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志村 典孝のコラム

メディア業界に起こるアド・シンギュラリティ

NEC 放送・メディア事業部
志村 典孝

2018年9月12日

概要

2045年になると、AIが自分より頭の良いAIを作り、そのまたAIがAIを作り…というように爆発的に知能が加速し、AIが人類の知能を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」が起こると言われています。私が担当しているメディア業界でも今、様々な変化が起こっており、これからのメディアの未来にはどんなシンギュラリティが起こり得るのかを考えてみたいと思います。

本文

2045年にはAIは人間の脳を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)に到達すると言われています。私はこのシンギュラリティは、世界で一斉に起きるようなものではなく、個別の業界ごとに起きるものだと考えます。例えば、自動車業界ではAIによる自動運転が始まろうとしていますが、人間が運転するよりも快適で事故が無くなれば、もうそれはシンギュラリティです。

メディア業界も昨今、その環境は激変しています。AI記者は、天気・スポーツ・決算ニュースなどの簡易な短文であれば自動生成してくれるし、日本テレビには、アンドロイドの新人アナ「アオイエリカ」さんが入社し、様々な番組やイベントで活躍。NHKのAIアナウンサーの「ヨミ子さん」は水曜日の夜になると、ニュースを滑らかな口調で読み上げてくれるし、Google HomeなどAIスピーカーからでも最新のニュースを教えてくれます。今後も人間がやっていた業務のうち、比較的簡易なものからAIに置き換わり、効率化が進んでいくでしょう。

一方、人間の熟練した技やノウハウが必要となる業務においては、AIに完全に代替するのは難しく、人間がAIに助けてもらいながらより良いアウトプットとなるような高度化が進んでいくと思います。その例として、AIを用いることで科学的にテレビ番組の視聴率向上させることができないか、テレビキー局様と取り組んだ実験をお話します。

テレビキー局でのAIによる視聴率向上の取組み

分析に使用したデータは、毎分の視聴率と、出演者・番組ジャンル・放送内容がテキストで記載されたTVメタデータなどです。これらをNECのホワイトボックス型分析AI技術「異種混合学習」によって分析し、編成内容・裏番組・出演者などが視聴率にどう影響しているのか要因を明らかにしました。

上記の図はその分析アウトプットですが、これを読み解くと、左側の決定木からは、金曜日以外(月曜日から木曜日)において、朝の7時23分より前に裏番組がスポーツ情報を放送していることが視聴率に影響していることが分かり、右側の棒グラフからは、「裏番組がスポーツ」という項目は、「視聴率にマイナス」という方向の軸に0.2ポイントの重みで影響していることが分かります。
要するに、この時間帯は裏番組のスポーツ情報にコンテンツ力で下回っていると考えられるので、それを補うための施策を戦略的に検討できます。人手による分析でも、「曜日」に着目することはできるかもしれませんが、「7時23分」を境に規則性がある、ということを見出すのは不可能、もしくは膨大な時間を要します。この規則性を高速で自動的に発見できることがこのAIの実力であり、魅力です。

また、上記の図からは「タレントAの出演」が視聴率にプラスに寄与していることがわかります。しかし、タレントAさんをどんなタイミングで、カメラに何秒間に映せば視聴率を上げられるのか、ということまではわかりません。これはTVメタデータに、タレントAがカメラに何秒映ったか、という精緻なデータがないためです。そこで、東京オリパラにも採用されたNECが世界No.1の精度を誇る顔認証技術「NeoFace」を用いれば、映像内に写っている人物が誰なのかを判別し、何秒間カメラに映ったのかというタグを自動で付けることができます。

顔認証技術による映像への自動タグ付け

これは女子バレーボールチーム「NECレッドロケッツ」の映像に選手名を自動表示させたものです。顔認証技術は視聴率分析だけでなく、このようなスポーツ中継や、選挙番組など、たくさんの顔が表示されて名前を間違ってはいけないようなシーンでも活用ができます。

さらに、AIを活用できる映像データは、テレビ番組に限りません。メディアの主な収益源は広告ですので、動画広告への自動タグ付けや、動画広告の視聴数を向上させることにAIを活用することが最重要かもしれません。動画広告を流すメディアも、昔はテレビだけでしたが、今はインターネット、デジタルサイネージ、交通広告などに拡大しています。メディアの定義が広がり、そこで展開されるアド・テクノロジー(広告における技術)も急速に発展しています。
「アド・シンギュラリティ」というのは、私がつくった造語ですが、2045年を待たずに、メディア業界ではAIによる広告のシンギュラリティが起こり得ると考えます。AIによって、広告を出稿する広告主は最適な人や場所に広告を簡単に配信できて、広告効果が最大化。すべての広告枠はダイナミックに取引され、視聴者には潜在的に必要な広告だけが快適に届くような未来です。
NECは、このような時代の潮流を予測し、来たるべき環境変化に備えられるようグランドデザインしながらAIを中心とした最先端の技術とプラットフォームで、未来へ向けて広告ビジネスをアップデートし続ける企業であれたらと思います。その取り組みのひとつが、「NEC映像プラットフォーム」です。

NEC映像プラットフォームとは

NEC映像プラットフォーム」は映像素材の共有/送稿を実現し、映像品質/搬入レギュレーションチェックの環境を提供するSaaS型サービスです。具体的には、広告主がテレビCM素材映像をテープ媒体に焼いて全国の放送局に配送するという手間を無くし、オンラインで送稿できるようにします。また、テレビCM素材を様々なメディアで配信できるようにレギュレーション変換し、コンテンツを流通・管理することができ、ワンストップで安心・安全な広告運用が可能となります。今後はこのプラットフォームに、前述したような多様なAI技術を付加していくことで、煩雑な広告業務が効率化・高度化できるように、ご支援していきたいと考えています。

拡大する概要図

アド・ロボットくんがそばにいる未来

将来的には、あらゆる広告業務の困りごとを解決してくれる「アド・ロボットくん」を作りたいなと思います。バズりそうなクリエイティブをレコメンドしてもらったり、広告プランニングを手伝ってもらったり、単純なルーチン作業はマル投げできたり。きっと皆様のお役に立てると思います。

最後に、ここでご紹介したものは、11/14~16に幕張メッセで開催される、InterBEE2018(http://www.inter-bee.com/ja/)に出展する予定です。私も説明員をしておりますので、お会いできるのを楽しみにしています!

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