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10年の時を経てつながり始めた点と点 アフリカに貢献しながら事業を育てる喜び

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日本政府と国際連合(国連)などが共催する第9回アフリカ開発会議(TICAD 9、the 9th Tokyo International Conference on African Development)が、2025年8月20日~22日に横浜で開かれます。アフリカは2050年には世界人口の4分の1を占めるとされ、急速に成長を遂げる21世紀最大のフロンティアです。54の国々から成るアフリカは、日本にとって重要なパートナーとされています。NECは2008年からTICADに継続して参加し、テクノロジーを通じた課題解決に貢献してきました。TICAD9への取り組みとアフリカを担当する2人の社員を通して、アフリカにおけるNECの存在感とその理由、取り組みの最前線を見てみます。

国際機関との協働、持続可能な取り組みへ

NECの国際協力事業統括部でアフリカを担当している原実穂は「当時は、NECの担当者がアフリカの国々を一つ一つ地道に訪ねて生体認証技術などを一から紹介していました」と10年前を振り返ります。「現在、その時蒔いた種の一つ一つが少しずつ実を結び、繋がり始めていることを実感しています」。NECのアフリカ事業は60年以上の歴史があり、特にここ数年は国際機関との連携がその発展を支えています。NECがPurpose(存在意義)に掲げる「社会価値創造」の源流となるメッセージを公表したのは、国連がSDGs(持続可能な開発目標)を採択した2015年より早い2013年のことでした。NECの目指す方向と国際社会の目標ががっちりと重なったことで進んだNECと国際機関との連携は「日本企業の中でも先駆的」と評価されています。

NEC 国際協力事業統括部の原実穂

「NECはITの専門家です。その知見を活かしつつ、全てを自分達で行うのではなく、現地の社会課題に精通し、現地政府や市民から多大な信用を得ている国際機関などと協働することで、NECの技術を研究段階からソリューションへと育て上げ、迅速かつ的確に現地に導入することが可能になるのです」と力を込めるのは原と同じ統括部所属の北濱満里子です。

NEC 国際協力事業統括部の北濱満里子

また、NECはアフリカ支援をCSR(企業の社会的責任)ではなくCSV(共通価値の創造)と当初から位置づけ、アフリカ専任人員と活動予算を確保し、持続可能な事業として展開しています。これもまた、NECの他社に先駆けた取り組みです。「国際社会への支援は一過性ではなく、地域の自立と発展に向けた継続的な取り組みであるべきです。そのために、NECとしても持続可能な事業にすることが重要です」と原は語ります。

覚書の締結で信頼を獲得し、新たな価値創造へ

NECはTICADを通じて活動を広く世間に周知し、案件発掘を進めてきました。今年のTICAD9では、気候変動をテーマにした展示や農業ICTのセミナーなど多くの企画を進めており、準備にあたってアフリカ各国や国際機関との議論を深めています。

連携強化の一環として、NECはこれまでアフリカ政府や国際機関と両者の取り組みの方向性を合意するための覚書(MOU)をいくつも締結しています。MOUには法的拘束力はないとはいえ、お互いの活動の方向性の合意形成を行い、信頼関係の構築に寄与します。実際に、TICAD7でのルワンダICT省とのMOU締結が同国の別の省庁との案件にもつながった例もあります。ICT省とMOUを締結しているNECならICTは任せて安心だという信頼を寄せてくれたからです。一つのMOUが次なる価値提供のチャンスを作った好事例といえます。

今回のTICAD9でも、NECは複数のMOU締結を目指しています。

NECの技術を現地にあったソリューションに

NECの技術やソリューションを、現地に適した形で喜んで使ってもらえるように育て上げていくことも重要です。例えば、NEC農業ICTプラットフォーム『CropScope』を提案する際には、関連する国際機関から現場の情報を学び、実際の農家の事情に合わせたソリューションを作り上げました。圃場の状態の検知にはセンサーを不要にして手入力とするよう標準仕様から変更し、一方で農地の状態管理はデジタル化するというハイブリッド方式です。また、現地政府が農家に肥料配布する際の紙台帳による管理作業を効率化するために、『eバウチャー』と呼ばれるICカードも提案しています。

海外で2024年、CropScopeについて説明。参加者は熱心にきいていた

「もともとの標準仕様を、地域の課題を理解し、現地に適したソリューションとして育てていくことがこの仕事の喜びの一つです」と北濱は話します。原も、「NECは従来得意としていた通信事業から発展し、様々な社会課題の解決に向けて現場ニーズを拾い上げてきました。今は農業の課題解決にICTを活用することで、アフリカの発展に貢献できると考えています」と未来を見据えながら語ります。

ルワンダのコーヒー農園を視察

かつてアフリカの支援は橋や道路など重厚長大なものが中心でしたが、近年ではICTの活用に注目が集まっています。NECには伸びゆくアフリカ市場での可能性を秘めたソリューションが数多く存在しており、今まさにつながった点と点を面へと広げていく段階です。TICADの場を一つの足掛かりに、NECはアフリカとの共創の取り組みをさらに加速させていきます。

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