サイト内の現在位置

「NECものづくり共創プログラム」10年間の取り組みへの思いと意義、今後について 「NECものづくり共創プログラム」10年間の取り組みへの思いと意義、今後について

「NECものづくり共創プログラム」10年間の取り組みへの思いと意義、今後について

スペシャルインタビュー【2023.1.18】

カテゴリ:DX・業務改革推進生産技術・製造その他

2012年に開始した「NECものづくり共創プログラム」は、製造業の皆様に支えられて10年間活動を続けることができました。そこで、本プログラムの運営を牽引してきたNECの国原英二と岡野美樹が、この10年間を振り返って本プログラムの経緯や活動への思い、今後のビジョンなどについて語りました。

NEC サプライチェーン改革推進部 ものづくり革新グループ ディレクター 国原英二
NEC スマートインダストリー統括部 プロモーショングループ ディレクター 岡野美樹

製造業が元気を取り戻しグローバル競争に打ち勝つために

NEC スマートインダストリー統括部 プロモーショングループ ディレクター 岡野美樹
NEC スマートインダストリー統括部 プロモーショングループ ディレクター 岡野 美樹

岡野: 「NECものづくり共創プログラム」は、激変を続けるグローバルな競争環境の中、日本の製造業が元気を取り戻し、グローバル競争に打ち勝っていただくために2012年にスタートさせました。この趣旨を実現させるためには、NEC一社の力だけでは難しく、皆さんと力を合わせて取り組んでいくことが必要であると考え、“共創” というコンセプトに主眼を置きました。
内容としては、NEC自身が取り組んできたサプライチェーン革新活動に基づき、製造業のグローバルサプライチェーン改革推進に必要なノウハウや仕組み、アセットを、“匠” “繋” “活” “共” という4つの切り口から提供するものです。
“匠(たくみ)” は、NECで当該活動に携わり、この領域を熟知した人財がお客様のものづくり改革を一貫してご支援するというもの。IT化ありきではうまくいかず、その前にものづくりの流れを整理し直す必要があります。そういったことを、経験を踏まえてアドバイスさせていただきます。
“繋(つなぐ)” は、サプライチェーンを再構築するために必要なITシステムを活用して標準化・可視化した各プロセスを繋ぎ全体最適を図るというものです。NECの生産革新活動を支えてきたPLMやSCM、ERP、MESといった業務アプリケーションやデータセンター、ネットワーク、クラウドなどのIT基盤をご提供します。
“活(いかす)” は、NECが持つものづくりの資産をメニュー化したもので、新製品企画/開発サービスやODM/OEMサービス、業務受託サービスをご用意しています。
“共(ともに)” は、業種・業態を超えて同じものづくりの課題を抱え革新を目指すお客様同士の意見・情報交換や交流の場として、NECのものづくり変革の現場を実際に視察して体感していただく工場見学会やテーマ別研究会/分科会、交流会などの共創活動、情報発信を行っています。

分科会の意義や改善

NEC サプライチェーン改革推進部 ものづくり革新グループ ディレクター 国原英二
NEC サプライチェーン改革推進部 ものづくり革新グループ ディレクター 国原 英二

国原: 活動のひとつである分科会では、「SCM・ロジスティクス分科会」や「デジタルマニュファクチャリング分科会」「人財育成分科会」を行っています。SCM・ロジスティクス分科会では、NECが生産革新で重視した物流の最適化やBCPの問題、物流コスト増への対処といった話題を取り上げましたが、エレクトロニクス以外の業種のお客様ともディスカッションして私自身、いろいろな気づきを得ることができました。オープンなコミュニティの場で「こんな話をしてもいいのか?」と思えるようなディープな話も聞けましたが、それもこの場が打ち解けて安心して話せる場であることの証拠だと思っています。
また、「デジタルマニュファクチャリング分科会」では、今年も人財育成がテーマに挙がり、NECの取り組みを紹介しています。NECのものづくり人財育成プログラムの歴史は古く、20年前から取り組んでいます。より実効性のある生産革新に繋げるべく、研修は現地現物現場でフィジカルな肌感覚を伴いながら行うという方針で、懇親会を含めて毎月2泊3日で行ってきました。まさしく“3密”な環境で行ってきたわけですが、それがコロナ禍でできなくなりました。そこで、人数を絞り、厳重な感染対策を行って続けたわけですが、これを機にそれまでのやり方が本当に正しかったのかとの思いも生じたのです。というのも、この方針の根底には生産革新を担う上でタフな人財を育成するという狙いがあり、当該人財を“量産”するものではなかったからです。そこで、コロナ禍を機にもっと間口を広げるべきではないかとの思いが生じました。

コロナ禍での“DX-KAIZEN”やリモート化の工夫

国原: そんな時に、NECの人事で新卒採用も視野に入れた学生向けインターンシップを行うことになり、この機会を利用して学生達にリモートでの教育プログラムを実施してもらったのです。現場の映像とデータを参加学生に送り、自分なりの改善アイデアを考えてもらうというプログラムだったのですが、現場にいたらむしろ気づかないものも含め、リモートでも読み取れることがたくさんあることが立証できたのです。このプログラムは参加してくれた学生達もいい経験ができたと喜んでいて、学生、現場、NECにとって、まさに “三方よし”の機会となりました。
これは使えると実感し、“DX-KAIZEN”と名付け、現地のデータをクラウド上にアップしてリモート環境で分析し、現地のメンバーにフィードバックするという方法で、まだ道半ばではありますがポストコロナ時代の新たな生産革新のスタイルとして確立させていきたいと考えているところです。
加えて、以前開催した「人財育成分科会」では、企業内人財育成の第一線で教鞭をとられているメンバーの方から、「知識やノウハウの伝授はプレゼン資料で行うのではなく、伝えたいことをしっかりとテキストに記して提供すべき」とのご指摘を頂きました。そこで、1年半かけて3冊のテキストに整理したのですが、これが自らの知見の整理と大いなる刺激になり、日常活動の充実にも繋げることができたのです。
共創活動で「互いに学び合うこと」のメリットを実感した次第です。

岡野: 「NECものづくり共創プログラム」は、コロナ禍となってからは工場見学などのリアルイベントをすべて中止し、その後全面的なオンライン対応で再開させました。状況が落ち着いた最近は、リアルも復活させてのハイブリッド型で実施しています。工場見学も、カメラで工場内部を撮影しながらのオンライン化で行い、終了後にオンラインでグループディスカッションを行うという方法を試してみました。一方通行にならないよう工夫し、なかなかの好評を頂きました。オンライン会議システムがダウンした際は、お客様がバックアップ動画を提供してくださるといった出来事もあり、まさしく“共創”を実感している次第です。

10年間続いた要因とは

国原: 私は1988年に入社以来、製造拠点での改善指導や人財育成を通じてNECグループのものづくり力を強化する生産革新活動に取り組んできました。2012年に「NECものづくり共創プログラム」のキックオフに参加した時、出陣式のような熱量があったことが印象に残っています。この趣旨には大いに共鳴したものの、一方で苦労して蓄積した自社の知見を社外に流出させることに繋がるのではないかといった不安や、一対一のビジネスではなくオープンなコミュニティとして、お客様というよりも “共感者” として接していくことがうまくできるかという心配もありました。しかしながら、 “匠” や分科会などの活動を行ってみると、自らが実践してきた生産革新活動を再整理して話をし、お客様とのディスカッションの中から自分自身が新たな気づきを得ることが多く、まさしく “共創” していくことの意義を感じたのです。そんな思いが、この活動を続けるベースになりました。
私はNECで生産革新活動に30年、人財育成プログラムに20年近く、そして「NECものづくり共創プログラム」に10年間携わってきましたが、長く続く活動には “必然性” という共通点があると思います。参加する人に、必要と感じる価値を見出してもらえれば続くのです。そのためには、ブームに乗るような表面的なことや、商売に繋がることだけを手前勝手に打ち出すのではなく、相手の真に役立つ本質的な内容に努めることが重要だと思っています。

“熱源” と “熱量” と “熱変換”

国原: 参加したお客様から「すぐに商売にならないことまで一生懸命にやって、お人好しですね」と言われたことがあります。これは目先にとらわれず、より良いものを求める創業の精神「ベタープロダクツ・ベターサービス」に通じると思います。こういうところに「NECらしさ」が表れているのかもしれません。
また、私はこうした活動には “熱源” と “熱量” と “熱変換” の全てが揃うことが必要で、どれかが一つでも欠けたら続かないと思っています。“熱源”とは情熱を持つ主催者、“熱量”とはその情熱を受け止め広める周辺の人々、“熱変換”とは、時代の変化に応じて的確な方向転換を図ること、です。この三要素が伴うところに活動への喜びが生まれると感じています。

「熱源」なきところに変革は起きず「熱量」なきところに継続はあらず「熱変換」上手きところに発展あり そして、この産物・プロセスに喜び(JOY)あり

岡野: 私も国原の “熱源” “熱量” “熱変換”の話に共感していますがこの活動は主催者である私たちだけでなく、社内外の共鳴者を数多く集めたことで広まり、続けて来られたとの実感があります。そして、私たちの熱源のエネルギーとしては、自分たち自身が好きで入った製造業への純粋な思い入れや、そこに集まる人たちが好きという思いがあるのではないかと思っています。このプログラムには、マーケティング活動の側面があることは確かですが、10年前のスタート時点から、そういったことより日本の製造業のものづくり革新に役に立ちたいとの思いがはるかに勝っています。一方で、もっとマーケティングを意識すべきといった社内の声もあります。しかし、それをすればお客様に見限られ、ここまで続けてこられなかったのではないでしょうか。ですから、今後もそこはブレずに取り組んでいきたいと思っています。

今後の取組方針について

岡野: 今後としては、経営課題としてのサプライチェーン改革に取り組んでいける幹部候補人財の育成を支援するプログラムを2023年から全12回にわたって展開していく計画を立てています。幹部育成をご支援する活動は初の試みで、“熱変換”の一つに位置付けています。今後、企業間でのソリューション連携やアライアンスに繋げ、より生産革新の実効性を高めていければいいと考えています。

また、NEC全体として2022年12月から「NEC Future Creation Community」という活動をプレオープンし、2023年4月から正式にスタートさせます。これは、「デジタルを活用してさまざまなテーマに取り組むメンバーが集まり「対話を通じて課題に気づき、新しい価値の共創を目指す」コミュニティです。「ここにしかない議論で、明日を創る」という趣旨で、AIやスマートワーク、セキュリティといった広範なテーマが包含され、それぞれのテーマに関わりのある参加者を主体に運営されていく方針です。「NECものづくり共創プログラム」もこの「NEC Future Creation Community」の中に位置づけられることになりますが、本プログラムの活動方針自体は不変です。製造業のお客様にとっては、まずは「NECものづくり共創プログラム」の諸活動があり、必要な方にはその先に「NEC Future Creation Community」があるという二段構えで受け止めていただければと思います。

国原: 「NECものづくり共創プログラム」は、前述のとおりたくさんの気づきが得られる機会として「参加して良かった」と感じていただけるよう、これからも励んでいきたいと思っています。

岡野: 私としても、毎年新しい取り組みにチャレンジし、皆さまに新たな発見を持ち帰っていただける機会にしていければと考えています。

データドリブン型ものづくりを実現するデータ基盤

「NEC Industrial IoT Platform」関連資料をダウンロードいただけます。

関連リンク

NEC ものづくり共創プログラム

「NEC ものづくり共創プログラム」は、生産革新やグローバルサプライチェーン改革推進に必要なノウハウやアセットを4つのコンセプトで提供しています。NECはお客様と同じ「ものづくり企業」として、お客様の改革推進に向けた活動を強力に支援します。

NEC ものづくり共創プログラム

お問い合わせ