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地域と育むNECグループのサーモン デジタル技術の新たな可能性

NECグループがトラウトサーモンの陸上養殖を手掛けていること、ご存じでしたか。「サステナブルな食文化を育て、周辺地域へ賑わいと潤いをもたらす」を理念に設立されたNESIC陸上養殖が育てたサーモンは今や、ふるさと納税の返礼品として取り扱われるなど地域に浸透し始めています。デジタルテクノロジーを強みとするNECグループがなぜ今、異業種の一次産業に参入するのか。その理由を探ってみます。

リスク負っても自ら手掛ける 信頼を得るために

舞台は山梨県西桂町。東京からおよそ1時間、富士山麓の水に恵まれた山あいのまちです。この地でNESIC陸上養殖は2021年に「富士・桂川ファクトリー」を開業。安心・安全な食を安定して供給することを目指し、富士山の天然水のみを使用して完全無投薬でトラウトサーモンの陸上養殖に取り組んでいます。陸上養殖は完全管理された環境での育成を実現でき、気候に左右されることなく1年を通して安定して出荷できるため、日本各地で注目を浴びています。

ファクトリーのある西桂町
養殖作業の様子

このファクトリーでは、同時に最大で15万匹を養殖。年間の生産量は最大で約17万匹、500トンを見込んでいます。NECグループのセンシングや映像AIなどのデジタル技術を活用して、設備の自動制御を実現し、魚の育成の状況などを遠隔で管理できるのが特長です。水を繰り返し使う循環式陸上養殖システムを採用。屋内で完結するため、季節や天候に左右されることもありません。狙いは、生産の効率化や海洋の環境保全を進め、次世代の養殖事業につなげること。ここで育てられたサーモンは、「富士頂純サーモン」というブランドで販売しています。

NESIC陸上養殖 代表取締役社長 佐藤 将司
水槽をモニタリングする様子

「NECグループの技術のイメージは、様々な事業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支える『縁の下の力持ち』がしっくりくるかもしれません」と話すのはNESIC陸上養殖 代表取締役社長の佐藤将司。ではなぜ今回、「縁の下」ではなく自ら手掛ける形で参入したのか。「私たちが自らそのリスクを背負って事業にチャレンジするという姿勢が地域の皆様からも本当に信頼される姿だと思ったんです」と佐藤は力を込めます。

地域社会を豊かに NECらしい技術が活きる

もう一つのキーワードは「地域活性」です。西桂町などと地域活性化協定を結んでおり、まずはサーモンの販売やファクトリーでの雇用などを地域の新たな活力につなげるのが狙い。将来的には地域に事業を定着させて、地域も一緒に発展することを目指しています。

現在、ファクトリーに所属する6人の社員のうち3名が地元で雇用した社員。もとは養殖事業に関わったことのない社員が殆どです。西桂町職員から転じて入社した小林麻美は、「山梨で新しい方法でサーモンを生産するという試みに興味を持った」と話し、こう続けます。「NECらしさのある技術を使えば、私みたいに未経験でも挑戦できるところが面白いですよね」。

NESIC陸上養殖 生産本部 主任 小林 麻美
モニタリング画面を確認する小林

隣接する都留市出身の志村昂紀も別業種からの転職で、出荷や品質管理を担当しています。仕事を聞かれて養殖と答えると、知人にはよく驚かれるといいます。「一次産業に触れたことのない自分でもできると伝えている」と微笑みます。

NESIC陸上養殖 生産本部 志村 昂紀
養殖水槽の環境モニタリングをする志村

NECグループの新たな挑戦 「一助になれば」

2024年からは山梨県西桂町のふるさと納税の返礼品に加わりました。「納税したよ」「美味しかったよ」という声も届いています。飲食店でも食べられるようになり、ファクトリーのほど近く、西桂町営の「三ッ峠グリーンセンター」では「富士頂純サーモン」を使ったサーモン丼が提供されています。志村も「色々なところで食べられるようになったらもっと地域に貢献にできる」と期待を寄せています。

NECグループは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指しています。持続可能な食文化と地域振興を理念に掲げるサーモン陸上養殖もそのひとつです。

NECグループにとっては異業種への参入。代表取締役社長の佐藤は「志あるところに道が開ける」ということを示せたら、との思いで事業を前進させてきました。「デジタル技術にとどまらず、もっともっとNECグループの社会貢献の仕方も変わっていく」と話して、こう続けます。「この事業が、これからの世代にそういう挑戦を促す一助になればいいと思っています」。

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