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「AIは人間を制約するのではなく、人間の価値を高めるもの」。AIが働き方や組織の在り方を急速に変化させる今だからこそ、人間が持つ力、そして人と人のつながりの重要性について見つめ直すのは、NEC CHROのChief of StaffとしてグローバルHR変革リーダーを務めるガーリーン・ナイトです。「人」「データ」「ビジョン」の3つの要素を意識しながら、人事システムのデジタル化とグローバル展開に取り組んできたナイトが見据える「人」を中心に切り拓く未来像とは──。
AI時代だからこそ、人に寄り添う人事に
日常生活にAIは当たり前の存在として溶けこんでおり、AIの助けを借りて仕事を効率化する取り組みも広がっています。このAI時代、自らを「AIネイティブカンパニー」と位置づけるNECにおいて、人間が果たす役割はさらに重要になるとナイトは考えます。

「人事部門が果たす役割は、社員が”より人間力を発揮できる仕事”に集中できる環境を整えることです。AIの力を借りて創出された人的リソースは、人材育成・課題解決・社員体験の向上といった活動に振り向けます。そして人間同士の対話に十分な時間を使い、信頼構築やチームの高いパフォーマンスにつなげることが大切になります」
「データは物語を語りますが、そのデータに人が共感する意味を持たせるのは人間自身です」
適応力や共感力、感情的な知性といったスキルは、技術的スキルと同等の重要性を持っている、とナイトは指摘します。AIによって私たちの労働環境や働き方が多様になっていく今だからこそ、「人」に寄り添うスキルは重要になります。それは経営リーダーも同様です。「社員が新たな挑戦をし、失敗をし、再挑戦する──リーダーはこのプロセスを許容する企業文化を創らねばならない。イノベーションは試行錯誤の中から生まれるのだから」とナイトは強調します。
グローバルな働き方を支える人事システムのデジタル革新を実行
こうしたナイトの信念は、彼女の歩んだ道のりに由来しています。北インドで生まれたナイトは、シンガポール、オーストラリア、英国と様々な国での生活を経験し、新しい環境に適応しながら成長していきました。「自分自身のルーツや価値観を大切にすることと、オープンマインドで他者の違いを受け入れることは相反するものではないことを両親は教えてくれました」


人事に関わる仕事に好奇心を抱くようになったのは、あるグローバル企業で組織開発に携わった経験がきっかけになった、とナイトは語ります。「人事の本来の仕事は、人事システムを運用するだけでなく、リーダーシップや社員ひとり一人の能力を最大限に育てていくことにこそある」。この気づきは、その後の様々な業界での人事経験の礎となりました。「企業の戦略やビジョンへの共感が社員に浸透し、ひとり一人がビジョン実現へと行動を変える、そこではじめて企業文化にも変化が起きるのです」──これがナイトの変わらぬ信念です。
NECに導かれたのも、この信念がベースにあります。ナイトがNECに入社した6年前は、国や地域ごとに異なる人事システムを使い、グローバルな人材活用はまだ途上でした。
この状況からナイトが手掛けた人事システム刷新の一つが、2020年に始動した「Global Ways of Working」プログラムです。世界中の各拠点にある人事部門と連携し、人事制度をグローバルで共通化。採用から業績評価、人材の維持・エンゲージメント強化に至るまでの意思決定をデータ主導で行える仕組みを築きました。各国の実情を尊重しつつも全社で統一された基盤を実現しました。

この取り組みはその後「Career Connect」というプラットフォームにつながり、どんな社員がどの組織にいて、全社的にどれほど多様な能力が存在するかが世界的に見える化されました。このGlobal Connectは世界の約50か国に広がるNECグループ会社で採用されています。人事側にとっては、国や地域の枠を超えた人材活用を行えるようになり、社員にとっては、組織やあらゆる職種の情報が見えやすくなったのです。マネジメント側の人事要件と、世界中の社員ひとり一人の能力や希望をマッチングさせることも可能になり、組織の能力を最大化するための大きなステップになりました。
共通のビジョンを持った人と人をつなげ、組織や文化の変革を先導する

「世界中の国と地域をつなぎ、それぞれの国が持つ多様性に理解を示すナイトだからこそ、このプロジェクトは成功しました。単なるシステムの共通化に留まらず、企業文化と人は深く結びついていることを前提に人事のあるべきビジョンを具体的に描いていたからです」。Global Head of HR CoE – HR Digital and HR Culture Enablement として、ナイトと一緒にプロジェクトを推進したアミルトン・アイレスは、ナイトの功績を振り返り、こう続けます。「次のフェーズでは、市場の変化のスピードに迅速に対応できるツールの提供とサポートを継続します。共通のビジョンを持つ人と人をつなげ、変革を成功へと導くことが人事チームの使命です」
NECグループは120年以上の歴史を持つ企業でありながらも、新しい価値創出への挑戦を応援する文化を大切にしています。世界中の社員が、平等かつ公平に挑戦し、学び続ける成長の機会を持てる環境づくりに努めています。
「世界に10万人以上の社員がいる組織を動かすことは、そう簡単なことではないですよね」と、ナイトは笑いながら語ります。AIといった新しいテクノロジーが次々に出現しても、ビジョンを作り、企業の文化を築いていくのはやはり「人」──。これも、ナイトの信念です。
「私たちは大きな船のようなもの。“安全・安心・公平・効率な社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現”というNECのPurposeを携え大航海をしています。目指す方向を決めるのも、船を動かすのも人。『人』を中心に据えた未来を私たちは描き続けます」
