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女性のためだけでなく楽しく働きたいすべての人のために Inclusion & Diversityで変えていく
NEC スマートシティ スペシャリスト 西岡満代

3月8日は国連が定める「国際女性デー」です。多様な人材が活躍し、イノベーションを生み出し続ける会社を目指すNECは、インクルージョン&ダイバーシティ(I&D)を成長戦略の一つに掲げ、毎年この日にあわせ、大規模な社内イベント「NEC Inclusion & Diversity Day」を行っています。NECのPurpose(存在意義)である「誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会」の実現に、I&Dの定着は欠かせません。イベントに登壇するNEC スマートシティ スペシャリスト 西岡満代に、自身の経験と、I&Dの目指す姿を尋ねました。
「働く女性のために」気負っていた…、言えば伝わる
──入社した当時は、「総合職」と呼ばれる職種の中で女性はまだ少数派でした。
今思えば、20代の頃の私は「働く全女性のために言うべきことは言わなくては」くらいの勢いで、気負っていた部分がありました。当時配属された部署では、部に届いたFAXの配布や給茶機の管理を女性社員で分担していました。新しく入った私もその分担に加わるかどうか考えた際に、そもそも女性だけで対応していることに違和感を覚えました。そこで、「男性も含めてみんなで分担を」と提案したら仕組みが変わったんです。
実際伝えてみると、拍子抜けするくらい快く分担を引き受けてくれました。おそらく機運も熟していたところへ、きっかけとして働いたのだと思います。その後、同様の経験がいくつも重なり、今は、肩ひじ張らなくても、大抵のことは言えば伝わる、そう思っています。それぞれの目線から気になることを気軽に言い合える職場や組織は、女性に限らず男性や外国人も含めた全ての人にとって、より働きやすい環境になっていくと思います。
──海外経験も豊富ですね。文化の違いは感じましたか。
グローバル市場向けの通信関連ソリュ―ションを長く担当してきました。出張した国は約40カ国にのぼり、様々な文化や多様性に直接触れる機会が多くありました。例えば、スーツのスカートの長さ1つをとっても、国によっては感覚が全く異なる場合がありましたし、欧米の有名な文化である「レディファースト」も、男女差や義務ということでなく、お先にと道を譲ったり、ドアを開けて待ったりの気遣いの中で、「どうぞ」、「ありがとう」と、ほんの一瞬、優しい気持ちのコミュニケーションが生まれる。そこに良さがあると思います。おかげで、狭い通路ですれ違う時には、待たせず先に行かねばと思うクセがついて、日本では相手とぶつかってしまうことがあります(笑)。

一人前のSEにはなりたいけれど、男性になりたいわけではない
──今年のNEC Inclusion & Diversity Dayのテーマは「女性活躍推進」です。
ささやかなことですが、「仕事をする上で自分がどうなりたいか」を考える時にベースとなっている体験があります。入社して間もない頃、それまで「西岡さん」だったのに、上司からある日突然「西岡くん」と呼ばれたんです。平等な扱いをしようとしてくれているんだろうと思いましたが、嬉しくはありませんでした。その理由を一晩かけて考えた。そして翌日、上司に「私はきちんと仕事のできるシステムエンジニアにはなりたいと思っています。でも男性になりたいわけではありません」と伝え、すぐに「西岡さん」に戻りました。
大切なのは「成長機会や能力評価を公平に得ること」であって、「男性のように扱われることではない」。私は私。このとき突き詰めて考えたことは、今も自分の奥底に残っています。
──「女性管理職比率20%」という目標を、NECの2025中期経営計画で掲げています。
年の近い男性の部下と私が一緒にいると、周りの人からその男性のほうが上司だと思われることがあります。いまだに管理職というと男性のイメージが強い。これからは、社員の男女比は1対1に近づくでしょうから、今のうちに不要なバイアスに気付き、なくすことが重要だと思います。その一歩をまず形にしたものがこの目標ではないでしょうか。
そういう私自身にもバイアスはありました。より責任のある仕事をするためなら管理職にもなりたいと思っていたけれど、“管理職”には漠然と“男性”かつ“地味なスーツ”のようなイメージがあり、魅力を感じない気持ちもありました。これからは、私も含めていろんなタイプの管理職の事例が具体的に見えることで、少しずつ思い込みをなくし、自分らしいキャリアを目指すことに魅力を感じてもらえればいいな、と思います。

テクノロジーで変わる働き方 多様な人材の活躍を実現
──現在はスマートシティの実現に向けたリーダーとしての役割を担っていますね。
スマートシティは、住民や行政が対面する様々な課題のうち、テクノロジーで出来ることはテクノロジーに任せて、人口減少・高齢化の進む中でも、活き活きと暮らせるまちにしましょう、というものです。例えば運転免許を返納した高齢者の通院や買い物をどうするかなど。地域課題への取り組みは、行政や住民、企業などステークホルダーが多い点が難しいところでもある一方、こうした多様な人や組織の力と知恵を結集して「集合知」や「新しいアイデア」に結びつけることもできます。この点で、スマートシティは、まさにI&Dなんです。
──テクノロジーの発達によって、働き方も変わっていきます。
ITによって会議日程調整などの作業は以前より効率化され、その分、チャレンジにつながる業務に時間を充てられます。リモートワークの普及によって、子育て中や介護中の人でも、力を発揮しやすくなりました。また、翻訳機能を使うことで、言語が異なる人同士の壁も低くなりつつあります。
I&Dの取組みには、テクノロジーの力や仕組みで解決できることと、「人・文化」の側面から私たちみんなで改善すべきことがあり、どちらも大切です。後者でいえば、「きちんと伝えること」「気が付いたところから変えていくこと」を学んできました。
今、あの若いころの気負っていた自分に言うなら、「働く女性のためだけじゃなく、のびのびと楽しく働きたいすべての人のために頑張れる日が来ているよ」といいたい。私自身、これからもそのために頑張っていきたいと思っています。
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