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NEC、JAXA惑星分光観測衛星「ひさき」運用完遂に貢献
~長年にわたり惑星観測を支えた小型科学衛星用標準バス~2023年12月18日
日本電気株式会社
NECは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の惑星分光観測衛星「ひさき(SPRINT-A)」(注1)について、2013年の打上げ以降、10年と3か月にわたる惑星観測運用の支援、並びに停波運用の支援を終え、同観測衛星の運用完遂に貢献しました。
「ひさき」は、2013年9月14日にイプシロンロケット試験機で打上げられ、搭載したEUV(極端紫外線)分光器により火星・金星や木星等の超高層大気の観測を続け、火星の大規模な砂嵐時の観測から示唆される火星生命環境の知見の獲得や木星磁気圏観測からなされたスペクトル診断による粒子加速メカニズムの理解など、数々の科学的成果を創出(注2)しています。
2023年12月8日に停波運用を実施、その後停波の確認を行い、全ての追跡業務を停止しました。
NECは、「ひさき」の衛星システム設計・製造、運用支援等を担当し、「ひさき」に初めて採用された小型科学衛星用の標準バス(注3)の開発にも貢献しました。
設計寿命の1年をはるかに超える10年間にわたり、高い指向精度が求められる惑星分光観測において、この標準バスは数々の科学的成果の創出を支え続けました。
その後、標準バスはジオスペース探査衛星「あらせ」(注4)にも採用され、NECが「あらせ」の衛星システム設計・製造等を担当しました。
NECの「ひさき」プロジェクトマネージャー川口昭良は、「このたび無事に停波運用を終えることができました。また、10年を超える運用期間において多数の国内外衛星との協調観測を含めて、ひさきの惑星観測を支え続けることができ安堵しています。ご指導いただいたJAXA 宇宙科学研究所様に感謝を申し上げます。NECは他の科学衛星にも深いかかわりがありますが、引き続き日本の宇宙科学の発展に寄与していきたいと思います。」と述べています。
NECは今後も人工衛星や関連システムの提供を通して、日本の宇宙科学の発展に貢献していきます。
以上
- (注1)惑星分光観測衛星「ひさき(SPRINT-A)」
2013年9月14日にイプシロンロケット試験機にて打上げられた、世界初の、極端紫外線分光器搭載惑星観測用宇宙望遠鏡。
金星や火星等の地球型惑星の大気と太陽風の相互作用を調べ、また、木星の衛星イオから流出するプラズマを観測することにより、初期の太陽系環境や木星プラズマのエネルギー源を調べる。
「ひさき」は、小型科学衛星用の標準バスを採用し、衛星質量348kg、指向精度5秒角で三軸姿勢制御、発生電力900W(ミッション終了時)、軌道高度は近地点950km・遠地点1150km、地球周回約106分の小型科学衛星。
https://www.jaxa.jp/projects/sas/sprint_a/index_j.html - (注2)
- (注3)「ひさき」で初めて採用された小型科学衛星用の標準バス
JAXAが開発した200kg級の科学用の小型バス。通信・電源・姿勢制御など衛星の基幹(バス部)の各部をモジュール化し、それらを通信ネットワークの国際規格スペースワイヤで接続している。このモジュールを組み替えることで科学的な目的に合った衛星を柔軟に短期間、低コストで開発することを目的に開発された。 - (注4)ジオスペース探査衛星「あらせ」(ERG)
2016年12月20日にイプシロンロケット2号機にて打上げられたヴァン・アレン帯に存在する高エネルギー電子の生成過程を直接観測するための探査衛星。(現在、運用中)
地球近傍の宇宙空間であるジオスペースには、メガエレクトロンボルトを越える高エネルギーの粒子が多量に捕捉されている放射線帯(ヴァン・アレン帯)が存在している。「あらせ」は、この放射線帯に存在する、太陽風の擾乱によって起こる宇宙嵐(放射線帯/電離圏/地磁気の乱れ)に伴う高エネルギー粒子の生成過程や、宇宙嵐発達の仕組みを明らかにするため、放射線帯中心部で高エネルギー粒子や電場/磁場を観測する衛星。
https://www.isas.jaxa.jp/missions/spacecraft/current/erg.html
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