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自動運転が支える地域の暮らし バスとタクシー、NECが伴走して描く未来図

人口減少と高齢化が進む日本で、公共交通は大きな課題に直面しています。買い物や通院といった日常の移動に欠かせない生活基盤でありながら、特に地方では運転の担い手不足も深刻です。こうした課題解決の糸口として期待が寄せられるのが自動運転。NECは、自治体や交通事業者と連携しながら、地域の足を支える取り組みを進めています。徳島県での自動運転タクシー、沖縄県豊見城市(とみぐすくし)での自動運転バス──二つの地域での実証運行を通して、NECが地域と描く“自動運転の未来”に迫ります。

徳島×タクシー 「1人暮らしでも困らない公共交通に」

「想像していたよりずっとスムーズな運転ですね、とよくいわれます」。2026年2月~3月に徳島阿波おどり空港から鳴門市西部を舞台に実施された自動運転タクシーの実証運行。担当していたタクシー運転手はお客さまの反応をこう語ります。
上々の手ごたえとなったこの実証運行。背景をひも解きます。

徳島県でも他の地域と同様、運転免許返納者が増加。インバウンドを含む来訪者も増えて移動ニーズも高まる一方で、高齢化によるドライバー不足も深刻です。自動運転の取り組みを推進する徳島県側の担当者は「10年、20年先に今の形で地域交通を維持することは簡単ではない」とした上で「自動運転は、その課題に向き合うための一つの手段。1人暮らしの方でも移動手段に困らない公共交通を県内に広めたい」と意気込みます。

徳島県 交通政策課 地域交通戦略担当
岡田翔成さん
徳島県 交通政策課 地域交通戦略担当
山田知成さん

この実証運行でNECは自動運転サービスプラットフォームを提供。通常のタクシーと自動運転タクシーを同一の配車センターで管理することができる、ハイブリッド型の運行管理モデルが特徴で、限られた人員での効率的な配車が可能となっています。徳島県の担当者は「最初は心配だらけだった」としつつも「スムーズに乗降場所につけたり、運転の切り替えだったり、安全性にしっかり配慮して課題を解決してもらえた」とNECの姿勢に大きな信頼を寄せています。

NECと自動運転。徳島県の取り組みにつながる実績は、沖縄県豊見城市にさかのぼります。

豊見城×バス 「生活の足を維持するための選択肢」

沖縄県豊見城市で行われたのは、自動運転バスの実証運行です。2024年度と2025年度の2回にわたって、データの蓄積に加え、自動走行率の向上、利用者の満足度などを検証。舞台となったのは、市内を一周し、西側の商業施設と東側の住宅街を結ぶ路線です。高齢者や学生の利用が増える一方で、ドライバー不足が続く中、「路線を維持するための選択肢として、自動運転に挑戦した」と豊見城市の担当者は話します。

豊見城市役所 都市計画部
並里陽子さん
豊見城市役所 都市計画部
洲鎌慎英さん

「免許返納後も安心して外出できる」「移動の足は必要なので(取り組みを)続けてほしい」と利用者からも好評。豊見城市の担当者は「昼は従来のバス、夜は自動運転のバスといった運用だともっと便利になるのでは」と、既存のバスと共存する形の発展を思い描いています。

今回の実証で、「NECのサポートの力はものすごく強力でした」と豊見城市の担当者は振り返ります。徳島で、豊見城で発揮されたNECの伴走力とはどんなものだったのでしょうか。

NECの覚悟「単なる技術提供者にとどまらない」

徳島県と沖縄県豊見城市でNECが提供する自動運転サービスプラットフォームは、リアルタイムで車両運行をサポート。乗車予約や乗客認証などの運行管理機能のほか、AIを活用したリアルタイム遠隔監視などでも、NECが強みとするAIや映像分析の技術を活かしています。

二つの地域の取り組みに共通するのは、NECが単なる技術提供者にとどまらない、という点です。どんな交通を実現したいのか。「地域ごとの課題に向き合うため、構想段階から自治体や事業者と対話を重ねて一緒に進めてきた」と、NECの伊藤正洋は振り返ります。

NECモビリティソリューション統括部 
伊藤正洋
NECモビリティソリューション統括部
中尾凌也

NECの役割は、事業計画の検討や補助金申請の支援、自治体や運行事業者でつくるコンソーシアムの運営まで及びます。さらには運行のルールづくりや安全性の確保、住民への理解促進も一緒に企画。「もっと知って利用してもらうために、地元ラジオなどとも協力した」とプロジェクトをリードするNECの中尾凌也は話します。

現地にも何度も足を運びました。豊見城での実証運行期間中は伊藤と中尾は欠かさず交代で実証のバスに同乗。「やっぱり対面じゃないと」と、自治体職員や事業者、時には利用者とも現地で対話する。その積み重ねが、地域の課題にきちんと応える形につながっています。

自動運転バス車内で
運行状況を表すディスプレイ
車両の運行を遠隔で支援する
遠隔監視室の様子

実証開始当初は、NECと自動運転、という組み合わせに「?」という反応が多かったのも事実。そこから2年で実証を重ね、今は自治体にも問い合わせが相次いでいるといいます。

特別な技術としての自動運転ではなく、既存の交通手段と組み合わせながら、地域の課題を解決し、日常に根付かせる──。豊見城と徳島でNECが大切にしてきた姿勢は、他の地域でも求められています。「これまでの取り組みを起点に、NECが持つ様々な技術を生かして安全・安心な移動を支え、持続的なモビリティサービス事業を創出することで、暮らしに寄り添う地域交通をつくっていきたい」と中尾は意気込みます。

NECの社会価値創造に向けた自動運転の歩みは、もう次の段階が見え始めています。

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