若松 直哉のコラム

「こんなところにもIoT・AI・分析技術が!!!プラント編」

NEC AI・アナリティクス事業部
若松 直哉

2018年2月15日

身近になったIoT・AI・分析技術

最近は、TVや雑誌でもAI・分析技術のキーワードを非常に多く見かけるようになりました。
実際に業務で関わっている方やTV・雑誌などの情報から、利用方法も含めかなり具体的なイメージができている方も多いのではないでしょうか。
そのような状況のなか、まさか「こんなところにもIoT・AI・分析技術」の視点でご紹介させて頂きます。

実生活のなかで、蛇口の栓をひねると水が出て、使った水は排水され下水処理される。
車でドライブを楽しむ際にも都市部・市区町村の差はあるにせよ、燃料が空になる前にガソリンスタンドを難なく探し給油ができる。
これらが当たり前の環境として、生活されている方が多いのではないのでしょうか。
私自身もこれらの環境を「あたりまえ」だと思い、普段は格別な意識をすることなく生活しています。

こんなところにもIoT・AI・分析技術

しかしながら、このような「あたりまえ」の生活を支える一部にもIoT・AI・分析技術が活用されています。
排水は下水道処理設備、ガソリン精製は製油所のプラントにてプラントオペレータを中心に分散制御システム※1を用いて管理・生産活動を行っています。
これらのプラントでは、数多くのセンサ(流量計・圧力計・レベル計など)を用いて、大量の原料や化学薬品が使用されています。
社会科見学などでプラント見学をされた方は、大まかなイメージは湧くかもしれませんが、実際のプラント運転やプラント運転に用いられている分散制御システムは、馴染みが無いですよね。

このニッチなプラントの運転や分散制御システムと連動して、IoT・AI・分析技術が利活用されています。
ここが、今回の「こんなところにもIoT・AI・分析技術が!!!プラント編」のご紹介ポイントです。

NECの技術とプラントの課題

具体的なIoT・AI・分析技術として、NECのインバリアント分析技術がプラントの運転に利用されています。各種センサ情報からいつもの状態をモデル化し、リアルタイムかつ早期の異常予兆操作監視を行います。

図1 インバリアント分析イメージzoom拡大する
図1 インバリアント分析イメージ

現在のプラントを取り巻く状況は、長年の運転に伴う設備の老朽化・設備増改造に伴うシステムの複雑化、熟練者の退職によるノウハウ伝授、設備自動化のため若手に経験させる場が無いなど、多くの共通課題を抱えています。
もちろん全てを1つの技術で100%解決することは出来ませんが、IoT・AI・分析技術がこれらの一部の回答となっている事も事実です。

新技術の受入れまでの難しさ

今では、NECのAI・分析技術であるインバリアント分析技術は、プラント業界のお客様に一定の知名度を得ることができました。
しかしながら、数年前までは、プラントの現場領域ではNECの知名度が低く、お客様には、なぜNECがこの領域をやるの?と言われていました。

NECの新技術を実証するため、お客様敷地内に小規模な模擬プラントを建築し、配管の詰まりの予兆検証や、お客様実環境に複数年計画でインバリアント分析技術を導入させて頂きながら新技術の有効性を検証させて頂きました。

この様な活動が実り、今ではお客様のご理解だけでなく、産業保安や法令的な観点でもIoT・AI・分析技術を後押し頂きました。

データサイエンティストとして

複数の検証を通し、データサイエンティストとして求められるスキルセットの高さを痛感しました。

特にお客様が求めているのは、単なるAIやデータ解析ができる人物ではありません。
「全体を通したコンサルタント的な進め方」、「センサ値や制御動作を現場担当者と同等に話せる力」、「どの様に新技術を適用するのか」、これらの回答を一緒に導き出せるデータサイエンティストを求められています。

データサイエンティストに求められるスキルセットはデータサイエンティスト協会でも定義されています。※2

  1. ビジネス力:
    課題背景を理解した上で、ビジネス課題を整理し、解決する力
  2. データエンジニアリング力:
    情報処理、人工知能、統計学などの情報科学系の知恵を理解し、使う力
  3. データサイエンス力:
    データサイエンスを意味のある形に使えるようにし、実装、運用できるようにする力

私は、プラントの制御システムの開発経験があり、この開発経験を通したプラント業務や制御理論の知識を活用しながら、お客様と同じ目線で検証フェーズでの課題を解決しました。
AI・分析技術の進め方や実運用で利用するためのノウハウを十分に蓄積することが出来たと感じています。

検証フェーズから活用・勝負の年へ

今回は、プラントでの利活用や今までの経験について、コラムを記載しました。

個人としてもNECとしても検証フェーズで多くの事を学びノウハウとして吸収しました。
これからは活用・勝負の年へと移り変わります。

プラントだけでなく、私たちの生活の「あたりまえ」を支える技術としてIoT・AI・分析技術が、より身近に活躍する社会になっていきそうですね。

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