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農事組合法人 和郷園様

農事組合法人 和郷園様

ハウスの遠隔監視、灌水制御をクラウドで実現
農作業の省力化、成功ノウハウの共有が可能に

農事組合法人 和郷園様
業種製造業,農業業務その他業務
製品その他製品ソリューション・サービスその他ソリューション

トマトやキュウリなどの生産農家が協業する農事組合法人 和郷園様(以下、和郷園様)。農業の工業化を目指し、最新技術を積極的に採用しています。中でも主力商品の1つである「プレミアムフルティカトマト」は、水やりの加減が非常に重要。そこでNECの「農業ICTクラウドサービス」の「灌水制御機能」を導入しました。これは、遠隔地からPCやスマートフォンなどで灌水(水やり)の回数や量などを設定できる上、実績データをクラウドに自動蓄積し、手軽に閲覧できる機能。蓄積したデータは分析し、従来、生産者の勘に頼っていた栽培ノウハウを数値化することもできます。農作業の省力化、品質、収量の向上を実現する基盤として大きな役割を担っています。

事例のポイント

課題

  • 人気商品の1つであるフルーツトマトの「プレミアムフルティカトマト」は糖度を高めるために、きめ細かな灌水制御が必要です。これまで利用していた灌水装置は操作が複雑な上、実際にハウスに行かなければ作業を行うことができませんでした。
  • 営農日誌をつけるのは生産者にとって重要な仕事です。しかし、温度や湿度に加え、灌水実績などを手作業で正確に記録するのはとても手間がかかります。
  • 生産者の勘や経験に頼った栽培では品質や収量にばらつきが出てしまいます。安定した品質と収量が見込める栽培法の確立を目指していました。

成果

  • 「農業ICTクラウドサービス」の「灌水制御機能」により、PCやスマートフォンから、1日の灌水回数や灌水量を容易に制御できるようになりました。作業は現場で行うのが基本ですが、万一の際には、遠隔からも制御できるようになりました。
  • 灌水実績データはクラウドに自動記録・蓄積されるため、営農日誌への記録作業が省力化でき、生育状況の確認や作物の世話を今まで以上に時間をかけて行えます。
  • 灌水実績データに加え、センシング機能によって蓄積したハウス内の温度・湿度・炭酸ガス量・日照時間などのデータを複合的に分析し、傾向を把握することが可能。生産者個人に蓄積され、感覚でしか伝えることのできなかったノウハウを数値化することができます。経験の浅い生産者でも品質の高い作物を育てられると期待しています。

導入前の背景や課題

フルーツトマト栽培に不可欠なきめ細かい灌水作業

農事組合法人 和郷園 副代表理事 向後 武彦 氏農事組合法人 和郷園
副代表理事
向後 武彦 氏

千葉県内の複数の農家が協業して誕生した農事組合法人の和郷園様。「農業生産者の自律」を目指し、様々な取り組みを進めています。 例えば、農産物を栽培するだけでなく、直営スーパー「OTENTO 田園調布店」やネットを通じて農作物を直販するなど、加工・流通までをカバーした農業の「6次産業化」を推進。また、積極的に最新の技術を採用し「農業の工業化」も目指しています。

同社は様々な農産物を扱っていますが、中でも人気が高いのが甘いフルーツのような味わいの「プレミアムフルティカトマト」です。フルーツトマトの一種で、ジューシーで味が濃く、普通のトマトの約2倍の甘さがあるといわれています。

その甘さの秘密は「水」にあります。

トマトは、水を与えすぎないという「ストレス」を加えることで、小ぶりで糖度の高い実をつけます。和郷園様は、土ではなく、保湿性の高い特殊なフィルムを“畑”にして作物を栽培する「アイメック農法」という技術を採用。土に種苗を植えると、生産者が水を与えなくても、作物が土壌中の水分を求めて勝手に根をはり、水分量の制御が難しくなります。それに対し、アイメック農法なら灌水量を完全にコントロールすることができます。

とはいえ、狙い通りの「甘さ」を実現するのは容易ではありません。様々な条件や生育状況に応じた、きめ細かな灌水制御が不可欠となります。

「毎日、何時にどれだけ肥料を溶かした養液を灌水するかを制御盤でタイマー設定してコントロールしています。しかし、現在の灌水装置は操作が煩雑でわかりづらい上、灌水記録は手作業で記入しなければならず、非常に手間がかかっていました。農業の工業化を実現するには、できるだけ手間を削減し、過去の実績データを品質や収量の向上に役立てていくことが不可欠です。より効率的に灌水制御と記録を行える方法を探していました」と同社の向後 武彦氏は話します。

選択のポイント

手もとのスマートフォンで灌水の制御・確認ができる点を評価

農事組合法人 和郷園 向後農場 植草 宏行 氏農事組合法人 和郷園
向後農場
植草 宏行 氏

効率的に灌水制御と記録を行える仕組みとして、和郷園様が導入したのがNECの「農業ICTクラウドサービス」の「灌水制御機能」です。これは、PCなどからクラウドサービスにアクセスし、わかりやすい画面を通じて、1日の灌水時間や灌水量を設定できるシステム。灌水実績はクラウド上に自動的に記録・蓄積されます。

和郷園の一員である向後農場では、もともと農業ICTクラウドサービスの「センシング機能」を活用していました。ハウスに設置したセンサーを通じて、ハウス内の温度・湿度・炭酸ガス量・照度などを遠隔から見える化し、異常があった場合には手もとのスマートフォンで警報メールを受信。それを品質管理に役立ててきたのです。

センシングしたデータは、クラウド上に記録・蓄積されるため、それを見ながら生産者同士が改善点を検討することも可能。品質や収量向上のためのノウハウの共有に役立ちます。「実際、プレミアムフルティカトマトの栽培開始当初は、品質面で出荷できないトマトも少しありましたが、生産者同士で意見を持ち寄り、改善を繰り返した結果、今では品質のばらつきがなくなり、味の面で出荷できないトマトは1つもありません」と向後農場でプレミアムフルティカトマトを担当する植草 宏行氏は言います。

この農業ICTクラウドサービスに灌水制御が加わると聞き、同社は採用を決定。灌水制御機能の最初の導入企業となりました。

「センシング機能を利用した際にも感じたことですが、何よりスマートフォンで利用できる点が魅力です。起床して、ハウスに到着する前に、ハウスの状況や昨日までの実績データを確認して、その日の作業計画を立てることができる。他にも似たようなサービスはありますが、専用端末が採用されており、大きさ、重さ、画面のわかりやすさでは、スマートフォンにかないません」と向後氏は採用の理由を語ります。

また、NECとネポンが共同開発したサービスであることも採用を後押ししました。

「どちらもITと農用機器の分野で日本を代表する企業です。両社が開発したサービスなら安心して利用できると感じました」(向後氏)

導入ソリューション

灌水回数や灌水量をPCやスマートフォンで設定し自動で実行

農業ICTクラウドサービスは、NECの持つM2M(Machine to Machine)技術などを駆使し、農業の生産性向上や農産物の品質改善に貢献するサービスです。クラウドサービスであるため、サーバなどの資産を持たずとも迅速かつ低コストに利用を開始できます。

今回、強化した灌水制御機能は、クラウド経由でハウスに設置した灌水装置を制御できる機能です。何時から何時まで動作させるのか、どのくらいの間隔で作動させるのか、どのくらいの時間水をやるのかといった灌水に関わる詳細な設定を、1日48パターンまで、PC画面から設定できます。

また、灌水情報はクラウドに自動記録。蓄積したデータをPCやスマートフォンから確認し、今後の灌水設計にも活用したり、複数のハウスの灌水データを一元的に閲覧したりすることも可能です。

一般的に灌水装置は1台の灌水制御盤当たり8バルブが上限となりますが、農業ICTクラウドサービスの灌水制御は32バルブまで対応。大規模な圃場への対応や、同一圃場内でのより細かな灌水制御を実現することができます。

給水用タンクなどの給水システムに設けた弁。バルブの開閉によって水の流量をコントロールし、作物に対する供給水分量を調整する。

※給水用タンクなどの給水システムに設けた弁。バルブの開閉によって水の流量をコントロールし、作物に対する供給水分量を調整する。

導入後の成果

省力化でトマトの世話に専念。個人に蓄積したノウハウの数値化も実現

ICTクラウドサービスの灌水制御機能によって、まず変わったのが農作業の効率です。

「遠く離れた3カ所のハウスを回りながら、灌水の設定や記録作業を行うのはとても時間がかかっていました。現在は、従来の装置よりも簡単に灌水の設定を行うことができる上、手作業で行っていた記録作業が自動化したことで、農作業の手間を大きく省力化しています。省力化によって生まれた時間で、自分の目で見て、手で触って状態を確かめる時間が増えるなど、より丁寧にトマトの『世話』を行えるようになりました」と植草氏は言います。

また、「感性を養うために農作業の基本は現場で行うことが大切」と前置きしつつも、遠隔から灌水制御を行えるようになった点も大きなメリットだと向後氏は言います。「気象の急変や上司や先輩の指示によって、急に灌水設定の変更が必要になることも考えられます。スマートフォンから状態を確認し、すぐに設定変更を行える農業ICTクラウドサービスなら、現場に足を運ばずともすぐに対応できます」(向後氏)。

もともと設定していた値に対して、パーセンテージで灌水量を増減する機能、任意の時間の灌水だけをスキップさせる機能など、柔軟な灌水制御を行うための機能も充実しています。

さらにクラウド上に記録・蓄積したデータを確認して、経験の浅い生産者などに正確な指示を出したり、分析して栽培ノウハウを数値化することもできます。具体的には「少し多めに水をやる」としか表現できなかった指示も「何ミリリットル多めに」と伝えることが可能。次いで温度・湿度・炭酸ガス量・照度、そして灌水実績などを分析することで傾向を把握し、「こういう条件が続いたときは、こう対処した方がよい」といったノウハウを抽出し、品質・収量の向上に役立てることができるのです。

「高級品に近いフルーツトマトを手軽に買え、日常的に食卓にのぼる食材の1つにしたい。プレミアムフルティカトマトには、フルーツトマトの新しい市場を作りたいという私たちの願いが込められています。そのためには手間のかかる灌水作業を省力化し、勘や経験に頼らない作業精度の向上を図る必要がありました。今回のシステム整備でその基盤ができあがったと感じています」と向後氏は強調します。

今後の展望

窓の開閉など、遠隔からのハウスの環境制御にも取り組む

和郷園様では、農業の可能性を広げるため、関連企業を通じて技術やノウハウを提供する農業指導事業も行っています。この農業指導にも農業ICTクラウドサービス、および灌水制御機能は大いに貢献しています。

「現在、5件のお客様が同様の仕組みを導入しています。トマトのできがよくないといった相談に乗る際、これまでは大量の手書きのレポートを確認しながら話をしなければなりませんでした。しかし、現在はグラフを見れば一目で状況を把握できます。この取り組みを拡大すれば、より多くの生産者にノウハウを正確に伝えたり、広範かつ大量のデータから気候風土に応じた栽培方法を導き出すなど、より高度なノウハウを抽出することも可能。新たに農業に参入した生産者でも失敗することなく高品質な作物を栽培できるようになり、フルーツトマトの新市場創出活動にも一層弾みがつきます」と向後氏は言います。

また、今後は灌水制御だけでなく、遠隔からのハウスの環境制御にも取り組む計画です。例えば、ハウスの窓の開閉、加温機や二酸化炭素発生器の稼働なども遠隔から制御できるようになれば、農作業の省力化も進みます。「センサーと連動させて環境制御を自動化することもできるでしょう。NECには、生産者をサポートし、農業の工業化を推進する提案に期待しています」と向後氏は述べます。

先進的な取り組みで、農業の新しい可能性を追求する和郷園様。効率的な農作業、勘や経験に頼らない農業を目指す同社の取り組みにNECのICTが大いに貢献しています。

お客様プロフィール

農事組合法人 和郷園

所在地 千葉県香取市新里1020
設立 1998年11月
資本金 2,000万円
事業概要 直営・契約農家の栽培した農産物を消費者の手に直接届ける次世代型農業を目指し、加工事業、販売事業、リサイクル事業などを幅広く展開する。安全・安心とおいしさを追求するため、生産者の技術向上はもちろん、農業生産工程管理(GAP)の順守・公開にも努めている。また生産者、取引先、消費者との関わりを広く世界に求め、海外展開による農業のさらなる可能性追求にも積極的に取り組む。
URL http://www.wagoen.com/

(2013年10月1日)

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