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男性育休100%へ上司が職場が会社が後押し
「チーム力向上」めざすNECの挑戦

働きながら子育てを充実させるために、国の制度改正が進んでいます。2025年4月には働く人の育児を支援する給付金が新たに設けられました。こうした動きに伴い、男性の育児休職にも注目が高まっています。NECも2024年10月に育休取得を後押しするために育休制度をさらに拡充。上司が、職場が、そして会社全体が仕事と家庭の両立を応援し、それがNECのパワーアップにつながっていく。育休を取った男性社員やその職場の実態をうかがってみると、NECが目指しているものが見えてきます。

「2025年度に100%」 計画シートや支援金など後押しする制度充実

男性育休取得はNECでも増えています。2020年度は15.0%でしたが、2022年に国の「産後パパ育休(出生時育児休業)」がスタートした頃からぐっと増え始め、2023年度は40.6%、2024年度は50.6%、平均取得日数78.9日。育児目的の休暇も含めた「育児休職等の取得率」では83.8%に達しました。

NECの制度では男女問わず育休を法定より長くとることができ、2022年には男性向けの育休ガイドを発行。2024年には、従来の「出産後55万円支給」に加え、出産前にも10万円を支給する新しい制度を設けました。条件は、出産予定日の3カ月前までに育休計画シートを提出すること。パートナーと話し合った内容の記入と、シートをもとにした上司面談も必須です。コミュニケーションのきっかけにしてほしいという狙いもあります。また、年次有給休暇や、育児にも利用できる年間5日のファミリーフレンドリー休暇(有給)とは別に、パートナーの出産前後に10日間取得可能な配偶者出産休暇(有給)を新たに設けました。

育休計画シート

NECは「2025年度に男性育休等取得率100%」を目指しています。この目標を掲げる上で意識しているのは、人材獲得の観点です。育児と仕事の両立への手厚いサポートは今や不可欠な要素だからです。もう一つの狙いはチームの成長。メンバーが一人抜けると負担に感じられがちですが、逆に残ったメンバーが助け合い工夫することで成長に結びつけようとしています。では、実態はどうなっているのでしょうか。

「メンバーの成長を実感」「パートナーとの話し合うきっかけに」

「10万円の一部をつかって、家族4人で記念写真を撮りました」。こう話すのは九州支社で営業を担当する吉﨑信陽です。2024年の年の瀬から約1か月間の育休をとった吉﨑の決意には、管理職としての意識も働きました。「『男性の上司が育休取得したよ』とメンバーが周囲に言えるように、背中を見せたい気持ちもあったんです」。

育休取得を通じてチームの成長も実感しました。自身が不在の1か月間は、チャットもメールも意識的に見ないようにしており、「実は不測の事態が次々と起こっていた、と聞いたのは復職後でした」といいます。事後報告の形でメンバーが助け合いながら工夫して乗り越えていたことを知って、想定以上のチームのポテンシャルを発見することになりました。

吉﨑信陽
写真館で撮影した記念写真

育休シートを話し合いのきっかけにできたという社員もいます。「自分が育休を取ることを妻はもともと期待していなかったようで、育休計画シートを見せて本気で考えていることが伝わると『ありがとう』と言ってくれました」。これは東京でリテール業界の営業を担当する栗原雄介の経験です。2か月の育休を取得しました。

転職してNECに入社した栗原は「会社全体で男性育休が浸透していた」とNECの企業文化を語ります。「戻ってきた後も温かく迎え入れてくれる組織風土があるのは(育休取得の上で)大きかったですね」。

栗原雄介
生まれたばかりの弟に会いに行く

制度の充実が育休を後押し「柔軟な働き方につながれば」

育休シートを含む新しい制度がスタートして半年、評判は上々です。この間に子どもが生まれた男性社員約150人にアンケートをとったところ(回答率約50%)、育休取得・取得予定の約7割の社員のうち「育休取得の後押しとなった要因」(複数回答可)について、トップの「パートナーからの要望」(33%)に「会社の制度」(28%)が続き、「直属上司の理解・推奨」と答えた人も20%いました。

吉﨑も栗原も上司からの心強い後押しをもらったと話します。吉﨑の上司、吉田裕明は「育休に限った話ではなく、ふだんから誰かが休んでもバックアップが取れるような体制づくりを心掛けている」のがスムーズにフォローできた要因だといいます。栗原の上司、大川咲は「早い段階から周りを巻き込んで準備したのが良かった」と振り返り、こう続けます。「介護や自分の病気など、いつ何が起きるかわからない。男性だから育休だからと特別にとらえるのではなく、色々ある一つの事情として柔軟に働けるように考えられたらいいですよね」。

大川咲

多様な働き方を実現してチーム力の向上につなげる。男性育休取得の促進はインクルージョン&ダイバーシティ方針における「誰もが力を発揮できる公平な環境」「個性が活かされる組織」づくりの一要素でもあり、これを通して、NECがPurpose(存在意義)に掲げる「誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会」の実現へ一歩ずつ前進していきます。

参考:Inclusion & Diversity | NEC

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