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+AIで描く未来図 NECのテクノロジーとソートリーダーシップ活動
2026年2月5日

NECのCTO(最高技術責任者)であり、NECグループの独立シンクタンク「国際社会経済研究所(IISE)」の社長を務める西原基夫。テクノロジーの力を誰よりも熟知している西原に、さらなるAI活用に向けての構想や、ビジョンを発信して顧客価値を創造する「ソートリーダーシップ活動」について尋ねます。「NECを世界に誇れる企業に“化け”させたい」と意気込む西原が語る「未来の市場を切り拓くための取り組み」とは──。
AIの進化と普及が数千年に一度の革命を引き起こす
── CTOに加え、2025年4月からはIISEの社長も務めています。
私には大きく4つの役割があります。NECのCTOとして、最新テクノロジーの方向性を見極めながらNECの戦略を立て、実行していく役割。また世界中に研究員を抱えるグローバルイノベーションビジネスユニット(GIBU)の長として、新規事業の創出にも取り組んでいます。加えて、NECの知的財産領域の責任者でもあり、NECが保有する知財をライセンス化し、外販する事業も拡大してきました。
そこに「IISEの社長」という役割が新たに加わりました。これら4つを統合し、NECグループの価値を最大化していくことが私のミッションだと考えています。

── AIについて伺います。
2025年のイベントで「すべての変革に +AI」というコンセプトを打ち出しました。今後はあらゆる産業・業務の中にAIが入っていきます。例えばLLM(大規模言語モデル)は現在、クラウド経由で使われることが多いですが、AIの小型化が進む中で、その高度なインテリジェンスがロボットやドローンなどに入っていくことが予想されています。社会の仕組みや仕事の仕方が今後、根本的に変わっていきます。
── AIは「インターネット」以来の数十年ぶりの革命と言う人もいます。
これは2000年、3000年に一度クラスと言っても過言ではないでしょう。あるAI業界のトップは「古代ローマ時代の奴隷制度によって時間に余裕ができた支配階級が哲学を生みだし、それが、その後の文化、思想、科学の発展につながったことと同等のインパクトがある」と評していました。もちろん奴隷制度を肯定するわけではありませんが、AI搭載のロボットなどの登場によって、同じことが起きるのではないか。そうした時代の到来に備え、AI利活用の知恵を蓄えていく必要があります。
── 2025年12月の研究開発・新規事業戦略説明会 「NEC Innovation Day 2025(NID 2025)」でもAIが軸でした。
NID 2025では現実的な、ここ3〜5年の話をしました。AI時代において、企業や組織が今、何に注目すべきか、そこにNECが何を提供できるかといったテーマです。特に注目を集めたのが、AIを用いて、人間ならではの知恵をどう活用していくかという話でした。

ここでのキーワードは「暗黙知」という概念です。暗黙知とは個人の経験に基づいた、言語化されていない知見・ノウハウのこと。企業活動の8~9割は暗黙知に基づいているという考えもあるほどです。個人の暗黙知をAIに集約できれば、企業の知恵として活用できるようになります。この概念を他社に先駆けて明示できたのはNID 2025の大きな成果のひとつで、納得感を持って受け入れられたと感じています。
2026年、IISEは世界中の“知”が集結する場へと進化する
── CTOの立場で、シンクタンクであるIISEの社長に就任した理由をどう考えますか。
「ソートリーダーシップ活動」を加速させるためです。ソートリーダーシップ活動とは「将来のビジョンを社会に発信し、市場のリーダーとして新たな顧客価値を創造する行為」のこと。IISEはNECグループにおけるソートリーダーシップ活動を牽引する組織となっています。
NECは世界に誇る技術を持っていますが、技術そのものだけでは社会価値を創造できません。「なぜそれが必要か」の概念(思想)、すなわち「ソート(Thought)」を共有し、社会に受け入れてもらう環境を整えることが不可欠です。CTOを7年務めた私は、技術で何ができるかを深く理解しており、社会実装のためのソートと結びつけるのに適任です。
また、社会価値の創造には新しいビジネスモデルが必要とされる局面が多く、新規事業も統括してきた立場から、そうした面でも相性が良いと感じています。
── IISEの社長として、何を目指していきますか。
これまでのIISEは、既存の事業がどんな社会価値をもたらすか、という点を補強し、営業活動のサポートが中心でした。次期中期経営計画がスタートする2026年度以降は、NECグループをさらに成長させるべく、未来の市場を切り拓く新しいソートを創出します。
そこで新たに打ち出したのが、「プラットフォーム型シンクタンク」への進化です。これは、IISE自ら答えを出すだけではなく、世界中のトップクラスの知性を引き寄せる場=プラットフォームになるという構想です。それぞれの領域のオピニオンリーダーを集め、自社の経営幹部や事業リーダーも入って議論をすることで、“ものすごいもの”を生みだせるはずです。
具体的な取り組みとして、2月に開催する招待制イベント「IISEフォーラム」に世界最大規模のベンチャーキャピタルである「アンドリーセン・ホロウィッツ」のパートナーたちを招き、AIがソフトウェアや社会に与えるインパクトを議論する場を設けます。慶應義塾大学の安宅和人教授など国内の有識者も交え、世界と日本のトップクラスの化学反応が期待できます。

── IISEが持つアドバンテージは何でしょうか。
NECグループには、技術を社会に実装する力があります。IISEを通じて社会の新しい「形」を定義し、それをCTOとして培ってきた実装力で現実にする。「ソート(思想)の検討から実装まで」を一貫して手がけることで、既存のシンクタンクやコンサルティング会社には真似できない、圧倒的な差異化を実現します。NECグループならではの強みを活かし、シンクタンクそのものの知をAIに集約し、多種多様な知を組み合わせ、創造するスピードを加速させることにも挑戦していきます。
── 2026年度に向けた抱負をお願いします。
漢字一文字で「化」、つまり「化ける」です。AIという巨大な力を使い、これまでのやり方からより良いものに自己変革を遂げ、NECを世界に誇れる企業へと「化けさせる」年にしていきます。