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Tech Report
NECの品質マネジメントを
継承、アップデートして
顧客を事業成功に導く
NEC金融部門のエンジニア


NEC金融ソリューション事業部門(以下、NEC金融部門)は、社会インフラの根幹を担う金融システムにおいて、高い品質の提供にこだわり続けています。本インタビューでは、現場目線で品質マネジメントを適用する際の課題や創意工夫について金融システム統括部のエンジニアのみなさんにお伺いしました。
また、NEC金融部門という組織として品質文化をどのように醸成していくか、またその組織に所属するなかで自身がどのように成長できたかについて、お話しいただきました。
Interview Member

氏名:谷本 雅春
所属:金融システム統括部
役職:エグゼクティブマネージャ
2001年NEC入社。金融機関向けシステムのベースとなるインフラ・共通機能の開発を経験。その後大型インフラ案件のプロジェクトマネジメントを複数担当。現在は組織マネジメントに従事。

氏名:雨宮 寛敏
所属:金融システム統括部
役職:プロフェッショナル
2012年NEC入社。金融機関の営業店システム・事務システムの業務アプリケーション開発を経験。直近は、決済サービスを支えるシステム開発に従事。

氏名:林 佳範
所属:金融システム統括部
役職:主任
2014年NEC入社。ネットワークやシステム全体の仮想化プロジェクトを経験。現在はネットワークとセキュリティを中心としたモダナイゼーション案件、事業部内の横連携、アーキテクチャ審査委員などを担当。

氏名:鈴木 汐梨
所属:金融システム統括部
役職:担当
2022年NEC入社。金融機関向け業務アプリケーション開発を経験。現在は、金融機関の行内システム構築プロジェクトにおいて、小規模チームリーダーとして進捗管理やプロジェクト推進を担当。
メンバー一人ひとりが品質に対するマインドを持っている
「NECの品質マネジメント」として大切にしている考え方はどのようなものでしょうか。
谷本
NEC金融部門では、お客様に提供するサービスの品質を高め、マネジメントしていくために、次の3つを大切にしています。1つ目は、「組織として品質を確保する仕組み」です。これにはプロセスやルール、施策などが含まれます。2つ目は、その仕組みを「継続的に改善すること」です。技術は進化し、メンバーも経験を積んでノウハウを蓄積します。これを品質確保の仕組みに反映させ、改善していくことが大切です。そして3つ目は、それを実現する「人の成長と文化の継承」です。
金融システム統括部では、一人ひとりが品質に対する高いマインドを持っています。こうしたマインドをさらに醸成するため、教育や品質への取り組みが評価される場を設け、品質を文化として根付かせることを大事にしています。

品質を意識するようになった具体的なきっかけについてお聞かせください。
林
一般的な話として、金融系のシステムにトラブルがあるとメディアのトップニュースや新聞に大きく掲載されます。そのたびに、自分ごととしてどうすべきかを考えるきっかけになっています。実体験の話としては、ある案件でサービス開始直前に見つかりにくいバグが発覚した際に、品質の捉え方が変わるようなことがありました。サービスインが迫るなかでかなり慌てながらの対応をしたのですが、同時に「このバグがお客様の業務にどれだけのインパクトを与えるか」を意識する大きなきっかけになりました。テスト結果としての数値上のバグ発見数だけでなく、お客様や利用者がどのようにそのシステムを使い、重要視される要素が何かを踏まえたシステム開発こそが品質管理にとって最も重要なポイントだと考えるようになりました。
品質マネジメントを現場で適用する上で直面した課題とその解決方法
実際に品質をマネジメントする上で直面した課題と、その課題をどのように解決したかについて、お話しいただけますか。
鈴木
私は現在、結合テストの推進リーダとしてテスト要員のタスクやスケジュール管理をしています。テストを進めて発見したバグは、表にまとめていくのですが、他の機能に横展開して確認が必要かどうか見極めることや、確認作業にどれだけの時間を割り当てるかというバランスに苦労しました。
そのような課題に対しては、Redmineというプロジェクト管理ツールを使ってバグ表をフォーマット化し、障害区分を分類することで、大量のバグのなかでも一目で内容を把握し、検索できるように工夫しました。その結果、横展開すべきバグや、注力して対応すべきバグと軽微なバグを見極められるようになり、また類似のバグの早期発見や、対応の優先順位判断が可能になりました。
品質マネジメントの仕組みを現場に合わせた形で運用することで、単なる品質向上だけでなく、スケジュール遅延リスクの低減やプロジェクト全体の安定化といった大きな価値につながることを実感しました。この経験で得られた再発防止策やテスト観点は、同じ部署内の他のプロジェクトでも展開・活用できる形にしていきたいと考えています。
谷本
良い取り組みですね。品質文化の世代継承も重要です。鈴木さんのような若手メンバーにも品質審査の場に出てもらい、「マネジメント層はこういう観点を気にするのか」といった気づきを得たり、視野を広げてもらいたいと思います。このように若手に経験を積む場を与えることで、NECの「品質の文化」を次の世代に継承していくことも重要だと考えています。
雨宮
メンバー全員の意識を高めることは、NECの品質マネジメントにおいて重要なポイントです。プロジェクトには様々な立場のメンバーがいますが、メンバー間の目的意識や、どこをゴールとするかという意識のギャップに課題を感じることがありました。
プロジェクトリーダーである私は、お客様に高品質なシステムを届けることをゴールとしますが、中には目の前のテストをこなすことに終始してしまうメンバーもいて、最終的な品質目標が共有されていないことがありました。そうなると、どんなにルールや仕組みを整えても、適切に運用がまわらず、プロジェクト全体の品質向上に繋がらないことがあります。
この課題に対する解決策としては、お客様とのコミュニケーションの場にメンバーの同席や、お客様の要望のメンバーへの正確な展開などの地道な活動を行っています。メンバーの意識を高めるとともに、品質活動を前向きな取り組みとして捉えられるよう、プロセスやルールを改善しました。「利用者にとって価値のあるシステムを作ろう」という共通のゴールを全員が腹落ちして進めることが大切です。
林
最近は、複数のベンダーが協力して1つのシステムを作り上げる「マルチベンダー」の案件が増えています。また、AWSやAzureなどの外部サービスが増え、中身がブラックボックスになっている部分も多いです。ベンダーを跨ぐことによる抜け漏れ回避、中身がわからないなかでどのように品質を確保するか、が大きな課題と感じています。技術だけでなくコミュニケーションが不十分のまま進めてしまい、思わぬ落とし穴にはまることがないようマネジメントしていくことが重要です。
私自身、解決策として主に3つを意識しています。1つ目は、リスクをコントロールすることです。新しい技術や複数のベンダーが関わる部分を漏れなくリスクとして洗い出し管理し、いつ解消できるかを明確にしてお客様と共有します。2つ目は、ノウハウ・教訓の蓄積と共有です。金融部門内では毎年品質表彰で表彰された案件の事例共有をしたり、社内のコミュニティでナレッジを展開したりしています。3つ目は、高い技術力を持つメンバーやパートナーと相互に助け合い、高め合う関係を築くことです。NECのメンバーだけでなく、パートナーとも協力することが品質向上には不可欠です。NECグループ内には経験や知識が豊富な人材が多く、気軽に質問できる環境があります。Teamsのグループで、誰かが困ってチャットを投げると、誰かしらが必ず回答を返す文化があるため、新しく入った方でも困ったときに気軽に聞ける雰囲気があると考えています。
谷本
さまざまなステークホルダーが関わるプロジェクトについては、チーム間で役割をオーバーラップさせて、システム全体の視点を広げることで品質が確保されると感じています。NEC内では、チームをまたぐ横断チームを作り、縦と横の組み合わせで品質を確保する動きもしています。

品質マネジメントの取り組みで得た「やりがい」や「成果」
「品質マネジメント」を現場で取り組むことで感じたやりがいや、良かったことは何でしょうか。
鈴木
以前、プロジェクトで大幅な遅延が発生した際、バグ票をフォーマット化し、検索の仕組みを取り入れたことで、遅延を解消することができました。これは私自身、工夫したことが形になり、やりがいを感じましたし、プロジェクト全体の安定化にもつながったので、本当にやって良かったと思っています。
雨宮
NECのシステムをはじめて導入いただいたお客様の案件を担当したときのことです。非常に高品質なシステムを提供することができ、稼働後も不具合なく動いています。お客様の上層部からも感謝の言葉をいただき、NECの品質を示せたことに大きなやりがいを感じました。品質は高くて当たり前、何か問題があると減点方式で評価されることが多いのですが、お客様に喜んでもらえると、前向きに取り組んで良かったという気持ちになります。また、NECとして品質の良いシステムを納められたことが、同じお客様の別の案件を受注する後押しにもなりました。
林
私も、お客様からの満足の声が一番嬉しいです。私が担当したネットワークとセキュリティの案件で、移行後に「通信が途切れなくなった」「Web会議の音質が良くなった」といったエンドユーザーの声が聞けたときは、本当にやって良かったと思いました。また、お客様側の情報システム担当者の方からも「この規模の案件をノートラブルでできるなんて思っていませんでした」と言っていただけたことも印象深いです。情報システム担当者のお客様はシステム開発を一体となって進めていく関係であり、長い移行期間を会社を跨いだ協力関係のなかで乗り越えられたことは、大変良い経験でした。
谷本
システムを利用するお客様から「良くなったね」の一言をいただけるのは、エンジニアにとっての大きな喜びです。また、大規模な開発が無事に動き始めたときには、まずホッとします。以前、マルチベンダーで取り組んだプロジェクトをやり遂げたとき、お客様も競合のベンダーも関係なく、拍手して喜びを分かち合ったことは良い経験となりました。

NECの品質文化を根付かせる組織としての取り組み
現場にNECの品質文化を根付かせるために、組織として行っている工夫や取り組みはどんなことでしょう。
雨宮
私が所属するグループでは、品質に関する事例紹介や、プロジェクトを横断した活動に取り組んでいます。同じグループ内でもお客様やシステムが多岐にわたり、それぞれが異なる品質活動をしているため、良い事例を共有して、それぞれが自分のプロジェクトに取り入れるようにしています。これらの活動により、品質管理の高度化や、メンバーの品質に対する意識向上を図っています。
林
品質に関する審査ゲートを設けることで、提案から設計まで一貫して高い品質を維持できるようにしています。また、品質表彰という、各プロジェクトの成果を発表し、表彰される場があります。案件の規模や受注金額に関係なく、品質というテーマに絞って評価される点が特徴です。また、この品質表彰はNECだけでなく、一緒にプロジェクトを推進するパートナーやグループ会社の方々も表彰者に選出されるため、関係者全員に感謝の意を伝えつつ、品質意識の醸成が進むような機会になっています。
谷本
組織としての工夫は、「育成」「日々の改善」「意識の醸成・場作り」の観点があると思います。「育成」では、「なぜなぜ分析」のような品質分析で活用するスキルを、多くのメンバーが学んでいます。「日々の改善」では、各種審査ゲートにおいて、蓄積した経験・ノウハウやキャッチアップした技術動向を反映させることで、高い意識を保つようにしています。「意識の醸成・場作り」では、品質表彰や事例共有会、勉強会を通して個人の意識を高めています。また、品質の考え・取り組み・拘りを継承するために、若手のときから、品質審査に参加するなど、少し高い視点から品質を見る経験をしてもらいます。
また、今後の取り組みの一例としては、プログラムを作る際のソースコードをチェックするツールを開発プロセスに組み込み、ソース作成後の品質チェックを自動化・常態化させるように進めています。生成AIの登場もあり、プログラムの作成スピードが格段に上げる時代になったとき、それをチェックする人の負担が増えることが予想されるので、この点でもチェックツールの活用は見込まれると考えています。
品質マネジメントにこだわるNEC金融部門からのメッセージ
NECの品質マネジメントへのこだわりや貢献したいことについて、お客様へのメッセージをお願いします。
雨宮
我々の仕事は、最終的にお客様の業務やシステムを通じて、金融という社会インフラを構築することにつながっています。プロセスや意識、文化を醸成して作り上げてきたNECの品質は、この社会インフラを支えていくことに貢献できると信じています。その視点を絶対にぶらさずに取り組んでいきたいです。
谷本
金融機関のお客様は社会インフラの根幹を担っているため、我々も高品質で貢献したいと強く思っています。金融システム統括部のメンバーは、一人ひとりが品質にこだわりを持って取り組んでいます。この姿勢を今後も大事にしていきたいです。
NECの品質マネジメントを実践することでご自身がどのように成長できたか、また、NEC金融の誇れる面について、これからNECで働こうと考える人へのメッセージをお願いします。
林
NECの金融部門は品質を重視する文化があり、個々の得意分野は違っても、同じ方向を向いて仕事ができている点が魅力的なポイントではないかと感じます。集団競技の部活やサークルなどでも同じかと思いますが、メンバーが同じ目標に向かって仕事をするなかで生まれるエネルギーは、とても心地よいものです。また、若手のうちから重要なシステムの移行プロジェクトなどを任せてもらえることもあり、成長の機会が多いです。もちろん、フォロー体制も整っているので、チャレンジしつつも失敗を恐れずに取り組める環境だと思います。
鈴木
私は社会人4年目ですが、最も成長したと感じるのは、課題の本質を見極めて、着実に改善に導く力です。金融システム統括部は、品質に高い意識を持った組織であり、チーム全体で継続的な活動に取り組んでいます。お客様に信頼される品質を提供する仕組みと文化があるため、社会に貢献する責任感と、視野の広さを身につけられました。
NEC金融部門のプロフェッショナルなメンバーに日々、良い刺激を受けています。自分も下の世代に良い刺激を与えられるような存在になりたいです。

自分も後輩にとって良い刺激になるような存在でありたいと話す鈴木さん
(本記事は2025年10月時点の内容です)
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