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リスボン市様
インテリジェント・マネジメント・プラットフォームですべての情報を統合
リスボン市をより快適で心地よい都市に改革
- 業種:
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- 地方公共団体・官庁
- 業務:
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- 設計・開発・製造
- 製品:
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- ソフトウェア/セキュリティ
- ソリューション・サービス:
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- セキュリティ/セーフティ
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事例の詳細
はじめに
伝統的な遺産を持つポルトガルの美しい首都リスボン市。国際的な観光都市として有名な同市は、ヨーロッパを代表するスマートシティとして進化しています。リスボンを住みやすく持続可能な都市にするための取り組みの一つとして同市を支えるのが、さまざまなデータを統合管理する「リスボン・インテリジェント・マネジメント・プラットフォーム」です。AIやIoT技術により街中のデータを収集し、分析。市民や観光客によりよいサービスを提供するとともに、公共の安全やモビリティ、省エネルギー、廃棄物の管理、および効果的な運営をより高いレベルで実現します。
リスボン市は代表的なスマートシティになることを目指し、ロンドンやミラノとともに、ヨーロッパ・シェアリングシティ・プロジェクトに加わりました。いま、リスボン市の中心部では先進的な手法や技術を活用したさまざまな試みが行われています。
課題
複数のシステムに散らばっていたデータの統合管理を目指して
リスボン市は、毎日100万人の旅行者を受け入れながらも、50万人の市民の生活の質(Quality of Life、以下QOL)改善を目指すという、大きな課題に直面していました。QOLに関わるデータを参照することがよい都市経営の鍵となることは分かっていましたが、そのデータは、部局ごとの異なるシステムと複雑で融通の利かないネットワーク上に散らばっていました。
リスボン市は、データを活用して市民に提供するサービスを改善することにより、未来を見据えて同市を「スマートシティ」にするという革新的なプロジェクトに着手しました。このプロジェクトで重要なのは、散らばっているデータとそのシステムを統合するスマートシティの基盤を構築するためのパートナーを探すということでした。検討の結果、同市の要件を十分に満たしたNECと協働することを決定しました。
「SDGs(持続可能な開発目標)の11では、安全な交通、効率的なリソース管理、そして更なる持続性や回復力について述べています。リスボンはこれに積極的に取り組み、そしてそれを達成するためのパートナーを必要としていました。」とリスボン副市長のミゲル・ガスパー氏は言います。「NECの提供するプラットフォームにより、我々はプロセスを改善することができ、すべてのコミュニティからアクセスできるようになりました。」
ソリューション
関連データを統合、管理、表示するためのリスボン市のプラットフォームを構築
リスボン市と協力し、NECは、自治体の情報システムや30以上の官民の機関から集められた関連データを、統合、管理、表示するスマートプラットフォームである「リスボン・インテリジェント・マネジメント・プラットフォーム」を構築しました。このプラットフォームは、複数の部局のシステムにある情報を統合できる、新しい概念のデータ構造やアーキテクチャを持ちます。
つまり、複数のフォーマットのシステムにアクセスした上で一元的に管理されるため、主要なデータ指標や傾向を表示することができ、自治体の活動を統合的に管理することが可能になっています。
「現在、市の管理者は過去に例のない課題に直面しています。近代都市が直面する多くの問題について、市民はより迅速な対応を求めています。政府への積極的な働きかけや、他機関と一体となった協働などは、インテリジェント・マネジメント・プラットフォームによるデータ統合があればこそ可能になるものです。」とリスボン市のチーフデータオフィサーであるジョアン・トレモセイロ氏は語ります。
「リスボン・インテリジェント・マネジメント・プラットフォームによって、さまざまな情報を集めることが可能になり、過去から学ぶとともに未来を見通すことができるようにもなりました。」とジョアン・トレモセイロ氏は言います。また、このプラットフォームによって同市は、交通量や交通システム、廃棄物管理システム、および警察、消防隊、市民保護といった公共安全サービスの提供者の監視・管理もできるようになりました。
リスボン・インテリジェント・マネジメント・プラットフォームは、オープンソースミドルウェアFiwareに実装されたIoT技術とAPIを利用し、データを収集、保存、分析しています。
オープンで、ベンダーにとらわれないというのがFiwareの重要な利点であり、今後リスボン市は、特定のサプライヤーの技術などに制約される心配はありません。
「リスボン・インテリジェント・マネジメント・プラットフォームがオープンなアーキテクチャのプラットフォームであることは、とても重要です。オープンであることによって我々は、他の組織、大学、パートナーと簡単にデータを共有できるだけでなく、ベンダーの固定化を避け、異なるサプライヤーから調達した新たな部品をつなぎ合わせることができます。」とジョアン・トレモセイロ氏は言います。
導入以来、リスボン市の管理業務は明らかな改善を見せています。「IoTセンサーを通して収集されたデータが分析され、サービスマネージャーや利用者にとって役立つ知見となることで、多くのサービスの効率が向上しています。」とNECポルトガルのジェネラルマネージャーであるジョアン・フェルナンデス氏は説明します。
各所に設置されているセンサーや監視カメラで捉えられたデータが、今やリスボン市の安全や業務効率を効果的に向上させています。例えば、警察車両に取り付けられたセンサーはその正確な位置がリアルタイムに追跡できるので、事件発生時に最適な車両を迅速に派遣するために使われています。
廃棄物管理の分野では、市内にあるおよそ2000個のスマートごみ箱に搭載されたセンサーが、ごみ箱が一杯になると通知します。ごみ箱がいっぱいになった時のみ収集を行えばよいので、収集作業やリソース管理の効率が向上しました。
リスボン・インテリジェント・マネジメント・プラットフォームにより、リスボン市はまた、交通渋滞の問題を軽減し、きれいな空気、健康、福祉といった面でも恩恵を受けています。リスボンのeモビリティの取り組みとして、公共の電動自転車のシェアリングスキームを利用して、車や他の移動手段から、自転車や電動アシスト自転車への転換を促進しています。
「利用者に貸し出される際には、すべての自転車がモバイルアプリと連動するようになっています。モビリティ管理者にて、各パーキングステーションに何台の自転車があるか、何台の自転車が使われているかをリアルタイムに把握することで、モビリティについて洞察し、適正に対処することができます。」とジョアン・フェルナンデス氏は説明します。
改善のもう一つの分野は、リスボン市の公共の安全です。映像分析によって異常行動を素早く察知することができ、救急サービスの提供者にリアルタイムでのサービス提供を可能にします。これにより、さまざまな政府機関が事件に対応できるようになり、公共安全に携わるさまざまな機関の連携と協力が可能になっています。
「インテリジェント・マネジメント・プラットフォームをすべての救急サービス従事者と統合することで、警察、消防、市民保護といったさまざまな機関の連携が実現し、事件の種類ごとにワークフローを自動化することも可能になりました。すべての機関は、事件の発生時に自ら積極的にそれぞれの種類の事件に対処できるようになっていますし、我々は、適切な対応がなされているか状況を確認することもできます。」とジョアン・フェルナンデス氏は言います。
導入後の成果
都市経営の改善により、快適で住みやすい持続可能な都市に
NECのプラットフォームにより、リスボン市は、モビリティ向上や安全の確保、効率的な都市管理、関連機関の連携を実現するとともに、市民のQOLを大きく向上することができています。
ミゲル・ガスパー氏によれば、「このプロジェクトの最大の成果は、リスボン市と市民の間によりよい関係を築いたことです。それにより、すべての情報が統合され、その情報にすべての人がアクセスできるスマートシティを創造することができました。リスボン市は、より持続可能でレジリエントな都市となったのです。」
すべての人にとって、より快適で心地よい都市になったリスボン市。NECのリスボン・インテリジェント・マネジメント・プラットフォームは、その改革に重要な役割を果たしています。
ポルトガル リスボン市 スマートシティ事例 [02:32]
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(2019年10月10日)