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NEC、生体情報から従業員の長期ストレスの増加を早期発見可能な技術を開発

2018年4月6日
日本電気株式会社

NECは、ウェアラブルセンサを用いて取得した生体情報(注1)から、従業員の長期ストレス(注2)を段階別に高精度に推定する技術を開発しました。これにより、高いストレスリスクの早期発見を可能にします。

これまで、長期ストレスを把握する方法として最も一般的なアンケート(注3)は、数か月ごとの定期的な状態把握には有用ですが、回答者に負担がかかるなど、頻繁な実施は困難でした。また、ウェアラブルセンサから取得する生体情報を用いて、高ストレス者と低ストレス者を二段階で分別する技術では、高ストレスの兆候を検知することはできませんでした。

本技術は、心理学の知見(注4)から新たに見出した生体情報の特徴を用いて、段階別に高精度な長期ストレスの推定を可能にします。これにより、高ストレスの兆候を含めて把握することで、「高ストレスになることを未然に防ぐ」ことを実現します(図1)。

本技術は、例えば、従業員本人による日常的なストレス管理や高い負荷が予測される組織へのストレス軽減施策の実施などに貢献します。

NECは「社会ソリューション事業」に注力しており、社会を構成する人や組織の活動にヒューマンセンシング技術を活用することで、豊かな社会の実現に貢献していきます。

背景

従業員の心身の健康を維持、向上させることで企業の生産性を高めることは、企業経営の上で大きなテーマとなっています。労働安全衛生法の改正により、ストレスチェックの実施が義務化されているほか、最近では、経営課題の1つである「働き方改革」の一環として、従業員の健康管理に積極的に取り組む企業も増加しています。

従業員が抱える心身の不調の主要因の一つとして、長期的なストレスの蓄積が挙げられます。組織や従業員の健康管理上、長期ストレスの程度を雇用者や従業員本人が常日頃から把握し、対処していくことは極めて重要ですが、客観的に捉えることは容易ではありません。

従来から最も一般的な手法であるアンケートは、長期ストレスの程度を細かく導き出すことができる反面、回答者に負担がかかるなど、頻繁には実施できないことから、ストレスが高くなった人の発見が遅れるという課題があります。近年開発されたリストバンド型ウェアラブルセンサによるアプローチでは、取得した生体情報を用いて、ストレスが高い人と低い人の2段階に分別する技術は開発されているものの、ストレスが増加している過程など、細かなストレス状態の推定は困難でした。そのため、高ストレスになる兆候を検知することはできていませんでした。

今回、複雑な関連性を持つ生体情報から、機械学習により、長期ストレスに関するストレス値の細かい差異を表現できる適切な"生体情報特徴量"の抽出手法を開発しました。本手法により、長期ストレスを常時推定・把握できるため、高ストレス状態になることを未然に防ぐことが可能です。

新技術の特長

長期ストレスの細かな差異を捉える "生体情報特徴量"の抽出手法を開発
リストバンド型ウェアラブルセンサで取得した生体情報から、長期ストレスを精度よく推定するために、今回「一時的に大きなストレスを受けると、その後些細なこともストレスと感じてしまう」という心理学の知見を導入し、これを反映できるような長期ストレスの微細な差異を表す"生体情報特徴量"を考案しました。これにより、生体情報による推定で、アンケート結果に相当する細かで高精度な長期ストレス認識を実現します。

  • 「生体情報の時間経過による変化」を用いてストレスの細かな差異を表現
    長期ストレスの推定に用いる特徴量を生体情報から抽出する際、心理学の知見を用いて、1ヶ月単位の長期間にわたり生体情報の特徴に変化がない場合と、その期間中に大きなストレスを感じて変化がある場合を区別します。最近開発されたリストバンド型ウェアラブルセンサを用いる手法によって測定された生体情報の特徴に両者に違いがみられなくても、時間経過による変化をとらえることによって、長期ストレスの細かな差異を測定できます。その結果、高ストレスの兆候を含め高精度に把握できるようになります。

今回、リストバンド型ウェアラブルセンサを使いて、本技術を社内で検証したところ、従来技術と比較し、より正確に長期ストレスを推定できたことを確認しました(図2)。またアンケートによるストレス値と比較したところ、平均誤差±3.3で高精度に長期ストレスを推定できることを確認しました。これは高低2段階しか区別できなかった従来技術に対し、本技術では高ストレスの兆候を含めて6段階まで区別できることに相当します(図1)。

図1:長期ストレスを把握し「高ストレスになることを未然に防ぐ」

図2:生体情報の時間経過による変化を捉えることによる推定精度向上の例

なおNECは、今回の成果の一部に関して、3月20日(火)から23日(金)まで、東京電機大学 東京千住キャンパスにて開催される「2018年電子情報通信学会総合大会」において、22日に発表しました。
URL: https://www.dendai.ac.jp/event/2017/20171114-01.html

NECグループは、安全・安心・効率・公平という社会価値を創造する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進のICTや知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。

以上

  • (注1)生体情報:加速度、皮膚温度、皮膚電気活動
  • (注2)長期ストレス:
    長期的なストレス刺激(継続的な仕事量・質の過多、険悪な人間関係など)。
    血圧の変化、呼吸数の増加など体が変化した状態が長期間継続する。通常レベルに戻ることが困難となる。負荷がかかった状態が続くことにより、心身に不調をきたす可能性がある。
    一方で、短期ストレスは、短期的なストレス刺激(例えば、プレゼンテーションの前、締め切りの前など)。血圧の変化、呼吸数の増加など体が急速に変化する。刺激後、素早く通常レベルに戻る。
  • (注3)アンケート:
    Perceived Stress Scale(PSS)のアンケートを使用。世界で最も広く利用され、長期ストレスも反映されるなど信頼性が高いとされている。直近1ヶ月間の心理状態を回答し、ストレスの度合、長期ストレスかどうかを識別できる。
  • (注4)心理学の知見 :二次的なストレス評価。

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