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「これって選挙でOK?」選管対応を生成AIで支援 効率化と職員育成に貢献

4年に1度の統一地方選挙が2027年4月に迫っています。全国で多くの都道府県や市区町村が一斉に選挙を行うため、選挙への注目が高まる時期です。選挙が公正に行われるよう厳しく管理するのが自治体の選挙管理委員会。その仕事をNECグループが支えています。最近では生成AIを活用して市民や候補者などからの問合せの対応を効率化する仕組みを開発。横浜市などとの実証を通じて、様々な「新しい価値」が見えてきました。

選挙業務に重要な「信頼性」を徹底的に追求

「選挙期間より前に候補予定者が街頭演説を行っています。何を言ったらNG?」

選挙管理委員会に寄せられるこうした問い合わせに、職員は正確に答えなくてはなりません。公職選挙法を始めとする専門書や過去の判例など膨大な資料の中から該当部分を探し出すのには時間が掛かることもしばしばです。

横浜市役所に常備されている選挙関連の専門書籍

こうした問い合わせに対応するため、NECが開発した生成AIと自治体に関わる出版で実績のある「ぎょうせい」の選挙専門書籍データを活用しました。実証段階で約1万ページの情報を取り込んでおり、製品化時にはさらに数万ページを取り込む予定です。

検索システムはこれまでもありましたが、検索ワードを含む項目が大量に列挙され、必要な情報にたどりつくのに一苦労でした。今回開発した生成AIでは、冒頭のような素朴な質問に対しても、回答文とともに根拠となる法令や文献が提示されます。

問い合わせ対応の実証システム

使いやすさに加え、さらに特長があります。それは「分からないものは分からない、と言ってくれること」。こう話すのはシステムの実証に参加した横浜市選挙管理委員会事務局の古川浩さん。一般の生成AIは事実と異なる情報を生成したり、推測で答えたりすることもありますが、それは正確さが不可欠の選挙業務では致命的な欠陥になります。今回の生成AIではとことん信頼性を追求しました。

横浜市選挙管理委員会事務局の古川浩さん

間違いを防ぐために何重ものチェック機能を導入。回答の根拠となる情報のリンクを提示して原典に当たれるのはもちろん、回答と質問との関連度もチェック。さらに、回答の一文ごとに生成AIがもう一度チェックを行い、実際に文献に記載があるかを再度確認した上で、根拠が見当たらない部分に赤いハイライトをかけて注意を促します。古川さんは「一般的な生成AIの回答は、一見正しくても、その根拠は曖昧だった。回答にその根拠が示されているのは助かる」といいます。

気軽に質問できるAIを活用 職員の理解を促進

生成AIというと「効率化」に注目されがちですが、「育成」や「継承」への期待もあります。
同じく横浜市選管の代田泰大さんは「思考の整理にも使える」と言います。問い合わせには複数の資料を参照したうえでの回答が求められることも多く、「今回の生成AIでは複数の根拠を元に整理された回答を示してくれる。実用性が高いだけでなく勉強にもなる」と評価します。

横浜市選挙管理委員会事務局の代田泰大さん

そもそも、選挙は年に1~2回程度の頻度でしか行われず、行われない年もあります。実務の機会が限定的で、ノウハウの継承や育成にも課題がありました。新任の職員は自分の知りたいことがどの資料にあるか分からず、先輩に質問して学ぶにも実践の機会が少ない状況。そこで今回の生成AIです。「AIなら相手の忙しさを気にせず気軽に質問できますよね」と古川さん。さらにNECでは複雑な問いに対して、どのような視点を考慮して回答にたどり着いたのか、過程を示す「論点整理」機能も開発中です。こうしたやり取りにより、AIが公職選挙法を始めとする法令の理解を深めるパートナーになることも期待されています。

横浜市職員が積み重ねてきた経験も活用しようとしています。横浜市にも昭和の時代の先輩職員から引き継がれてきた対応事例の記録があり「それらを何とか活用したい」という要望がありました。そこでNECは、各自治体の独自のノウハウを取り込んで、書籍から得られる回答と並べて表示する仕組みを検討。法律に基づく回答と横浜市の過去の対応の両方を参照しながら職員が判断できる形を目指しています。

NEC 社会公共インテグレーション統括部の松野花菜

実証は2026年5月〜6月、横浜市と仙台市で実施。利用者の9割以上が回答精度について「正確」、7割以上から「業務効率化に寄与する」という回答し、評価は上々。現在NECでは製品化の取り組みが進んでいます。2027年3月からSNS対策を盛り込んだ改正法が施行されるなど制度も進化する中、この仕組みはネット経由で提供されるSaaSの形をとるため、制度改正にも迅速に対応することができます。

「全国に提供できる形にして、多くの選挙管理事務局に活用いただきたい」と語るのは、この取り組みを担当するNECの松野花菜。民主主義の根幹を支える選挙。その選挙を支える選挙AIを通して、NECは「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造」するPurpose(存在意義)の実現をめざします。

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