoT機器との連携による新たな価値創出を目指していきます。OKIグループは今後もバーチャル One Factoryによるものづくり基盤強化を推進し、社会課題の解決と持続可能な社会の実現に貢献していく構えです。
NEC担当スタッフの声
工場の“あるべき姿”の実現をフルサポート
バーチャル One Factoryの実現には、既存の業務とシステムの変革が必要ですが、モデルとなる工場があるわけではありません。いわば、新しくバーチャルな工場をつくるようなもの。OKI様が目指すコンセプトを深く理解することが求められます。
NECはIFS Applications for MESの自社導入によって、工場業務とシステムを変革した経験があります。これも含めた豊富な導入実績で培ったナレッジと経験を活かし、バーチャル One Factoryを支える工場の“あるべき姿”を提案しました。
内製保守も目指されていたため、製品の導入だけでなく、インフラの構築、運用スキルの定着まで見据えたサポート体制を整えました。プロジェクトメンバーには、現場での経験豊富なエンジニアをアサインしました。工場の現場を熟知したエンジニアがサポートしたことで、導入とスキルトランスファーがスムーズに進みました。
今回のプロジェクトはNECにとって貴重な経験で、新たなノウハウを蓄積することができました。これを強みに変え、引き続き、OKI様の取り組みをサポートしていくとともに、ものづくりの基盤強化やものづくりDXを目指すお客様の挑戦を幅広く支援していきます。
お客様プロフィール
沖電気工業株式会社
所在地 | 東京都港区虎ノ門1-7-12 |
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創業 | 1881年1月 |
資本金 | 440億円 |
売上高 | 連結 3,691億円(2023年3月期) |
従業員数 | 単独 4,740名 連結 1万4,452名(2023年3月31日現在) |
事業内容 | 創業時から続く電話機事業をはじめ、情報端末やATM、プリンターなど長年のものづくりで培った高い技術力が強み。「中期経営計画2025」に基づき、「安心・便利な社会インフラの提供」「働きがいと生産性向上」「地球環境の保全」の3つの貢献分野で、将来事業の創出と社会課題の解決に取り組む。 |
URL | https://www.oki.com/jp/ |
この事例の製品・ソリューション
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(2023年10月30日)