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NEC Analytics Challenge Cup 2025/NEC Analytics Challenge Cup for Business Idea 2025開催報告

開催期間:2025年6月23日〜8月1日

ビジネスの現場で、データ活用スキルに対するニーズがさらに高まっている。求められているのはデータサイエンティストのような高度な専門人材だけではない。他分野のエンジニア、さらには営業や企画職のような非エンジニアにも、自身の持つ経験やノウハウとデータを融合し、業務やビジネスを変革することが求められるようになっている。

データ分析コンテストは、データ活用スキルに磨きをかけようとしている人が実践的にスキルを習得し、成果を競い合う絶好の舞台となる。NECは長年「NEC Analytics Challenge Cup」「NEC Analytics Challenge Cup for Business Idea」というコンテストを開催し、その舞台を提供してきた。

NEC Analytics Challenge Cup は、予測精度コンテスト部門とデータ活用コンテスト部門を設け、前者は決められたテーマの予測モデルの精度を、後者はデータ分析から導き出すビジネスアイデアの価値を競う。

一方、NEC Analytics Challenge Cup for Business Ideaは、より自由度の高いアイデア企画コンテスト。経歴や職種に関係なく、幅広い参加者が柔軟な発想でビジネス変革アイデアの斬新さ、そして実現可能性を競う。

2025年の両コンテストは、北海道に本社を構える株式会社ツルハホールディングスと連携。札幌市内のツルハドラッグ店舗のPOSデータに加え、店舗属性データ、商品カテゴリーマスター、チラシキャンペーン情報など多様なデータのもと、参加者は売り上げ予測や店舗運営の課題解決に取り組んだ。また、アイデア企画コンテストは、ツルハドラッグの業務における生成AI活用に関する企画をテーマに設定した。

約1カ月のコンテスト期間を経て、NEC本社ホールで開催した最終審査会には3つのコンテスト部門のファイナリストが集結。その場で最終プレゼンを行い、最優秀賞を発表した。

審査にも参加したツルハホールディングスの山崎 大氏は、参加者のスキルの高さ、アイデアの鋭さに言及し、「ツルハドラッグの店舗運営を深く調査し、私たちの課題に真正面から取り組んでいただいた。地域性やお客様行動も分析した素晴らしい提案を、ぜひ実際のビジネスでも活かしたい」と述べた。またNECの孝忠 大輔は、主催者を代表し、今後もコンテストを継続し、多様な参加者が集い、新たな発想を育む場としてさらに発展させていきたいと決意を述べ、最終審査会を締めくくった。

予測精度コンテスト

最優秀賞

1位 ダイキン工業株式会社 チーム「ぴちょん君」

受賞コメント
ドラッグストア売上の時系列データに対して、LightGBMや勾配ブースティングなど複数の回帰モデルを用い、特徴量エンジニアリングを徹底しました。まず約200の特徴量を設計し、約70に絞り込むトップダウンアプローチを採用。また、休日や販促イベントの影響を精緻にとらえ、直近のトレンドに重み付けしたことで精度を高めました。

審査員コメント
まず200の特徴量をつくったという点が非常に興味深い取り組みでした。過学習を防ぐ判断を下した点、イベントや休日要因を的確にモデル化した点も注目できます。どのようなデータを追加すれば、さらに精度が上がる可能性があるのか、それを知りたくなるような分析と発表でした。

優秀賞

2位 NECソリューションイノベータ株式会社 加畑 悠太朗さん
3位 NECネクサソリューションズ株式会社 伴野 泰弘さん、江村 正樹さん、高田 一輝さん
4位 ダイキン工業株式会社 チーム「サウナ二郎」
5位 滋賀大学 データサイエンス研究科 岩口 智洋さん、後藤 晃郁さん、宮田 尚弥さん、林 孝彦さん、タショロヴ ダニエルさん

データ活用コンテスト部門

最優秀賞

「データ駆動型AAAのダイナミック店舗オペレーション」

日本電気株式会社 山口 雄大さん、株式会社錢高組 田中 英穂さん、株式会社豊田自動織機 井上 雅昭さん、ライオン株式会社 サリッディ プーチットさん、日本テレビ放送網株式会社 石原 岳拓さん

受賞コメント
店舗の業績不振という課題に対し、重回帰分析、ポートフォリオ分析、CRT分析などを駆使して根本原因を探りました。予測モデルが外れた店舗こそ次の打ち手のヒントととらえ、定性的要素である“現場力”に着目。データと現場力を融合させ、全員参加型で改善を回す仕組みを提案しました。

審査員コメント
予測精度が低い店舗にこそ定性的な要因が潜むという逆転の発想。ダッシュボードで店舗データを見ながら改善に取り組むという現場の店舗スタッフを巻き込んだ仕組み。どちらも非常に素晴らしいです。業績不振の店舗を「不器用な良い人」「ダイヤの原石」とネーミングし、現場が受け入れやすい工夫をしている点も感心しました。

聴衆賞&優秀賞

「近隣環境がツルハドラッグの売上・評価に与える影響分析」
日本電気航空宇宙システム株式会社 清水 孝太郎さん

優秀賞

「顧客に届く!購買動向に基づくターゲット施策の策定メソッド」
日本電気株式会社 鈴木 亘さん、杉崎 慶太さん、木村 竜之助さん、亀谷 恭介さん、熊谷 有可里さん

「アプリ会員で拓く!これからのドラッグストア戦略 ~健康食提案と地域共生で新たな価値を創造~」
NECネクサソリューションズ株式会社 小田 孝晃さん、佐藤 裕宣さん、辻端 尚史さん、纐纈 佳寿美さん、杉本 直樹さん

「『調剤×ついで買い促進』施策」
NECソリューションイノベータ株式会社 近藤 友樹さん、鈴木 桃子さん、土屋 采那さん、中村 友亮さん

「みんなで育てる、みんなのツルハドラッグアプリ」
NECプラットフォームズ株式会社 秋元 一輝さん、河村 優周さん、王 瑾博さん、上田 葵さん

「SNS活用によるブランドイメージの拡大 ~『フォロワー』に『推し売』しよう~」
日本電気株式会社 外山 潤哉さん、齋藤 敦志さん、平野 篤さん、千葉 朋幸さん

入賞

「お客様1人1人の買う習慣に寄り添いロイヤル顧客層化~For Your Smileをより多くのお客様に届ける~」

東陽建設工機株式会社 秦 亮一さん、株式会社静岡情報処理センター 風間 純さん、株式会社スカイウイル 真木 英志さん、株式会社ゆがふホールディングス 上原 康貴さん、日本電気株式会社 大澤 真優乃さん

「目視による顧客1名(n1)レベルの行動変化の把握を、数百万人でも可能にする多段階スコアリングと、そのスコアを活用した因果推論によるロイヤルカスタマー化要因の探索」
滋賀大学 データサイエンス研究科 荻原 昂彦さん

「ゲリラディスカウント戦略」
ダイキン工業株式会社 チーム「らーめんず」

アイデア企画コンテスト部門

最優秀賞

「ひとりぼっちの健康増進からの脱却」
NECソリューションイノベータ株式会社 大沢 真由美さん、田澤 宏季さん、井上 千夏さん

受賞コメント
健康増進における行動変容の壁を越えるのは、1人では難しい。そこで、ツルハドラッグの店舗を地域密着型の健康生活拠点と位置付け、お客様と共に健康増進に取り組むアイデアを提案しました。生成AIが薬剤師や栄養士とも連携し、個人最適化したサプリ・食事・運動アドバイスを自動生成します。年間14,400万円の売上を見込み、そして地域の健康増進に貢献します。

審査員コメント
既存の検査サービスと生成AIを組み合わせて、パーソナライズした提案を行い、地域の高齢者ケアの質を高める。非常に秀逸なアイデアです。また、薬剤師や栄養士と住民が気軽につながることができる点も魅力に感じました。制度面の検討は必要ですが、実現できれば大きな価値を生むアイデアとなりそうです。

聴衆賞&優秀賞

「ツルファーモで見守る家族の笑顔」
近鉄グループホールディングス株式会社 上野 諒さん、大阪有機化学工業株式会社 二ノ井 武嗣さん、日本テレビ放送網株式会社 古谷 康佑さん、日本電気株式会社 臼井 夏美さん、日本電気株式会社 志村 典孝さん

優秀賞

「1日2時間の店舗間の車移動時間を活用した”スーパーバイザー伴走型”のハンズフリー音声AIエージェント」
滋賀大学 データサイエンス研究科 荻原 昂彦さん

「“あの店員さんのいる店”へ ~地域との信頼を育む新しいCMのカタチ~」
日本電気株式会社 岡田 大弥さん、高橋 祐介さん、山崎 大輝さん、油井 夏城さん、田中 俊明さん

「Trend Scan AI」
日本電気株式会社 南 大輔さん、長谷 健吾さん、東 宗太朗さん、福島 昂之介さん、玉川 桃菜さん

入賞

「ツルハ売上予測AI連動型運営支援・経営分析システム」
日本電気株式会社 宮野 照生さん、森田 智子さん

「AI搭載大型マルチ活用ディスプレイ」
日本電気株式会社 谷 昂洋さん、及川 伸悟さん、竹内 佑樹さん、神尾 龍之介さん、枝松 遥大さん

「美容アドバイザーAI」
NECソリューションイノベータ株式会社 久保島 瑠奈さん

「お買い物促進AIチャット『スマイルNAVI』」
日本電気株式会社 大河原 沙紀さん、池浦 巧さん、時田 夏妃さん

最終審査会・結果発表会の様子

NEC本社とウェビナーのハイブリッド形式で発表者と視聴者をつなぎ、プレゼンテーションをライブ配信した。

開催概要

イベント名 NEC Analytics Challenge Cup 2025(予測精度コンテスト部門/データ活用コンテスト部門)
NEC Analytics Challenge Cup for Business Idea 2025(アイデア企画コンテスト部門)
主催 NEC アナリティクスコンサルティング統括部
スケジュール エントリー期間:2025年5月12日(月)〜6月6日(金)
コンテスト期間:2025年6月23日(月)〜8月1日(金)
最終審査会・表彰:2025年9月10日(水)
参加対象 BluStellar Academy for AIの連携企業・大学、AI・データアナリティクスコミュニティ参加企業、NECグループ社員