Japan

関連リンク

関連リンク

関連リンク

関連リンク

サイト内の現在位置

立教大学 権安理ゼミナールと日本のコミュニティ事例を探求する

NECスマートシティ

立教大学コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科 権安理ゼミナール(以下、立教大学 権ゼミ)と日本電気株式会社(以下、当社)は、地域・人々が互いに支え合い、充実した生活を送れるまちの実現に向けて、まちのウェルビーイング向上を目指すコミュニティデザインをテーマとした産学共同での取り組みを実施しました。

本取り組みでは、日本国内に点在するコミュニティの事例を複数調査し、それらの特徴や傾向を分類するために、独自のコミュニティ指標を策定しました。この指標に基づき、世の中にあるコミュニティ事例を16パターンに分類することで、それぞれの特性に応じたコミュニティ活性化につながるヒントを提供いたします。

背景

コミュニティは、ウェルビーイングの実現に欠かせない要素として、まちづくりにおいてますます重視されています。一口にコミュニティといっても、その形は多様であり、伝統的な地縁組織だけでなく、特定の目的を共有する団体や、日々の暮らしの中で自然に発生する緩やかなつながりまで、多岐にわたる形があります。

当社は公共デザインを研究テーマとする立教大学 権ゼミと共同で、様々な形態のコミュニティに関する現地調査と事例の分析をおこなうことで、コミュニティの形を分類しながら捉えなおし、そこから多くの気づきを得ることができました。

取り組み手順

以下の4段階を経て、コミュニティの新たな分類指標の策定、およびコミュニティ診断ツールの設計に至りました。

第一段階では、数十のコミュニティ事例についてデスクトップリサーチを実施し、そのコミュニティが持ち合わせる多様性(バリエーション)を考慮しながら代表的な事例を複数抽出しました。この段階では、利用者属性や地理的条件などの制約を設けず、幅広い視点から調査を行いました。

第二段階では、抽出された代表事例の現地調査を実施しました。特に、コミュニティ運営者様へのヒアリングを通じて、より深いコミュニティの理解を得るために、立教大学 権ゼミの学生たちと共に調査をおこないました。そこから得られたインサイトをもとに、コミュニティデザインの粒度や、コミュニティ内で生まれるストーリーの密度という新たな観点を視点に盛り込む形で検討を進めました。本段階に参画いただいた学生からは、以下の感想をいただいています。

現地調査を通じた気づきに関する学生からのコメントの一部を以下に記載します。

  • 「関係人口はお金では買えない」という運営者様のお言葉が印象的であり、人を通じて地域の価値を創造することのリアルを知る機会となった。
  • カフェでコミュニティを生み出すために、スタッフ業務に日記を取り入れるなど、運営面でも様々な仕掛けが施されている点に学びを感じた。

第三段階では、現地調査での気づきを活かし、立教大学 権ゼミが中心となりコミュニティの分類指標を検討した結果、4つの指標の設定に至りました。これらの指標を基に、世の中のコミュニティ事例を16パターンに分類することで、それぞれのコミュニティにおける特性や傾向を把握することが一定可能になると考えています。

(画像:立教大学 権ゼミで検討した4つのコミュニティ分類指標)

第四段階では、これまでの取り組みをより広く周知するために、ウェブベースのコミュニティ診断ツールを制作しました。このツールでは、上記4つの軸に関する質問に対する回答から、ユーザーが所属するコミュニティのパターンや特性などを診断することができます。対象は狭義のコミュニティのみならず、学生時代からの友人、仕事仲間、共通の趣味を持つサークル活動など、幅広く診断いただけます。このツールを通じて、コミュニティの特性だけでなく、そこに内在しているコミュニティの魅力をも発見することができるものになると考えています。

上記診断ツールはWEBサイトにて公開しており、どなたでもアクセスいただくことが可能です。

zoom拡大する
(画像:コミュニティ診断ツールの様子)

おわりに

立教大学 権ゼミとの協同での取り組みを通じて、まちづくりにおけるウェルビーイング向上のために、多様な形態と特性を持つコミュニティのあり方や、その運営手法について、深い理解を得ることができました。特に、コミュニティ運営においては、その空間をどうデザインするかという観点のみならず、その場の運営ルールの策定や、それらを駆動させるコミュニティ関連データの活用に至るまで、非常に幅広い手法が存在することを実感しました。

さらに、学生たちの視点からコミュニティを独自に分析することで、コミュニティデザインにおける新たな視点を獲得することができました。具体的には、コミュニティデザインにおける粒度の大切さ、コミュニティ内で描かれるストーリーの重要さという新たな気付きを得ることができました。日常の生活では捉えることが難しいコミュニティの一面を、学生の感性豊かな視点を通じて、鮮やかに言語化された素晴らしい成果であったと振り返ります。

今後も、多様なステークホルダーとの連携を深めながら、まちとそこに住まう人々のウェルビーイングを高めるための重要な要素であるコミュニティについて知見を蓄積し、社会に貢献していきたいと考えています。

共同研究者からの講評

立教大学コミュニティ福祉学部 コミュニティ政策学科 准教授 権安理(コミュニティ政策学科長)

この取り組みは、産学協同という形のプロジェクトです。学生と教員がNEC社員様にフォローして頂きながら作り上げた「知」のアウトプットが、このコミュニティ診断ツールです。したがって、このツールは大学内での研究成果とは異なる社会的な価値を持っていると言えますし、「社会の大人」と協同することを通じてゼミ生が大きく成長することもできました。
このツールを作成するにあたり、大学教員として次の3点を目標として掲げました。大学で勉強した知を前提としながらも、それを自分たちでしっかりと咀嚼することで実現される目標です。①難解な専門用語を使わないで診断ツールを作る。②親しみやすく美しくデザインしながらも、背景知には学術的な強度を持たせる。③ツールの普及を通じて、子どもから大人まで誰もがコミュニティを考え、それに関わることに貢献する。
上記の目標を実現するために、この診断ツールは4つのバージョン(版)を持つことになりました。「コミュニティver.」と「コミュニティメイトver.」では、可能な限り日常言語に置き換えられた名称や説明が採用されています。「ドリンクver.」「宝石ver.」では、一見するとコミュニティとは無縁なたとえが使われることで、コミュニティを直感的・感覚的に理解できるように工夫されています。3つの目標のうち①②は概ね達成できたと評価していますが、③についてはまさにこれからです!
このツールを通じて、コミュニティデザインが日常生活の「楽しみ」となっていくことができれば、大学教員としてこの上ない喜びです。

学生からのコメント

立教大学コミュニティ福祉学部 コミュニティ政策学科 権安理ゼミナール所属:ゼミ長 大橋七香(プロジェクトリーダー)

今回の取り組みを通じて、「コミュニティとは何か」という原点に立ち返ることができました。この診断ツールを作成するにあたり、コミュニティを形成する要素を導出・分析しましたが、「地縁型や目的型」といったハード(形式)の要素よりも、メンバー間の関係性がどのように醸成されたかというソフトの要素が重要だという大きな気付きを得ました。立教大学 権ゼミで議論を重ねて精緻な分析をしていきながらも、学生ならではの独創的なアイデアを詰め込んだツールに仕上がったと思います。多くの人に活用してもらい、コミュニティの理解を深める一助となれば嬉しいです。

立教大学コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科 権安理ゼミナール所属:副ゼミ長 美濃部里紗(プロジェクトリーダー)

改めてコミュニティについて考える機会となりました。人の集まりはコミュニティという言葉で普遍化できますが、その一つひとつを丁寧に調査・分析するとそれぞれに特徴があることが分かりました。また考察をしていく過程で、コミュニティが上手くいく要因には共通点や相違点があることが実感できて興味深かったです。診断ツールでは、コミュニティの特性ごとの分類や改善点を的確に言語化することができたのではと感じています。このツールを通じて立教大学 権ゼミの活動が、コミュニティをより良くするための力になれたら嬉しいです。

立教大学 権安理ゼミナールについて

公共デザインについて研究を行うゼミナール。公共を「私的な関係とは違うオープンなつながりでありながら、社会問題に挑む可能性を持った関係性」と捉え、①人のつながりのデザイン ②空間や場所のデザイン ③モノやコトのデザインという3つの観点から、その可能性について研究・構想する。

  • 立教大学コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科 権安理ゼミナール
    立教大学 権ゼミのHPは new windowこちら
    立教大学 権ゼミのインスタグラムは new windowこちら

お問い合わせ

Escキーで閉じる 閉じる