NEC、人物行動のサンプル映像から類似行動を検出する「NEC Multimedia OLAP for 映像分析サービス」を提供開始 (2022年8月31日): プレスリリース

2022年8月31日
日本電気株式会社

NECは、人物行動の数枚程度のサンプル映像(注1)を登録するだけで、ライブカメラやアーカイブの映像の中から簡単に類似行動を検出できるPaaS型のサービス「NEC Multimedia OLAP for 映像分析サービス」を本日より提供開始します。

昨今、カメラ映像の活用ニーズは飛躍的に拡大し、セキュリティ・セーフティー領域だけでなく、リテールや製造現場領域、ウェルネスや介護領域など、人物の行動を洞察することでより効果的な意思決定や経営戦略を導くための新たな映像データ活用が進んでいます。その中で映像からの行動傾向の分析や、特定行動に対して即応性が高い対処を最適化するための高度な行動検出技術への注目が高まっています。

従来の一般的な行動検出技術では、特定の行動を映像から検出するために、検出したい行動が映った映像を大量に集めてAIに学習させるなどの準備が必要であり、探したい行動をすぐに登録して検出することは技術的に困難でした。今回、NECはこの課題を解決する独自のオンデマンド行動検出技術(注2)を搭載したPaaS型のサービスを提供します。オンデマンド行動検出技術は、検出したい行動をサンプル映像として登録することで、さまざまな行動の検出が可能です。また、AIで推定した骨格情報について大きさや向きに依存しない独自の類似照合手法により被写体の向きに関わらず類似の行動を見つけ出せるため、数枚程度のサンプル映像で行動検出が可能です。これにより、検出パターンの管理運用の負担を軽減し、実用性の高い映像分析環境を実現できます。

NEC Multimedia OLAP for 映像分析サービス」の特徴

1.数枚のサンプル映像で簡単に類似の行動を検出可能

検出したい行動を撮影したサンプル映像を用意しオンデマンドに検出対象を追加していくことができます。従来の行動検出技術のように大量の学習データを用意して学習させる必要がなく、スピーディーで効率的な導入を実現します。

2.被写体の向きや大きさが異なっても、類似の行動を検出可能

AIで推定した骨格情報について大きさや向きに依存しない独自の類似照合手法による検索技術を新たに開発しました。これにより人物とカメラの位置関係を調整することが難しい場合でも高精度で目的の行動を検出可能です。 (注3)。

3.ライブ映像からリアルタイムに行動を検出可能

画像そのもの(面)ではなく、画像から推定した骨格の形状(十数個の関節点)を基に行動を照合するため、一般的な従来技術よりも計算量を抑えることで高速化を実現しました。これによりライブカメラの映像から目的の行動をリアルタイムに検出(注4)すること、また大量の映像アーカイブデータからの高速検索も可能になりました。

4.PaaS型のサービスとして提供

さまざまなニーズへ適用が容易なPaaS型のサービスで提供します。行動検出機能をREST APIで提供するため、映像分析で必要となる特別なインフラは不要です(注5)。

【提供開始時期】

製品名	販売価格(税別)	販売開始時期
NEC Multimedia OLAP for 映像分析サービス	月額料金(注6) 300,000円～	2022年8月31日

※
PaaS型のサービスとしてREST APIにより行動検出機能を提供

活用イメージ例(注7)

商業施設などでの来場者見守り・おもてなし

施設職員が、支援や声掛けが必要な来場者を探すための補助への活用。
例)

ATMの前など不自然な場所で「電話をしている人」を見つける
「倒れている人」を見つける
「車椅子に乗る人」が来場したことを検知する

作業者や運転者の行動分析や安全確保

特定の作業行動の検出結果を時系列データとして集計し、作業行動改善の分析に活用。
作業中や運転中に危険につながる行動を検知し警告する。
例）

製造現場での作業行動分析
危険行動や危険運転行動を検知し警告する

ウェルネスやスポーツ、エンタテーメントへの活用

例)

特定のフォームやポーズを検出して観察しトレーニングに活用。
スポーツ、エンタテーメントでのライブ演出への活用。

今回NECは、映像データ活用サービスの第一弾として本映像分析サービスの提供を開始しました。今後は、人物の外観認識や物体の認識技術を拡充して人物だけでなく人物とモノの認識を可能とし、また空間と時間軸で分析可能な映像分析サービスとして強化を進め、2025年度中までに100ユーザ以上の契約を目指します。また、オンプレミス環境やエンベデッド環境向けなどさまざまな提供形態への適用と、データドリブンな映像データ活用を促進する映像データ活用基盤事業として成長を目指します。

NECは、従来の映像分析技術では得られなかった事実の探索から新たな価値「インサイト」を見つけて活用するための技術開発を進め、安全・安心・効率・公平という社会価値創造に取り組んでいきます。

以上

(注1)
サンプル映像の登録と合わせて、検出精度に関わるパラメータなどの調整は必要になります。またサンプル映像は検出対象となる被写体本人の映像である必要はなく、顔認証のような個人認証技術ではありません。
(注2)
特許出願済み
(注3)
撮影時の位置や環境の影響を完全に排除するものではありません。また、人物の映っていない部位が多いと検出できない場合があります。
(注4)
REST APIの応答時間は、リクエストの多重状態やネットワークなどの経路上の遅延などが影響します。
(注5)
カメラ画像(静止画)の保存は行いませんので、利用者側で必要に応じて保存していただくことになります。
(注6)
使用するモデルの選定とその契約数は、本サービスを利用するシステムの構成や求める性能などの要件により異なります。
(注7)
カメラ画像の取扱いについては、個人情報保護法その他の法令および規則ならびに関係官庁などのガイドラインを遵守していたとしても、人権・プライバシー保護の観点で問題となることがあります。利用目的や利用方法において、人権・プライバシーの侵害とならないか確認が必要です。