2014年8月25日
日本電気株式会社
NECは、テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:新宅祐太郎、以下 テルモ)に、C言語からFPGA(注1)回路を合成可能な設計ツール「CyberWorkBench(サイバーワークベンチ)」を提供しました。 テルモでは、現在開発中の、輸液管理用医療機器に用いる制御LSI(注2)の設計ツールに本製品を採用しました。これにより、同機器の設計期間を従来の手作業で回路合成する方法と比較して約6割短縮し、高い信頼性が求められる医療機器の開発を大幅に効率化しました。
NECは従来からCyberWorkBenchを国内外の製造業に提供しており、豊富な実績を有しています。NECは今後も本製品を、半導体を設計する様々な製造業に拡販し、企業の競争力強化に貢献してまいります。 |
背景
昨今、医療機器業界では、高性能・高信頼な機器を短期間に開発し市場に投入するニーズが高まっています。従来テルモは、医療機器の中核となる制御LSI(FPGAを使用)の設計時に、C言語で記述した機能を、要求性能を満たす回路に変換する工程を手作業で行っており、効率化が課題となっていました。
CyberWorkBenchについて
CyberWorkBenchは、C言語で記述したLSIの機能を、必要な回路規模(面積)・動作性能条件を満たす回路に自動変換することで設計期間の短縮を実現する高位合成・動作検証ツール群です。人工衛星・通信機器・基幹系サーバなど高い信頼性が求められる機器の制御LSI設計ツールとして利用実績を有しており、2006年の販売開始から現在に至るまで100社以上に導入されています。
CyberWorkBenchの特長とテルモでの導入成果
- 回路の自動合成により、高信頼な機器を短期間で設計可能
C言語で記述した機能を自動的に変換し回路合成が可能。これによりテルモでは、従来の手作業による回路への変換で課題となっていた、変換過程での誤り混入の防止や、仕様変更の度に発生していた回路修正作業の大幅削減を実現し、高い信頼性を有した医療機器の設計期間を8ヶ月から3ヶ月へと約6割短縮。
- 様々な規模・性能の回路をグラフで提示する機能により、最適な回路を容易に選択可能
必要な機能を記述したC言語から、様々な性能・規模の回路を合成し、グラフ上に表示する機能を提供。これによりユーザは、複数の合成回路の中から利用するFPGAの規模に収納可能、かつ最速の処理性能を有した回路を選択可能。
また、クロック周波数・面積・性能などの値を制約として入力するだけで、回路の規模や処理性能を変更可能となり、手作業による修正と比較して高信頼な回路を効率的に合成可能。
今後の展開
NECは、今回のテルモへの提供実績を活かし、本製品を医療機器業界をはじめ国内外の製造業に拡販し、今後2年間で200社への提供を目指します。
NECグループは、「2015中期経営計画」のもと、安全・安心・効率・公平という社会価値を提供する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進のICT技術や知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。
以上
(注1) FPGA: Field Programmable Gate Arrayの略。内部の回路構成を書き換えることができるLSIのこと。
(注2) LSI: Large Scale Integrationの略。特定の複雑な機能を果たすために、多数の素子を一つにまとめた集積回路。複数の端子を持つ小型パッケージに封入されている。
CyberWorkBenchについて
本件に関するお客様からのお問い合わせ先
NEC 組込みビジネス営業本部
TEL:03-3456-8408
NECは、社会ソリューション事業を推進する企業としてのグローバルブランドを構築するため、
新ブランドメッセージ「Orchestrating a brighter world」を策定しました。
本ブランドメッセージのもと、世界の人々と協奏・共創しながら、社会の様々な課題解決に貢献していきます。
