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2021年度(22年3月期)通期決算概要

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Ⅰ. 2021年度 通期 決算概要

2021年度 通期決算概要について説明します。

売上収益は3兆 141億円、2020年度のGIGAスクール特需の反動減や、部材不足によるマイナス影響を受けたものの、5G基地局の出荷拡大や、コアDXでのAbeamとの連携により成長事業が拡大し、増収となりました。

調整後営業利益は1,710億円、後ほど詳細をご説明しますが、戦略的費用の増加や部材不足の影響があるものの、オペレーションが前年度から315億円と大きく改善しました。
また、従来(1月31日)の予想比からは110億円の上振れとなりました。

調整後当期利益は、税金費用の減少により3期連続で増益となりました。

こちらに主要指標とセグメント別の業績をお示ししています。

フリー・キャッシュ・フローは、841億円の収入となりました。後ほど詳細をご説明いたします。

調整後営業利益の増減要因です。
2020年度の利益、1,782億円を起点にご説明します。

2020年度に計上した一過性の利益330億円に対し、2021年度は170億円の一過性の利益を計上しました。

次に、部材不足の影響で80億円、戦略的費用の増加で260億円社会基盤での不採算案件で17億円の減益要因がありました。一方でプラス面は、ポートフォリオ変化によるディスプレイ事業の非連結化とAvaloqの新規連結で130億円の増益となりました。

オペレーション改善は、グローバル、ネットワークサービスやエンタープライズ、社会基盤がそれぞれ改善し合計で315億円の増益です。

これらの結果、2021年度は1,710億円の利益となりました。

戦略的費用の詳細です。

2021年度は前年度比で260億円の増となる総額 730億円を投入しました。

内訳は、グローバル5Gで海外拡販体制の強化を加速するとともに、製品ラインナップ拡充のため135億円、ビジネスインフラ領域の社内ITインフラ強化で50億円、コアDXのオファリング強化・拡大、新規領域の立ち上げのため25億円、その他・人材投資で15億円、ベース事業・構造改革で35億円、それぞれ増加し、将来の成長に向けた費用を投入しました。

2022年度以降の戦略的費用については現在の水準をベースに、増加させる場合には該当領域の利益改善の範囲内での投入とし、業績が悪化とならないようマネージしていきます。

受注動向です。
大型案件により四半期毎の変動が大きい海洋システム事業と、2020年11月に非連結となったディスプレイ事業の2つを除いたベースで4%の増加となりました。

また、ITサービス領域では、エンタープライズを中心に堅調に推移し3%の増加となりました。

セグメント別にコメントしますと、エンタープライズは、全ての業種向けが好調で7%の増加。

ネットワークサービスは、5G基地局が拡大した一方で、固定系の大型案件の反動減でほぼ横ばいです。

グローバルは海洋とディスプレイの影響を除くと好調なAvaloqの連結寄与および、DG/DFでの大型案件の受注で大幅増となりました。

フリー・キャッシュ・フローの状況です。

営業キャッシュ・フローは、運転収支において部材の逼迫状況を踏まえて戦略的に棚卸を積み増したことにより600億円の支出増、CCC活動の改善幅が前年から縮小したことに伴い、320億円の収入減があったことに加え、法人税支出の増加、調整後営業利益の減少などにより、前年比で1,274億円の収入減となりました。

一方、投資キャッシュ・フローは、前年度のAvaloq買収および保有資産売却の特殊要因の影響を除くと、前年度比で71億円の支出減となりました。

これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは、841億円の収入となりました。

CCC改革の取り組みについてです。

2022年3月末のCCC改革プロジェクトベースでの日数は58日となり、プロジェクトの開始年度末である2019年3月末比で14日、2021年3月末比で2日の短縮となりました。

戦略的な棚卸の積み増しによる一時的な悪化影響を含めると、日数は66日となりますが、この部分については部材不足影響の解消を前提に、2022年度に正常化を図ります。

引き続き、成長資金の創出と資本効率の向上のため、改善活動を継続していきます。

政策保有株式の状況をまとめています。

2020年4月に原則ゼロとすることを定め、縮減活動を進めています。

保有銘柄数では、上場株式が2020年3月末の108銘柄から2022年3月末には52銘柄となり52%の減少、アライアンス株を除く非上場株も206銘柄から176銘柄まで減少しました。

また、売却額は2020年3月末からの時価変動を考慮すると、総額で1,158億円を売却し、フリー・キャッシュ・フローに大きく貢献しています。

上場株については、売却合意済の銘柄まで含めると、2020年3月末から銘柄数ベースで約70%まで進捗しており、引き続き取り組みを進めていきます。

Ⅱ. 2025中期経営計画 進捗状況

続いて2025中期経営計画の進捗状況をご説明します。

2025中期経営計画の目標と、2021年度実績、2022年度の予想を掲載しています。

ここから2025年度の目標の達成に向けたそれぞれの取り組みの進捗状況をご説明していきます。

はじめに成長事業の状況です。
DG/DF、デジタル・ガバメント/デジタル・ファイナンスについてご説明します。

2021年度の実績はAvaloqの新規連結もあり、売上2,527億円、調整後営業利益は159億円と増収・増益です。

2022年度は減収・増益の予想となっていますが、これはKMD、Avaloqの低収益事業の売却決定によるものであり、コア領域は堅調な推移を見込んでいます。また為替水準は1ドル=110円を前提としています。

欧州3社とのシナジーとして、販売面ではAvaloqがアジアで案件を獲得しており、SWS、KMDも含め、引き続き日本市場を含むグローバルでの事業拡大を図ります。

またコスト面では、オフショアリソースを集約・効率化しており、既に改善効果が出ています。この活動も継続し、更なる利益率の向上を図ります。

グローバル5Gです。

まず2021年度の実績は、部材不足の影響を受けたものの、国内向けの基地局が前年度比で順調に拡大し売上670億円と増収となりました。

調整後営業損益は、売上増による限界利益が業績に寄与する一方で、戦略的費用を2020年度比で135億円 増加させたことにより赤字拡大となりました。

2022年度は引き続き国内向けの売上増を見込むことに加え、既に受注済の海外商用案件を着実に実行することで1,100億円の売上を計画しています。

調整後営業損益は、2021年度と同水準の戦略的費用を投入。
売上増により大幅な損益改善を計画しています。

コアDXです。

2021年度の実績はコンサル起点の案件増や、クラウドビジネスを始めとする共通基盤の領域が増加し増収。
黒字転換しました。

2022年度は2021年度に引き続き、成長のための費用増を織り込んでいるものの、同領域での成長を見込み増収・増益を計画しています。

2021年度にはハイパースケーラーとの協業を加速したこと、DXオファリングの強化を進めることが出来ました。

またABeamと連携した大型案件の獲得も増加しており、今後も連携強化による提供価値を拡大していきます。

課題事業の状況です。

ベース事業のうち低収益のものを課題事業として、重点的に改善活動を行っており、2021年度は調整後営業利益率で2.6%改善しました。

2021年度にCFO主導でのモニタリングを開始し、既に改善効果が出ています。
2022年度はこの活動を加速し、一部事業の縮小判断やリソースシフト含む事業構造の最適化を図ることで、2021年度から1%強の利益率改善を計画しています。

また、2021年度にNEC Energy Solutionsを非連結化しており、2022年度に業績改善の効果を見込んでいます。

文化についてです。

まず2025中期経営計画のKPIであるエンゲージメントスコアは、直近35%に上昇し、前年比10ポイントの改善となりました。サーベイ会社によると、NEC規模の企業での10%改善は非常に稀なケースであると評価いただいています。

エンゲージメント向上に向けて前中計期間から取り組んでいる従業員とマネジメントとの対話活動は、国内・海外の合計で36回開催しました。

国内では毎回、その時点でのトピックスを社長 森田から話をした後、必ず従業員からの質問をライブで受け、それに回答するという形式で対話を行ってきました。この活動は今後も継続していきます。

「顧客との未来の共感創り」について説明します。

社会が共感できる未来像を構想・発信することで、市場形成を目指す仲間を集め、共創と実証実験を経て、事業創出により社会へ実装していきます。このページでは、具体的な活動の一部を掲載しています。

Ⅲ. 2022年度 業績予想

続いて2022年度の業績予想です。

2022年度の業績予想サマリーです。

売上収益は、成長事業である5GやコアDXを中心に3.8%の増収、調整後営業利益は売上増見合いでの増益を織り込み、1,850億円を計画しています。

足元のIT投資基調は比較的堅調ですが、2022年度の事業環境は、見通し難い要素が様々ある点を勘案し、マーケットコンセンサスと比較すると、やや保守的な水準になっています。
まずは2022年度の利益計画を確実に達成し、その上で追加的な事業機会を獲得、またリスクマネジメントも適切に実行することで上乗せも図ります。

調整後当期利益は、2021年度の一過性税金費用の減少により減益計画ですが、配当は2021年度から年間で10円増となる1株あたり110円を計画しています。

フリー・キャッシュ・フローは、後ほど詳細をご説明します。

セグメント別の業績予想は、ご覧の通りです。

調整後営業利益の増減を示しています。

2021年度に計上した一過性要因を除いた1,540億円の水準から、成長事業・ベース事業ともにオペレーション改善を見込み、合計 310億円の増益を織り込むことで、2022年度は1,850億円を計画しています。

また、既にご説明のとおり戦略的費用については、該当領域の利益改善の範囲内で費用を投入し、業績悪化とならないようマネージしていきます。

フリー・キャッシュ・フローの計画です。

営業キャッシュ・フローは、売上増加に伴う運転資本残高増による150億の支出増があるものの、運転収支において部材不足影響の解消を前提とした棚卸積み増しの正常化による1,200億円の収入増、調整後営業利益の増加による140億の収入増により、2021年度から1,325億円増収となる2,800億円を計画しています。

一方、投資キャッシュ・フローは、2021年度の保有資産売却の影響に加え、2025中期経営計画の実現へ向けた投資増などにより、2021年度比で366億円の支出増となる1,000億円の支出を計画しています。

これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは、1,800 億円の収入を計画しています。

部材不足を始めとする市場環境リスクへの対応です。

2021年度は、部材不足のマイナス影響を営業損益で年間 290億円受けました。代替部材への設計変更、代替品への切り替え、販売価格の適正化を行うことに加え、不要不急な費用を抑制/効率化することで総額210億円の対策を実施し、ネットでは従来予想(2022年1月31日時点)の想定通り80億円と、その影響を最小化しました。

2022年度の市場環境リスクに関しては、継続する部材不足に対しては前述の対策を実施、地政学リスクに対しては各国のレギュレーションを遵守し、適切に対応していきます。

不透明な状況が継続していますが、これらの対策を実行することで、業績への影響を最小化していきます。

最後にNon-GAAPでの業績予想開示についてです。

今回の2022年度の業績予想からNon-GAAPベースでの開示とさせていただきます。

これは2025中期経営計画の達成に向けて、引き続きM&Aが重要な位置づけであること、そして調整項目であるPPA償却費を除いたNonーGAAPを本源的な収益力として重視していることによるものです。

以上で説明を終わります。