2014年12月4日
日本電気株式会社
NECは、データセンター向けに、消費電力の大幅な削減を実現する「相変化冷却ユニット」を本日から販売開始します。 新製品は、サーバの排熱を効率的に移動させる冷却装置を、ラック背面ドアに装着するものです。冷却装置内の冷媒が、相変化現象により気化・液化を繰り返し、冷却装置と接続された配管を自然循環することで、電力を使用せずにサーバの排熱を室外に排出します。これにより冷却の効率を向上させ、空調電力を従来比で30%削減(注1)させることが可能です。
NECは社会ソリューション事業に注力しており、新製品を大学や研究機関などのHPC分野や、企業のクラウド基盤などに提供することにより、社会や企業活動を支える情報通信基盤の高度化と効率的な利用を支援します。 |
相変化冷却ユニット(ラック付)
背景
昨今、クラウドコンピューティングの浸透によりデータセンター市場が急成長するとともに、インフラとしての重要性は高まりつつあります。またCPUの高性能化、仮想化技術の浸透、サーバ設計技術の進化に伴い、サーバの高密度な搭載が可能となりました。
一方、サーバの高密度化に伴い、従来の空調器による冷却方式ではすべての排熱を処理することが困難になりつつあり、コスト効率の良い冷却対策が新たな課題として浮上しています。
新製品は、冷却に必要とされる電力を削減すると同時に、空調設備の強化をすることなくサーバ増設を可能とするもので、データセンター事業者がサービスコストを低減するための単位面積当たりの処理能力向上にも貢献します。
価格
製品名 | 価格(税別) | 出荷開始日 | ラックあたりの発熱量 |
相変化冷却ユニット(TYPE-A) |
800万円~ |
2014年12月26日 |
30KW向け |
相変化冷却ユニット(TYPE-B) |
550万円~ |
2014年12月26日 |
15KW向け |
※価格には標準的な配管施工費を含む。
※ラック筐体は別売り。
※希望に応じて熱対策のコンサルティングも提供可能。(別途費用がかかります。)
特長
- 電力不使用の冷却循環を実現
NEC中央研究所が独自に開発した「相変化技術」を採用し、冷却装置内の冷媒が、気化する際に熱を奪う原理によりラックの排熱を回収し、浮力により配管を通り室外へ移動。気化した冷媒は室外で熱を放出して液化し、重力で室内へ戻るため、電力を使わずに循環(自然循環)。さらに、ラックリアドアの受熱部を多段に構成し、最適な流路設計を行うことでラック内のサーバ毎の発熱量ばらつきがあっても冷却ムラを防ぎ、ユニット全体で高い排熱回収率を実現。
- 冷却に必要なラックあたりの空調電力を30%削減可能
2014年1月に開設した「NEC神奈川データセンター」では相変化冷却ユニットの導入部分において冷却に必要な電力を従来比で30%削減(注1)。一般的なシステムでは排熱の約50%を電力を使わずに室外へ運び出すことが可能。
- 既設のラックに取り付けが可能で、空調設備の強化は不要
新製品は、既設の一般的なラックに取り付ける(注2)ことにより冷却効率を向上させるため、既設の全体空調設備を強化することなくサーバ増設を行い単位面積当たりの処理能力を高めることが可能。HPC用途やNECの「Cloud Platform Suite データセンターパッケージ」(注3)に代表される高密度サーバの導入時の採用にも最適。
- 定期メンテナンスが不要
環境に配慮した安全性の高い冷媒(注4)を採用しているほか、循環系には機械的・電気的可動部がないため定期的なメンテナンスが不要。
NECは今後、3年間で本製品1000セットの販売を見込んでいます。
NECグループは、「2015中期経営計画」のもと、安全・安心・効率・公平という社会価値を提供する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進のICT技術や知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。
以上
(注1) NEC神奈川データセンターにおける試算。削減効果はファシリティ環境によって増減します。
(注2) 幅700mm、600mmのラックに対応。ユニットの取付けには配管工事が必要です。
(注4) 急性吸入毒性は米国環境保護庁ガイドラインに準拠で「実用上無毒」にランク。
本件に関するお客様からのお問い合わせ先