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2022年度(23年3月期) 通期決算概要
Ⅰ. 2022年度 決算概要


はじめに2022年度 通期実績について説明します。

売上収益は3兆 3,130億円、全セグメントで増収となり、前年度比で10%の増収となりました。
調整後営業利益は2,055億円、後ほど詳細をご説明しますが、ネットワークサービスを除く全てのセグメントで増益となりました。
調整後当期利益は1,386億円、税金費用の影響が前年度対比で約300億円あり、これを除いた実質ベースでは増益となりました。

主要指標とセグメント別の業績です。
売上収益、調整後営業利益、調整後当期利益のいずれも本年1月30日の予想を上回る結果となりました。各セグメントの詳細は後ほどご説明します。

調整後営業利益の増減要因です。2021年度の利益 1,710億円を起点にご説明します。
2021年度に計上した資産売却などの一過性利益 100億円に対し、22年度は 110億円の利益を計上しました。さらに4Qに実行したグローバル5Gの費用構造の適正化など構造改革の費用として55億円を計上しました。
マクロ環境変化の影響として、為替影響がプラスで165億円、部材不足は下期以降に解消し、前年度比では40億円の増益要因となりました。
知財収益は、昨年度の4Qと、今年度の3Qにそれぞれ計上しましたが、年間では75億円の増益寄与となりました。
オペレーションは110億円の改善となり、主に国内IT領域が好調に推移し、エンタープライズで149億円、社会公共で75億円、改善しています。一方でネットワークサービスは130億円のマイナスとなりました。
これらの結果、2022年度は2,055億円の営業利益となりました。

ここからセグメント別にご説明していきます。
まず社会公共です。
売上収益について、中堅・中小企業向けは市況が底打ちし、増収トレンドが継続しています。加えて公共・医療向けも堅調に推移したことにより、3.2%の増収となりました。
調整後営業利益は、売上増に加え、費用の最適化により67億円の増益となりました。

社会基盤です。
売上は、航空宇宙・防衛領域での案件増により6.8%の増収となりました。
調整後営業利益は売上増に加え、不採算案件の抑制により81億円の増益となりました。

エンタープライズです。
売上収益は、金融業、製造業、流通・サービス業向けの全領域で好調に推移し6.9%の増収となりました。
調整後営業利益は、売上増に加え、オファリングメニューの充実や、SI案件のリスク管理強化による収益性の向上により159億円の改善となりました。営業利益率は11.9%まで向上しました。

ネットワークサービスです。
売上収益は、通信事業者の投資抑制の影響を受ける中、増収となり、3Qに計上した知財収益も寄与しました。
調整後営業利益は、次のページでご説明します。

ネットワークサービスの損益変動について2021年度実績を起点に示しています。
3Qまでの変動要因は、表にお示しした通りです。4Qは売上の拡大により、通常オペレーションが128億円 改善しました。加えて将来の収益性改善のため、構造改革費用 33億円と資産クリーンナップ 14億円を計上しました。
また、知財収益 50億円の反動減があり、これらの結果、4Qで247億円の利益、年間では241億円の利益となりました。

グローバルです。
売上収益は、ネットクラッカー社が手掛けるOSS/BSS、DG/DF(デジタルガバメント/デジタルファイナンス)などソフトウェア関連事業、および海洋システムなど重点領域が好調で、20.8%の増収となりました。
調整後営業利益は、ポートフォリオ変革の進展と重点領域の収益性向上により166億円の増益となりました。

フリー・キャッシュ・フローの状況です。
営業キャッシュ・フローは、調整後営業利益の増加により345億円の収入増になりました。また、2021年度に部材逼迫に伴い積み増した600億円の棚卸は、2022年度に予定通り解消しましたが、手配長期化と部材リスク対策として新たに345億円の棚卸を積み増したことで、前年度比では850億円の収入増となりました。さらに売上の大幅な増加に伴い運転資本残高が増加し、約1,150億円の収入減となりました。これらの結果、営業キャッシュ・フロー合計では前年度比で46億円の収入増となりました。
一方、投資キャッシュ・フローは138億円の支出減となりました。これは主にM&Aの支出減少によるものです。
これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは、前年度比で184億円増となる1,025億円の収入となりました。

CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の状況です。
2022年度は支出が先行する大型プロジェクトの増加により、通常のオペレーションベースで前年比 6日の悪化となりました。これらは将来の入金につながるものであり、これを除くと前年度並みの水準で推移しています。
今後も長期・大型プロジェクトが増加していくため、前金の獲得などの改善施策を引き続き推進していきます。

政策保有株式の状況です。
2020年4月に原則ゼロとすることを定め、着実に縮減を進めています。
保有銘柄数では、上場株式が2020年3月末の108銘柄から23年3月末には33銘柄となり7割減少しました。
2022年度は、2021年度と同水準の196億円を売却し、2020年3月末からの売却累計額は1,354億円となりました。なお、アライアンス株を除く非上場株も206銘柄から137銘柄まで減少しました。

受注動向を説明します。
セグメント別には、社会公共は都市インフラでの案件増と、中堅・中小企業向けにおける需要低迷の底打ちにより10%の増加となりました。社会基盤は、主に防衛領域が好調で8%増加しました。エンタープライズは、旺盛なIT需要を背景に12%増加しました。ネットワークサービスは、5Gを中心に10% 増加し、3Q計上の知財収益を除いても8%の増加です。グローバルは、海洋事業の影響を除くと、Netcracker社での大型案件の獲得が牽引し15%の大幅増となりました。
このように全セグメントで前年比プラスとなり、全社でも変動が大きい海洋を除いたベースでも、12%の増加となりました。また、ITサービス領域も年間で9%の増加となりました。
Ⅱ. 2023年度 業績予想 / 2025中期経営計画 進捗状況

次に2023年度の業績予想と、2025中期経営計画の進捗を説明します。

2023年度の業績予想値です。
売上収益は3兆 3,800億円、調整後営業利益は2,200億円を計画し、全ての主要セグメントで増益を見込んでいます。
また、2023年度の年間配当は2022年度から10円増配の1株120円を計画しています。

調整後営業利益の増減要因です。
2022年度の実績 2,055億円を起点にご説明します。
2022年度に計上した一過性利益110億円がマイナス、構造改革費用 55億円の減少はあるものの、前年度に計上した知財収益は145億円のマイナスとなります。
これらを除いたオペレーションでの利益増で、345億円の増益を織り込んでおり、2023年度は2,200億円を計画しています。

2025中期経営計画の目標に対する進捗を示しています。

セグメント別に見た進捗です。
ネットワークサービスは、国内通信事業者の投資抑制と海外5G市場の立ち上がり遅れにより、想定よりもビハインドしていますが、エンタープライズや社会基盤、社会公共、グローバルは順調に進捗しており、2025中期経営計画の達成に向け着実に進捗しています

成長事業の状況です。
DG/DFは、22年度に行った開発投資の成果刈り取りや、日本を含むAPACやEMEAでのクロスセル拡大、オフショアの推進といったシナジー拡大により、収益性の向上に取り組みます。
グローバル5Gは、よりソフトウェア/サービス領域へシフトしていきます。また、国内市場でのシェア拡大と、海外市場の販売・開発体制の最適化により、損益水準を改善させていきます。
コアDXは、共通基盤の売上比率を更に拡大することで、収益性の高いビジネスモデルへとシフトしています。また、順調なアビームとの連携強化により、戦略顧客へのアプローチを推進していきます。

課題事業の状況です。
ベース事業のうち低収益のものを課題事業として重点的に改善活動を行っており、2022年度は調整後営業利益率で前年度比 2.4%改善し、この改善分はオペレーション改善のおよそ半分となります。
2021年度からCFO主導でモニタリングを開始し、対象の16事業のうち4事業が収益の改善によりモニタリング対象から外れました。
また、ノンコア事業については、売却やジョイントベンチャー等により、事業価値を最大化するための意思決定を的確に行っていきます。

文化について説明します。
まず、2025中計のKPIであるエンゲージメントスコアは、2020年度の25%から、直近では36%に上昇しました。
エンゲージメントの向上に向けて取り組んでいる、人・カルチャーの変革として、ジョブ型マネジメントを推進しており、2023年度には統括部長以上に先行導入、2024年度からは全社員に拡大していきます。
事業戦略に即した人材の配置、ベストな人材、ベストなチームでなければグローバルでは戦えません。適時、適所適材な要員配置がジョブ型導入の狙いです。従業員にとっても、自分の成長が見通せるような会社で働きたい、やりがいを実現する場がNECという会社である、ということがエンゲージメントを改善する上で重要であると考えています。
また、課題解決を通じたスピード変革として実行しているRISE Fastは、現場プロセスのシンプル化と、社員の主体性を強化する活動として推進しており、昨年度は1300名が参加。
現場のムダ排除など、その効果は17億円となりました。

また、Smart Work 2.0では、チームとしての最適な働き方を選択することでチームの生産性を最大化していきます。
ビジネスインフラの整備では、グローバルでもトップレベルの経営基盤を構築し、全ての情報をデジタル化することでデータドリブン経営を可能にします。これにより環境変化に対し、柔軟かつスピーディな事業運営を実現し、事業価値のアウトプットを最大化していきます。
Ⅲ. トピックス

最後にトピックスです。

開示セグメントの変更について説明します。
本年4月に実施した組織変更に伴い、2023年度 1Q決算から開示セグメントを変更します。
新セグメントは、ITサービスと社会インフラとなります。それぞれに含まれる組織は記載の通りですが、従来の市場/顧客区分から、事業領域による区分への変更です。
2025中期経営計画の進捗をトレースいただくことのできる情報開示となることに加え、「NECは分かりにくい」という資本市場の声にも応えたセグメント変更であると考えています。

Non-GAAP指標の開示です。
2023年度1Qより、従来の調整後損益に加え、新たにNon-GAAP損益を開示していきます。
GAAP利益からの調整項目はお示ししている通りです。一過性損益を除いた本源的な収益力を開示するとともに、グローバル市場における競合他社との比較可能性を高めることが狙いです。
なお、Non-GAAP指標は全社損益のみの開示となり、セグメント別は従来の調整後利益のみの開示となります。
以上で説明を終わります。
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