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6月は環境月間。地球と共生して未来を支えるために。NECグループは「環境」をNEC 2030VISIONの一つの柱に掲げています。企業の環境の戦略において、必要なのは持続性。それは環境だけでなく、ビジネスとしての持続性でもあります。環境をビジネスとして成立させる──。その構想がNECの営業を起点に大きく前進しました。成果の一つが再生可能エネルギー(電力)100%の工場の実現。脱炭素社会に向けた新たな取り組みをNTTとNTTアノードエナジーという強力なパートナーと一緒に進めています。
「初めて尽くし」 環境もパートナーも三方よしの取り組み
「NTTとNEC、脱炭素社会の実現に向けて連携」。2023年4月6日に発表したこの取り組みは、NECプラットフォームズにとって初の100%再生エネ電力の使用工場の実現(2024年度第1四半期目標)、NTTグループにとっては初めて取引先に対して自ら直接再生エネ電力を提供することになります。
初めて尽くしの取り組みのポイントは、使う電力も再生エネなのでエコ。工場でつくるのは環境への負荷を圧倒的に減らす最先端の製品。サプライチェーン(供給網)も含めて脱炭素社会の実現へ仕掛けるこの枠組みはNTT、NEC両グループの環境戦略に合致しています。
詳しくみてみます。NTTグループのエネルギー会社、NTTアノードエナジーが新たにNEC向けに太陽光発電所を設置し、NECプラットフォームズの福島事業所に電力を供給。再生エネ電力100%の福島の工場で、5G基地局の装置などを製造し、将来的にはNTTの次世代光通信基盤IOWN(アイオン)に対応した装置の製造を目指します。IOWNはNTTの新しい技術で、半導体の電子回路を光の回路に置き換え、電力消費を大幅に削減することで注目されています。


売り手も買い手も、そして社会も。三方よしのこの取り組み。しかし「ここまで来るのは簡単ではなかった」とNECの営業として構想からリードしてきた犬井史剛は言います。 NTTとの協業を通じたESG経営という宿題に挑んだ犬井たちが着目したのが、IOWNでした。
1枚のシートから始まった「大義がある」「パートナーだから実現できた」
両社の幹部が会う機会に差し込んだ「環境協業の提案」に関する1枚のシート。これが全ての始まりでした。ここでトップ同士のコンセンサスができ、一気に構想が動き出しました。
「これは絶対にやるべきだ、と。同時に、事業として継続できる形にすることも大きなチャレンジだったと思います」とNTTグループ側でこの取り組みをリードした右田聖秀氏は振り返ります。すぐに福島の工場に見学に行き、検討が始まりました。「再生可能エネルギーの使用を『お願いします』というだけじゃなく、サプライヤの皆さんと具体的なスキームに作り上げていく。ワクワクしました」。
とはいえ、構想を実際の事業の実務に落とし込むのは大変なプロセスでした。毎週毎週、様々な提供方法を協議するとともに、長期契約やNEC側の商材の活用などの議論を重ねたNTTアノードエナジーの嶋﨑忠文部長(第一グリーンソリューション部)は「これから信頼を積み重ねていくような新しいお客様だったら、途中でブレイクしていたかもしれない」と話します。「個人的にも、会社としても、ずっと一緒にやってきた身近なパートナーだから、この困難な取り組みを実現できた」。NTTの右田氏は「(NECグループが)エネルギーという側面でも大きな可能性をもっている会社だと再発見できたことも収穫でした」と新たな展開の可能性を感じたといいます。「このスキームはファーストケース。グループ単独ではなく、パートナーと一緒に世の中に貢献する企業として、この取り組みを広げていきたい」と展望を話します。

NTTアノードエナジー
グリーンソリューション本部
第一グリーンソリューション部
嶋﨑 忠文 部長

NTT
技術企画部門
ビジネスプロセス戦略担当
右田 聖秀 統括部長
(2023年4月時点)
「海外へのエントリーチケット」グローバルへとつながる
こうした環境事業を、営業統括部が起点となって進めること自体、「当時としては珍しいことだったと思います」とNECの犬井は話します。積み重ねた信頼をもとにパートナーと仕組みをつくるなかで、関係者の説得は容易ではなかったといいます。

NEC
NTT東西コミュニケーションズ営業統括部
キャリアビジネス戦略グループ
犬井 史剛
短期的にみて「再生エネは高い」とする指摘に対する説得材料の一つとして「再生エネでつくった商品は海外へのエントリーチケットになる」です。いま、海外の通信事業者では再生エネ使用を取引の条件にするケースもあります。今回製造する5G基地局などだけでなく、将来的に福島工場で作る製品の付加価値をあげていく。そのための仕掛けでもあります。
この取り組みを通じてNECは、自社グループ全体を対象とした温室効果ガスの排出量削減(スコープ1,2)を推進するだけでなく、取引先も含めた温室効果ガスの排出量削減(スコープ3)にも貢献します。2025中期経営計画にも成長事業として「カーボンニュートラル関連事業」を掲げているNECにとって、社会価値を創造するというPurpose(存在意義)の実現に向けて大きな前進となりました。
あらゆるものがネットにつながり、世界中で通信量の拡大が見込まれる中、通信業界の脱炭素化は急務です。地球環境をサステナブルにするため、ビジネスのサステナビリティを実現する。NECグループはパートナーとともに、日本と世界をリードする枠組みを目指します。