Japan
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米国警察機関・生体認証
アメリカの社会をNECの生体認証技術で
より安全に、より快適に変えていく。


プロジェクトメンバー
石川 樹
セーファーシティソリューション事業部
ソリューションエンジニアリング部
2004年入社
管理工学科卒
小学校6年生から高校卒業までアメリカで暮らした帰国子女。海外での生活を通して日本人としてのアイデンティティを強く意識するようになり「日本発の技術で世界をより良くしていくことに貢献したい」という想いからNECを志望。入社後はSEとして主に警察機関向けの犯罪捜査システムの開発導入プロジェクトに携わり、米国赴任も経験。現在はNECの優れた生体認証システムをグローバルに普及させるための先導役を担っている。
※2020年3月公開。所属・役職名等は取材当時のものです。
プロジェクトの概要
米国ロサンゼルス郡保安局への犯罪捜査のための生体認証システムの開発導入。2010年代半ばからスタートし、石川がリードして2018年より稼働。NECの生体認証技術の実力を知らしめ、その後、空港における顔認証システムの導入など、いまNECが掲げる「NEC Safer Cities(*)」を実現するための案件に次々とつながる契機となったプロジェクトである。
*NEC Safer Cities:フィジカル空間とサイバー空間の両方から、安全・安心・快適な社会を目指すNECのビジョン
米国の警察機関にNECのソリューションを。
NECが実績を持ちながらも、市場の開拓が停滞していたアメリカでの警察機関向けの犯罪捜査システムにおいて、一気に挽回すべくロサンゼルス郡保安局の案件獲得に挑む。
受注後のプロジェクトマネジメントに問題が発生。
高度な生体認証技術をもとにした提案で契約を獲得したものの、お客様へのシステム開発導入プロジェクトが難航。急遽、石川がアメリカに渡ってプロジェクトを立て直すことに。
お客様とスタッフに深く関わってゴールへ。
不信感を抱いていたお客様に、誠意と論理を持って接することで、信頼関係を回復。またプロジェクトのスタッフに対しても、彼らのモチベーションを高めるチームマネジメントに尽力。
高度な認証技術が迷宮入り事件を解決。
苦労の末に生体認証システムを無事にリリース。稼働後一週間で、それまでのシステムでは実現できなかった指紋の照合に成功し、2件の迷宮入り殺人事件の解決などに寄与。
生体認証技術を、他のマーケットへ。
このプロジェクトの成功が評判を呼び、全米からNECの生体認証技術への注目が集まるようになった。空港における顔認証システム導入などの新たなプロジェクトが続々と進行している。
プロジェクトストーリー
米国で挽回するために。
この案件を絶対に獲得する。
舞台はロサンゼルス。そのプロジェクトは、NECが米国市場で巻き返す絶好のチャンスだった。NECは早くから、アメリカの警察機関に向けて犯罪捜査のための指紋認証システムを開発提供して実績を上げていた。しかし米国の有力な競合の出現にともない、徐々に苦戦を強いられるようになった。そんな折、ロサンゼルス郡保安局が犯罪捜査システムを一新するという情報をキャッチし、総力を挙げてこのプロジェクトを獲得しようと動き出す。それをリードしたのが、当時、NECの米国法人に出向していた石川だった。「NECは『顔認証』の精度で世界一の評価を獲得するなど、技術力には他に負けない自信があった。それを米国内でアピールするためにも、このプロジェクトは絶対に外せないと思ったのです」。

提案が認められ、見事契約。
しかし、プロジェクトは混乱した。
犯罪捜査をより高度化・効率化するためには、指紋認証だけではなく、顔認証や虹彩認証なども合わせた生体認証システムが必要だ。そう考えた石川たちは、NECが誇る生体認証技術を盛り込んだ設計提案を行った。その内容が当局に認められて見事に契約を勝ち取り、現地の競合からのリプレイスに成功。その後、石川は受注したシステムの開発導入を米国人のマネージャーに託して日本に帰任することになったが、プロジェクトは難航。「それまで前例のない高度な開発案件に米国法人のスタッフたちが混乱し、プロジェクトの進捗が滞るようになり、お客様である保安局との関係が悪化しつつあった。このままでは頓挫しかねないと、急遽、私が米国に渡ってプロジェクトを立て直すことになりました」。

プロジェクト成功の秘訣。
それは国が違っても同じ。
石川が前任からプロジェクトマネージャーを引き継いた当初、ロサンゼルス郡保安局の担当者たちはNECに対して不信感を抱き、感情を露わにして改善を要求してきた。石川は以前の米国赴任中、現地で警察機関向けのシステム開発プロジェクトを率いて成功に導いた経験がある。そこで実感したのは、プロジェクトマネジメントの本質は日本も米国も変わらないということ。「相手に誠意をもって接し、論理的にコミュニケーションして正しい意見をきちんと伝えれば、どんなお客様とも必ず理解しあえる。スタッフに対してもそう。失敗しても悲観せず、とにかく小さな成功体験をみんなと共有することで、チームの力を高めていく。そうした取り組みを重ねてプロジェクトを再び軌道に乗せていきました」。

システム導入で驚異的な、
成果が上がり、全米が注目。
石川の奮闘の甲斐あって、ロサンゼルス郡保安局への生体認証システムへの導入は無事完了。「新システムに切り替えて処理がスタートした瞬間は、思わずお客様とハイタッチして喜びをわかちあいました(笑)」。そしてこのシステムは予想外の実力を発揮する。これまで事件現場で採取した遺留指紋を、逮捕歴のある犯罪者指紋と照合した結果、稼働後の最初の1週間で、2件の迷宮入り殺人事件を含む計107件の未解決事件の解決に寄与。「それまでのシステムでは照合できなかったことが、NECの高度な生体認証技術によって実現できた。お客様もたいへん驚かれ、私自身とても誇らしい気持ちでした」。この実績が全米で大きな評判を呼び、NECに対して新たな生体認証案件のオファーが続々と寄せられた。

ゲームチェンジャーとして
我々は社会を変えられる。
いまやNECの生体認証システムは、米国の警察向けだけではなく、空港などの公共機関にも新たに展開されている。すでにある主要空港では、NECによってチェックインから保安検査、機内への搭乗まで、すべて顔認証で行えるシステムを実現。「いま我々は、これまでの社会のルールを生体認証技術で変えていく、まさに“ゲームチェンジャー”になっている実感があります。日本発の技術で、世界中の人々が安全安心に暮らせる新たな社会価値を創造していく。こんなにやりがいのある仕事は他にないと思いますね」。NECが世界を変えていくためには、グローバルでプロジェクトを牽引できる人材がさらに必要だと言う石川。これからNECに参画する新しい人材に、ぜひそれを担ってほしいと願っている。
