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Tech Report
「NECの総合力」が成せる業
金融機関の課題解決を牽引する
大規模アプリケーション開発の舞台裏

NEC金融ソリューション事業部門(以下、NEC金融部門)は、お客様である金融機関の課題解決のために、大規模なアプリケーション開発に取り組み続けています。今回はアプリケーション開発に取り組むやりがいや自身の成長について、金融システム統括部のエンジニアのみなさんに現場目線でお話しいただきました。
Interview Member

氏名:杉山 玄一
所属:金融システム統括部
役職:エグゼクティブマネージャ
2001年NEC入社。金融機関向けの業務アプリケーション開発に従事し、同分野の案件を10年以上担当。大規模案件のプロジェクトマネージャーからアプリケーションフレームワーク構築まで幅広く経験し、現在は組織マネジメントを担う。

氏名:福田 任宏
所属:金融システム統括部
役職:エグゼクティブマネージャ
2001年NEC入社。金融機関向けの業務アプリケーション開発に従事し、経営統合に伴う新システムの開発や大規模アプリケーション移行プロジェクトでプロジェクトリーダーを経験。現在は組織マネジメントを担う。

氏名:中溝 孝太
所属:金融システム統括部
役職:ディレクター
2005年NEC入社。金融機関の個人領域および法人領域におけるアプリケーション開発・保守を経験。現在は個人領域の複数プロジェクトのマネジメントに従事。

氏名:大崎 一平
所属:金融システム統括部
役職:プロフェッショナル
2009年NEC入社。金融機関向けのシステムエンジニアとして、15年以上にわたりシステムの企画・開発を経験。現在は基幹システムの開発・保守と、モダナイゼーション検討支援を担う。
高い品質が求められる現場で大切にしたいこと
金融システムにおける「アプリケーション開発」とはどのような業務なのでしょうか。
杉山
一般的な流れをお話しします。「アプリケーション開発」は、お客様の業務の効率化・合理化などを目的としたソフトウェアを開発する仕事です。
まず、お客様の課題やニーズを把握し、開発の目的や必要な機能を整理する「要件定義」から始まり、それを基に画面などアプリケーション全体の「設計」を行います。設計が完了すると、「プログラミング」に入ります。そしてプログラムを実装し、設計通りに動作するかを確認するために「テスト」を行います。テストに問題がなければ、「リリース」し、お客様のもとにアプリケーションを届けます。リリース後も継続的な改善が必要で、「保守・運用」も担当します。
NEC金融部門として、アプリケーション開発において大切にしている基本的な考え方や価値観を教えてください。
杉山
まずは「品質ファースト」です。金融機関のお客様の求める品質は高く、組織として品質を確保する仕組みが必要です。さらに「見える化」も大切です。ソフトウェア開発は建築物と異なり、できあがりまで目視が難しいため、進捗や品質の状況を適切な物差しでしっかりと「見える化」しなくてはなりません。
また、私は「三現主義(現場、現物、現実)」も重視しています。役職が上がると現場から離れがちになりますが、真の状況は現場にあります。現場に足を運び、設計書などの現物を確認し、メンバーとの会話を通じて現実を知るように工夫しています。
福田
近年、お客様は「セキュリティ」を強く意識されています。お客様が安全・安心にシステムを利用できるよう、開発前の設計段階からセキュリティをしっかりと組み込むことを意識してプロジェクトを進めています。
また、私はプロジェクトメンバーが前向きになって一歩踏み込めるような環境づくりを心がけています。そのためQCD(品質、費用、納期)のバランスに加えて、モチベーションやコンプライアンス意識などの「士気や倫理観」、物理的および心理的な「安全性」、衛生環境やファシリティ面を含めた「環境整備」に留意しています。

「品質ファースト」と「見える化」の大切さを話す杉山さん
現場に受け継がれる「NECの文化」
現場ならではの「やりがい」を感じる瞬間はどんな時ですか?
大崎
お客様の業務改革や課題解決に貢献できたと感じたときに得られる達成感がやりがいに繋がります。過去にプロジェクトが難航し、終わりが見えない状況が続きました。しかし多くの関係者の多様な要求を聞きながら、工夫を重ねて新たなシステムが完成し、お客様から「業務貢献につながった」という言葉をいただけたとき、全ての努力が報われたと感じました。
中溝
自身が中心となって提案からリリースまでのPJ開発計画を立案し、その計画通りに完遂できた時です。とくに想定外のトラブルを解決し、計画内に収められた時には、大きな達成感を得られました。過去のプロジェクトで、他ベンダーが導入していた営業店端末を刷新する案件がありました。私はPM(プロジェクトマネージャ)として企画段階からリリースまで対応したのですが、その経験が自分自身の成長とやりがいにつながったと感じています。
福田
「お客様の業務や社会の動きを止めないために品質をしっかりと確保しなければならない」という「NECの文化」を肌で感じた時です。あるお客様でシステム障害が発生した際のことでした。その障害は再現性が極めて低く、分析は非常に難航しましたが、NECの製品を担当している部門や関連ベンダー、パートナー企業と連携し、実機を使った再現試験と想定原因の仮説検証を何度も繰り返しました。その結果、まさに総掛かりで原因を突き止めることができ 、お客様から感謝の言葉をいただきました。
杉山
お客様からNECと「また一緒にやりたい」「さすがNECだね」と言われることが最高の評価であり、やりがいです。今福田さんが話したことにつながりますが、われわれNECがお客様から評価をいただける大きなポイントの一つは「NECの総合力」だと考えています。

トラブルを防止する実践的な課題解決の手法
大規模な金融システムのアプリケーション開発に携わる中で、「難しさを感じる場面」とその解決のための工夫について教えてください。
大崎
大規模なアプリケーション開発において難しさを感じるのは、要件定義の段階で多様なステークホルダーが存在することです。特に保険業法など厳格な規制が適用されるため、技術要件に加え法的・運用面の要求が絡み合い、より困難さが増します。この困難を乗り越えるため、まず意思決定者を認識しておくようにしています。また、合意形成に至るプロセスや組織体制を明確にし、誰が意思決定するのかを事前にお客様と認識を合わせておきます。そして、要求事項に対し、課題の優先順位をランク付けし、限られたリソースで何を行うかをお客様と明確にしておきます。
福田
金融プロジェクトは大規模で長期にわたるものが多く、法改正や外部要因による変更要求などが発生し、計画通りに進まないことがよくあります。関係者が抱えるストレスや不安をうまくコントロールしていくことが最も難しいと思っています。
この大人数で多様な関係者をまとめ、プロジェクトを一つの目的に向かわせるための対策として、まず開発や作業のプロセスをしっかりと定義し、それに沿った枠組みとしてのルールを整備することが重要です。さらに、そのプロセスやルールが必要であることをメンバーとも認識を合わせ、しっかりと守っていくという意識の醸成がさらに重要になります。
私たちのプロジェクトでは、社員だけでなくパートナー企業も含め、月1回「品質朝礼」を開催し、発生した課題や問題を共有し、品質改善の意識を醸成しています。
杉山
大規模アプリケーション開発プロジェクトでは、新人からベテランまで、経験やスキルが異なるメンバーが集まるため、品質のばらつきが発生しがちです。そこでよく利用する機能や設計パターンを骨組みとしてあらかじめ用意したフレームワークを利用したり、ソフトウェアを部品化・共通化したり、また命名規約や設計・実装ガイドにより開発の標準化を進めることで、ばらつきを抑制するように心がけています。
他にも、新技術や新サービスなど「初モノ」には注意が必要です。動かしてみないと分からない要素が多く、終盤になってお客様との認識齟齬が生じる可能性があります。早い段階での技術検証やプロトタイプを作成して「手触り感」を持ってもらう工夫をしています。
中溝
お客様との関係構築においては、直接相対する担当者間のリレーションに加え、組織の上位層を巻き込んでおくことが開発における非常に重要なファクターです。トラブル発生時にも迅速に対応できるように、プロジェクト開始の段階で統括責任者と製品部門側の上位層も巻き込んだリレーション構築を心がけています。
先ほど「NECの総合力」という話がありました。NEC金融部門では社内リレーションをしっかりと構築していくという文化が受け継がれており、そうした土壌があるからこそ総合力を発揮できると考えています。

組織の枠を超えた若手同士の交流会を開催
アプリケーション開発のスキル向上やチーム力アップのため、組織として取り組んでいることについて教えてください。
杉山
組織全体でナレッジを共有する勉強会に力を入れていますが、勉強会での発表は基本的に若手に任せるようにしています。若手にとって案件を理解する機会となり、また、システムエンジニアとして重要な分かりやすく「伝える力」を磨く訓練にもなると考えているからです。さらに、上司が資料の指導やレビューを行うことで、上司と部下のコミュニケーションの活性化や、技術の伝承にもつながっています。
福田
お客様との「若手交流会」も行っています。NECの若手とお客様側の若手がキャリアの悩みを相談し合う交流会です。この若手交流会では両社の上位層からこれまでのキャリアを発表していただき、若手が自身の次のキャリアステップを考え、悩みや課題を共有しつつ、今後どうしたいかを話し合う場にしています。これは本人たちにとって有益であるだけでなく、次世代に向けた信頼関係の構築という意味でも手応えを感じています。
中溝
他には、生成AIの活用にも力を入れています。NECのメンバーだけでなく、実際に開発を担うパートナー企業も含めて生成AIを使ったアプリケーション開発の仕組みを構築していく必要があると考え、取り組んでいます。

最後に、学生の方やキャリア採用を検討中の方に向けたメッセージをお願いいたします。
中溝
金融領域のお客様はITリテラシーが高く、開発側に求められる能力や期待値は非常に高いものがあります。一方でNECの金融部門には、その高い期待に応えるための文化やプロセスがしっかり整っています。また、様々なプロフェッショナルやバックグラウンドを持つ人材が多数存在しております。AI、クラウド、セキュリティといったNECが強みとする先進技術を金融部門で駆使していくことで必ず成長できますので、ぜひ我々とともに挑戦しましょう。
大崎
金融システムは社会経済を支える基盤であり、多くの人が安心して利用できるサービスを作っていくには大きな責任感が伴います。しかし、その中で課題解決を達成していくことで、スキルアップし、お客様から信頼されるプロフェッショナルとしての強い誇りを持つことができます。やりがいを求める方は、仲間になっていただけると嬉しいです。

NEC金融の仕事ではプロフェッショナルとして誇りを持てると話す大崎さん
(本記事は2025年11月時点の内容です)
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