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まず守るのは「安全・安心」 無人化を目指すNECの駐車場DX
2026年2月3日

新たな価値を、社会に。今回紹介するNECの挑戦は、機械式駐車場を舞台に、最先端テクノロジーの力を活かし、省人化・無人化を目指す新規事業――「駐車場DX」です。人口減による労働力不足が背景にあるのはもちろん、NECの担当者たちの信念が根底にあります。それは、「そこに“安全・安心”がなければ、社会に本当の価値は生まれない」。2025年には実証実験をスタートし、社会価値創造に向けて、一歩、また一歩と歩みを進めています。
駐車場DX――利便性と安全性の両立への挑戦
時間貸し駐車場(機械式)の現場では、24時間3交代制という厳しい就労環境のもと、スタッフの高齢化と人手不足が大きな課題となっています。「このままでいいのか」という素朴な疑問が、新たな取り組みの出発点です。目指すは、省人化、そして無人化。現場のリアルな課題に寄り添い、NECの技術でその解決を目指す姿勢が、プロジェクトの原動力となっています。
その先に、もう一つの課題があります。「どんなに便利な仕組みも、安全と安心を守れなければ社会的価値はない」。こう語るのは、NECインダストリーインフラ統括部の大北紘士。大北を中心に、新規事業開発として駐車場DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいます。

機械式駐車場を利用する人にも、運用する現場のスタッフにも、安全・安心を届けたい。NECは、機械式駐車場の省人化・無人化を実現する2つのソリューションを開発しています。
ひとつは、カメラとエッジAIで人の安全を支える「NEC 駐車場DX 入出庫安全管理ソリューション」。事前に顔などの個人情報を登録することなく運転手と同乗者を判別し、それぞれの動きを把握します。これにより、同乗者が確実に降車したかの確認や、運転手以外の人の駐車スペースへの立ち入りを検知でき、スタッフや利用者のオペレーションミスによる事故の防止につなげます。もうひとつは、車種や付属品を認識し、車両の入庫可否を自動で判断する「NEC 駐車場DX 入庫判定ソリューション」。従来は熟練スタッフの経験に頼っていた入庫可否判定を標準化・自動化することで、オペレーターの負担を軽減し、効率的な駐車場運営につなげます。

「安全・安心は、DXがもたらす効率性や利便性の“土台”そのもの。その土台の上で課題を解決し、業界の進化を実現したい」。大北は、そう力強く語ります。
広がる輪――ひとりの想いがNECの力で“100倍”に
今や多くの仲間や企業を巻き込むプロジェクトとなった駐車場DX。始まりは大北の「たったひとり」の挑戦でした。もともと大北は、統括部内で既存事業に続く新たな柱となる事業を立ち上げるために2023年8月に入社。駐車場の課題に注目したものの、予算も人員も限られた状態で、試行錯誤の日々が続きました。
「話を聞いても行動に移してもらえないことも最初は多くて。それでも、諦めず積み重ねていくうちに、本当に興味を持って耳を傾け、人を紹介してくれるようになってきました」。大北の想いが、協力してくれる仲間を呼び寄せ、プロジェクトは成長していきます。

プレスリリースなど積極的な発信も、奏功しました。ニュースで取り上げられると、「記事を見た」と社内外から問い合わせが寄せられるようになりました。NECの信頼と実績も追い風に、社外からは機械式駐車場メーカーや駐車場運営事業者が関心を寄せてくれ、社内でも営業部門や技術メンバーなど、多くの仲間が支援の手を差し伸べてくれるようになりました。
こうした連携と共感の広がりについて「NECのアセットがあるからこそ“100倍”の力が発揮できている、それは自分一人では成しえなかった」と大北は語ります。


駐車場の安全・安心に対する社会的な要請が高まるとともに、駐車場DXの取り組みへの注目度も大きくなっています。現在では、さまざまなパートナーやお客さまと対話を重ね、事業化に向けて挑戦の日々が続いています。
実現への道――駐車場DXが描く、未来の都市インフラ

2025年12月には、具体的な事業化を見据えて、パートナーやお客さま向けのデモンストレーションを実施。デモンストレーションを共にした昇降機・立体駐車場メーカーのダイコー株式会社の営業推進部長、脇坂章太さんは「確固たる技術力を活用して、業界のゲームチェンジャーになりたいというNECの想いに惹かれた」と語り、NECが当時抱えていた機械式駐車場機器の製品理解やシステム連携の課題を支援することになったきっかけを振り返ります。

「このソリューションが、機械式駐車場の新たなスタンダードになると良いですね」とデモンストレーションの手ごたえを語る脇坂さん。NECと関わる人も同じ未来図を描きつつあります。
2026年度には「NEC 駐車場DX 入庫判定ソリューション」、2027年度には「NEC 駐車場DX 入出庫安全管理ソリューション」の社会実装を目指して、NECはさらなる技術検証に取り組むとともに、業界ガイドラインのアップデートにも挑戦しています。国土交通省や業界団体、メーカーや運営事業者などと協調しながら、業界をリードして新たな安全・安心の基準づくりにも取り組んでいます。大北は「駐車場は街づくりにおいて実は重要なインフラです。これからは駐車場の安全・安心を起点に、都市や街づくり、そして周辺事業へと価値を広げていきたい」と語ります。その眼差しは、未来の社会全体を見据えています。
「安全・安心・公平・効率という社会価値の創造」をPurpose(存在意義)に掲げるNECのこの歩みは、まだ始まったばかりです。