導入事例

Spready株式会社様

新規事業の企画書が通らない。“客観性の不在”という構造的な問題を解決する「NEC 企画書AI診断サービス」

企業名
:Spready株式会社
業界・業種
:インターネットサービス業
事業内容
:新規事業に出会えるプラットフォーム「Spready」開発及び運営

本事例のポイント

  • 1新規事業で陥る、評価者と担当者のすれ違いという構造的な課題
  • 2AIの客観的診断を共通言語化し、納得感のある評価体制を実現
  • 3直感的な課題の可視化と、システム活用による改善の高速化

大企業の新規事業担当者が、評価者に新規事業の企画書を提出する。丁寧にリサーチし、1ヶ月かけてまとめた資料に返ってくる言葉はひと言、「うちがやる理由がわからない」。担当者はゼロから考え直す。次の案を出す。また弾かれる。そのサイクルが続いた先に残るのは、疲弊と「もうアイデアがない」という無力感だ。

そのような現場の課題を解決すべく作られたのが、300以上の評価観点から企画書を網羅的・客観的に診断するWebサービス「NEC 企画書AI診断サービス」である。属人的なレビューから脱却し、データに基づいて新規事業を前進させることを狙いとしている。

Spready株式会社でマーケティング・セールスの統括を担い、自社AIサービス「HASSAN」の事業責任者でもある中村真隆氏は、年間250社の新規事業担当者と向き合ってきた。 アイデアは出せている、出し続けているのに通らない——その原因はアイデアの質に着目しがちだが、評価のあり方にも大きな課題があると中村氏は考えている。 新規事業に関するリアルな悩みを知る中村氏に、リリース間もない「NEC 企画書AI診断サービス」をいち早く体験してもらい、率直な所感を聞いた。 なお、NECからは開発者の1人である、ビジネスイノベーション統括部の小出俊夫も参加し、サービス開発側の視点から議論に加わった。

Spreadyの注力事業と、現在の新規事業開発におけるミッションを教えてください。

中村真隆(以下、中村):新規事業のアイデアが出た際、ヒアリング相手を探せるサービスである「Spready」が事業の中心です。創業から手がけてきたマッチングプラットフォームであり、現在900社以上の大企業の新規事業部に導入されています。

活用場面の多くは「想定顧客の課題を細かく把握したい」「自分たちのソリューションに対して、お金を払うほどの価値を感じてもらえるか確かめたい」といった、アイデアを具体化するタイミングに集中しています。インタビュー相手をオンライン上で発見できる手軽な仕組みにより、これまで新規事業の前進を支えてきました。

2024年にリリースした「HASSAN」は、自社の技術やアセットをAIに学習させてアイデアを自動発散させるサービスです。Spreadyと組み合わせることで、AIで仮説を作り、実際のユーザーヒアリングで検証するという流れを一気通貫で回せる体制を整えています。

年間250社の新規事業担当者と対話した中村さんが、顧客支援のなかで感じている課題を教えてください。

中村:支援の現場で繰り返し目にしてきた共通の壁は「上司を説得できない」ことです。大企業の新規事業部には、既存事業や技術分野のプロが異動してくる場合がほとんどです。新規事業を専門に経験してきた人材が揃っているわけではないため、担当者も評価者も経験が浅いまま向き合うことになります。

評価者側は企画の質が低いと判断し、担当者側は納得できない理由で否定され続ける。努力が反映されない状況に陥った担当者側が、企画を出すこと自体をあきらめてしまうケースも少なくありません。

そのような納得性が生まれないサイクルは、コンサルタントが間に入ることで解消できる可能性もあります。しかし、新規事業部は予算が限られているケースも多く、結局は自分たちでなんとかする選択を取っているのが現状です。

担当者が弾かれ続ける背景には、どのような問題があると感じていますか。

中村:自社のアセットを起点にアイデアを出すことも難しいですが、市場の動向との整合性を取りにいく作業もまた難題と感じています。 既存事業の技術が成熟している企業ほど、自社の強みと市場のニーズがかみ合う領域を見つけるまでの探索が長くなりがちです。

加えて、大企業では新規事業に求められる期待値が高い傾向があります。たとえば、現場感覚を持たない上層部から、 現実と乖離した水準の目標が課されることも珍しくありません。その結果、担当者が自社の技術と相性のいい市場を見つけても、規模が十分でないと判断されて却下されてしまうのです。 こうしたズレも、担当者の疲弊につながっていると考えられます。

HASSANを開発した背景にも、自社アセットと市場をかみ合わせる作業をAIで効率化し、担当者の負担を減らしたいという想いがあったからです。

ここからは、NEC 小出俊夫の意見も交えながらお話をお聞きします。中村さんに、本サービスを利用した第一印象をお聞きしたいです。

中村:汎用のチャットAIでも評価自体は出せますが、結果が文字の羅列になりがちで、どこから手をつければいいかが見えにくい問題が残ります。 「NEC 企画書AI診断サービス」は、ファーストビューのレーダーチャートで、企画書の強みと弱点が一目で可視化される点が印象的でした。

また、直感的な操作性のもとで、思考のブレイクダウンがスクロールにつれて深まっていく点も魅力的です。大項目を俯瞰し、気になる項目を押すと中項目が展開。 詳細と解決策が示されるという流れで、担当者が自然に次のアクションにたどり着ける導線になっています。10分程度で完了する診断スピードも実務で使える水準に収まっていると感じました。

小出俊夫(以下、小出):レーダーチャートは、全項目で満点を目指すのではなく、まずすべての評価軸をある程度埋めることを促す設計にしています。 全体像・事業性・実行計画といったカテゴリーごとに整理することで、どこから手をつけるべきかが一目でわかるようなデザインを意識しました。

新規事業担当者が現在抱えている課題は、本サービスによって解消されそうですか?

中村:はい。特に「客観的な評価が評価者と担当者の間に挟まる」という構造が、これまで欠けていた要素を補っています。診断結果を共通言語にすることで、担当者は「自分の事業のどこが足りないのか」をデータとして受け止めやすくなる。評価者も、客観的な評価を土台にして意見を伝えれば、担当者から納得を得やすくなるでしょう。

例えば、レーダーチャートで「顧客の反応」の項目がほぼ埋まっていない企画書が出てきたときは、ユーザーインタビューを一度も行っていない実態が可視化されます。担当者自身が不足している点に気付き、評価者と一緒に画面を見ながら次のアクションを議論する流れが生まれます。

小出:評価者と担当者が同じ画面を見ながらゲート審査に臨めるのは、本サービスが目指していた姿のひとつです。「なぜ却下されたのか」が明確でないために次へ進めないという課題は、中村さんの話を聞きながらあらためて整理できました。診断結果という共通の根拠があることで、感情的な議論になりにくくなると感じています。

中村:そのほか魅力を感じたのは、コスト面です。人間が調査・評価から資料のまとめを行うまで1ヶ月かかる場合でも、このサービスであれば1〜2週間で完結するケースが考えられます。システムだからこそ、企画書をアップデートするたびに診断を委ねられ、改善サイクルを以前より速く回せるようになる点もメリットの一つです。

今後の機能アップデートや支援に期待することがあれば教えてください。

中村:技術的な実現性の評価軸が加わると、さらに利便性が増すと思います。ビジネスモデルとしての実現性だけでなく、「これは技術的に開発できるのか」という観点は、製造業系の企業や技術系の新規事業では特に求められるためです。自社技術の活用を前提にアイデアを組む企業にとっては、診断の説得力が増す要素の一つになり得ます。

小出:審査基準のカスタマイズ機能も、追加に向けて検証を重ねている段階です。各企業のゲート基準でAIが判断できるようになれば、より細かなサポートができるようになると考えています。

最後に、新規事業の企画書が社内で評価されずに悩む担当者へ、メッセージをお願いします。

中村:企画を出し続けているのに通らない状況は、アイデアの質の問題ではなく、評価のあり方の問題であることがほとんどです。客観的な根拠が担当者と評価者の間に入ることで、そのゆがみは変えられます。まず自分の企画書がどの状態にあるのかを把握することから始めてみてください。取るべきアクションが見えてくれば、次の一歩はおのずと踏み出せます。

小出:担当者と評価者が同じ目線で向き合える環境をつくることが、本サービスを開発する出発点でした。今後も現場の声を受け止めながら、より利便性のあるサービスへと磨き続けたいと思っています。

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