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CLUSTERPRO X 4.3のご紹介~バックアップ/リストアの容易化~
CLUSTERPRO オフィシャルブログ ~クラブロ~
はじめに
CLUSTERPRO Xの最新バージョンであるCLUSTERPRO X 4.3を2021年4⽉2⽇にリリースしました。
CLUSTERPRO X 4.3では各種クラウドで提供されるサービスに対応することにより、作り込みを必要とせずにクラウド上で多様な構成を実現できるようになっています。また、セキュリティ機能の強化や、Infrastructure as Code(IaC)への対応、管理GUIの改良など多くの機能強化が行われていますので是非こちらを参照ください。
今回は、CLUSTERPRO X 4.3の新機能の中からバックアップ/リストアの事前事後処理コマンドについてご紹介します。
この記事の内容
1. バックアップ/リストアの事前事後処理コマンドとは
従来はバックアップ/リストアの前後に複数ステップの手順を実施する必要がありましたが、今後はシンプルな手順で実施することが可能となります。
バックアップ/リストアを正しい手順で実施しなかった場合、ファイルシステム的に不完全な状態でバックアップを取得してしまう、リストア後にデータの逆流、不整合などの事象が発生する可能性があります。
バックアップ/リストアの事前事後処理コマンドを、バックアップ/リストアの前後に実行することで、必要な処理を自動的に行うことが出来るため、作業を簡略化すると共に致命的な作業ミスを防止します。
バックアップ/リストアの事前事後処理コマンドの詳細は以下を参照ください。
- CLUSTERPRO X 4.3 > Windows > リファレンスガイド
→ディスクイメージバックアップの準備をする(clpbackup コマンド)
→ディスクイメージリストア後の処理をする(clprestore コマンド)
- CLUSTERPRO X 4.3 > Linux > リファレンスガイド
→ディスクイメージバックアップの準備をする(clpbackup.sh コマンド)
→ディスクイメージリストア後の処理をする(clprestore.sh コマンド)
2. バックアップ/リストアの想定構成
今回は、物理環境における2ノードのミラーディスク型HAクラスターで、バックアップ/リストアの事前事後処理コマンドを利用します。
コマンドはクラウド環境でも利用可能です。クラウド環境におけるコマンド利用は今後のブログで紹介予定です。
- ※バックアップ/リストア手順の基本的な流れは、WindowsとLinuxで同様のため、以降の手順はWindowsの実行例を中心に記載します。
なお、一部のコマンドラインや確認手順などがOSで異なる場合は、各OSの実行例を記載しますので、該当するOSの手順をご確認ください。
HAクラスターの構成図は以下の通りです。
また、CLUSTERPROの構成は以下の通りです。
適宜ご利用の環境に合わせて読み替えてください。
- CLUSTERPRO
- -サーバー
- ■ 現用系サーバー :server01
- ■ 待機系サーバー :server02
- -フェールオーバーグループ :failover
- ■ フローティングIPリソース :fip
- ■ ミラーディスクリソース :md
- -モニタリソース
- ■ フローティングIP監視リソース:fipw1
- ■ ミラーコネクト監視リソース :mdnw1
- ■ ミラーディスク監視リソース :mdw1
3. バックアップの事前事後処理コマンド利用手順
今回はHAクラスターの現用系/待機系サーバーそれぞれのミラーディスク用パーティションを片方ずつバックアップする場合の手順をご紹介します。
待機系サーバーのバックアップ手順のイメージ図は以下の通りです。
現用系サーバーをバックアップする際は、フェールオーバーグループを待機系サーバーへフェールオーバーした後に、同様の手順で行います。
バックアップ時の注意点、その他のバックアップ方式の手順や、詳細な手順は以下を参照ください。
- CLUSTERPRO X 4.3 > Windows > メンテナンスガイド
→ミラー/ハイブリッドディスクをディスクイメージでバックアップする
- CLUSTERPRO X 4.3 > Linux > メンテナンスガイド
→ミラー/ハイブリッドディスクをディスクイメージでバックアップするには
3.1 フェールオーバーグループの停止とミラーディスクの同期の停止
ミラーディスクが正常に同期できていることを確認します。
同期状態の確認後、静止点を確保するために、フェールオーバーグループを停止します。
現用系サーバーで以下のコマンドを実行します。
実行例
Mirror Status: Normal
md server01 server02
------------------------------------------------------------------
Mirror Color GREEN GREEN
Fast Copy NG NG
Needed Copy Percent 0% 1%
Volume Used Percent 1% 1%
Volume Size 19453MB 19453MB
Command succeeded.
> clpgrp -t failoverCommand succeeded.
自動ミラー復帰が動作しないようにするために、ミラーディスク監視リソースを一時停止します。
現用系サーバーで以下のコマンドを実行します。
※ 現用系/待機系の両サーバーのミラーディスク監視を一時停止します。
実行例
Command succeeded.
> clpmonctrl -s -h server02 -m mdw1
Command succeeded.
ミラーディスクの同期を中断します。
待機系サーバーで以下のコマンドを実行します。
実行例
Command succeeded.
業務をすぐに再開したい場合は、この段階で現用系サーバーでフェールオーバーグループを起動します。
現用系サーバーで以下のコマンドを実行します。
実行例
Command succeeded.
3.2 待機系サーバーでバックアップの事前処理コマンドを実行
待機系サーバーで以下のコマンドを実行します。
※ WindowsとLinuxでコマンドに差分があります。
実行例(Windows)
clpbackup.bat : Beginning backup-mode.
Command succeeded.
clpbackup.bat : Changing the setting of cluster services to Manual Startup.
clpbackup.bat : Shutting down...
Command succeeded.
clpbackup.bat : Command succeeded.
実行例(Linux)
clpbackup.sh : Beginning backup-mode.
All backup flags have set to <ON>.
clpbackup.sh : Changing the setting of cluster services to Manual Startup.
clpbackup.sh : Shutting down...
Command succeeded.
clpbackup.sh : Command succeeded.
コマンドを実行すると、ミラーディスクがバックアップモードになり、CLUSTERPROの各種サービスの自動起動がオフに設定され、サーバーがシャットダウンします。
3.3 バックアップ
待機系サーバーでミラーディスクをイメージバックアップします。
3.4 待機系サーバーでバックアップの事後処理コマンドを実行
待機系サーバーを起動し、以下のコマンドを実行します。
※ WindowsとLinuxでコマンドに差分があります。
実行例(Windows)
clpbackup.bat : Ending backup-mode.
Command succeeded.
clpbackup.bat : Changing the setting of cluster services to Auto Startup.
clpbackup.bat : Rebooting...
実行例(Linux)
clpbackup.sh : Starting Mirror Agent.
Command succeeded.
clpbackup.sh : Ending backup-mode.
All backup flags have set to <OFF>.
clpbackup.sh : Changing the setting of cluster services to Auto Startup.
clpbackup.sh : Stopping Mirror Agent.
Command succeeded.
clpbackup.sh : Rebooting...
コマンドを実行すると、ミラーディスクが通常モードになり、CLUSTERPROの各種サービスの自動起動がオンに設定され、サーバーが再起動します。
3.5 ミラーディスクの同期の再開
現用系サーバーのミラーディスク監視を再開します。
現用系サーバーで以下のコマンドを実行します。
実行例
Command succeeded.
- ※ 待機系サーバーは再起動後に、自動的にクラスタへ復帰し、ミラーディスク監視も自動的に再開します。
現用系サーバーでフェールオーバーグループを起動していない場合は、起動します。
現用系サーバーで以下のコマンドを実行します。
実行例
Command succeeded.
3.6 現用系を切り替えてバックアップ
フェールオーバーグループをフェールオーバーし、現用系を切り替えた後に、3.1〜3.5の手順を実施しもう片方のサーバーもバックアップします。
4. リストアの事前事後処理コマンド利用手順
今回はHAクラスターの現用系/待機系サーバーそれぞれのミラーディスクイメージを同時にリストアする場合の手順をご紹介します。
リストア手順のイメージ図は以下の通りです。
「3. バックアップの事前事後処理コマンド利用手順」では現用系/待機系サーバーで片方ずつ異なるタイミングでミラーディスクイメージを取得しているため、最終的にミラーディスクのフルコピーをする必要があります。
なお、一つのミラーディスクイメージを現用系/待機系サーバーそれぞれにリストアすることで、リストア後のフルコピーを省略することも可能です。
リストア時の注意点、その他のリストア方式の手順や、詳細な手順は以下をご参照ください。
- CLUSTERPRO X 4.3 > Windows > メンテナンスガイド
→ミラー/ハイブリッドディスクにディスクイメージをリストアする
- CLUSTERPRO X 4.3 > Linux > メンテナンスガイド
→ミラー/ハイブリッドディスクにディスクイメージをリストアするには
4.1 フェールオーバーグループの停止
フェールオーバーグループを停止します。
現用系サーバーで以下のコマンドを実行します。
実行例
Command succeeded.
4.2 現用系/待機系サーバーでリストア事前処理コマンドを実行
現用系/待機系の両サーバーで、以下のコマンドを実行します。
※ WindowsとLinuxでコマンドに差分があります。
実行例(Windows)
clprestore.bat : Changing the setting of cluster services to Manual Startup.
clprestore.bat : Shutting down...
Command succeeded.
clprestore.bat : Command succeeded.
実行例(Linux)
clprestore.sh : Changing the setting of cluster services to Manual Startup.
clprestore.sh : Shutting down...
Command succeeded.
clprestore.sh : Command succeeded.
コマンドを実行すると、自動的にCLUSTERPROの各種サービスの自動起動をオフにして、サーバーをシャットダウンします。
4.3 リストア
現用系/待機系の両サーバーで、ミラーディスクをリストアします。
4.4 ミラーディスクの設定確認
現用系/待機系の両サーバーを起動し、ディスクの設定を確認します。
WindowsとLinuxで手順が異なりますので、該当する手順をご確認ください。
4.4.1 ミラーディスクの設定確認(Windows)
現用系/待機系の両サーバーを起動し、ディスクドライブとCLUSTERPROの設定を確認します。
ディスクの管理([コントロールパネル] > [管理ツール] > [コンピュータの管理] > [ディスクの管理])を使用して、リストアしたデータパーティションやクラスタパーティション等のドライブ文字を、ミラーディスクの設定に合わせて再設定します。
- ※ドライブ文字が変わっていない場合も、一度別のドライブ文字に変更した後に元のドライブ文字に戻すことで、明示的に再設定します。
次に、Cluster WebUIを起動し、「設定モード」から、ミラーディスクリソースのプロパティで、各サーバーのクラスタパーティションとデータパーティションを、確認/再選択します。
リソースのプロパティの[詳細] タブの[起動可能サーバ] にある各サーバーについて、サーバーを選択して、[編集] ボタンを押します。
[パーティションの選択] で[接続] ボタンを押して、データパーティションおよびクラスタパーティションがそれぞれ正しく選択されていることを確認します。正しく選択されていない場合には、正しいパーティションを選択して、[OK] ボタンを押します。
確認後、設定の反映を実行します。
4.4.2 ミラーディスクの設定確認(Linux)
現用系/待機系の両サーバーを起動し、リストアしたクラスタパーティションやデータパーティションのパスを確認します。
パスが変わっている場合は、Cluster WebUIを起動し、「設定モード」から、ミラーディスクリソースのプロパティで、リソースのプロパティの[詳細] タブのデータパーティションデバイスとクラスタパーティションデバイスに正しいパスを入力します。
確認後、設定の反映を実行します。
4.5 現用系/待機系サーバーでリストア事後処理コマンドを実行
現用系/待機系の両サーバーで、以下のコマンドを実行します。
※ WindowsとLinuxでコマンドに差分があります。
実行例(Windows)
clprestore.bat : Beginning backup-mode.
Command succeeded.
clprestore.bat : Changing the setting of cluster services to Auto Startup.
clprestore.bat : Rebooting...
実行例(Linux)
clprestore.sh : Changing the setting of cluster services to Auto Startup.
clprestore.sh : Rebooting...
Reboot server02 : Command succeeded.
コマンドを実行すると、自動的にCLUSTERPROの各種サービスの自動起動をオンにして、サーバーを再起動します。
4.6 ミラーディスクのミラー復帰
ミラーディスクリソースのステータスが異常となりますので、フェールオーバーグループが稼働しているサーバーで以下のコマンドを実行し、一旦フェールオーバーグループを停止します。
実行例
Command succeeded.
その後、データを最新としたいサーバー側のミラーディスクの状態を正常にします。
データを最新としたいサーバー側でコマンドを実行します。
※ WindowsとLinuxでコマンドに差分があります。
実行例(Windows)
Command succeeded.
実行例(Linux)
Command succeeded.
データを最新としたサーバーで以下のコマンドを実行し、フェールオーバーグループを起動します。
実行例
Command succeeded.
バックアップした時点のデータとなり、リストアが完了していることを確認します。
最後に、ミラーディスクをフルコピーします。
現用系サーバーで以下のコマンドを実行します。
実行例
Command succeeded.
フルコピー先にフェールオーバーグループを移動させ、正常にデータにアクセスできることを確認します。
まとめ
今回は、CLUSTERPRO X 4.3の機能強化ポイントの一つであるバックアップ/リストアの事前事後処理コマンドをご紹介しました。
ミラーディスク/ハイブリッドディスクのイメージバックアップ/リストアの一部をコマンド化することで、作業を簡略化しつつ、作業中に誤ってデータがミラーリングされないようになっております。
今後、クラウド環境におけるバックアップ/リストア手順の紹介も予定していますので、公開した際にはご覧ください。
また、CLUSTERPRO X 4.3試用版を提供しておりますので、ぜひご活用ください。
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